7
高校数学解説
文献あり

JMO2015予選第6問の解説の解説

1041
0

数オリの解説の解説

数オリの解説が分かりにくすぎる!!!

ということで解説の解説と題して, 問題を解く思考過程なども加えた解説を書いていこうと思います.

JMO予選 2015 第6問

正の整数a,b,cが次の4つの条件を満たすとする:

  • a,b,cの最大公約数は1である.
  • a,b+cの最大公約数は1より大きい.
  • b,c+aの最大公約数は1より大きい.
  • c,a+bの最大公約数は1より大きい.

このとき, a,b,cのとりうる最小の値を求めよ.

解説

















解説

[解答: 30]
g1=gcd(a,b+c)
g2=gcd(b,c+a)
g3=gcd(c,a+b)
とおく.
g1g2をともに割り切る素数pが存在したとすると, a,bはともにpで割りきれる. さらにb+cpで割り切れるので, cpで割りきれて, a,b,cの最大公約数が1であることに反する.
よってg1g2は互いに素である. 同様にg2g3, g3g1も互いに素であることがわかる.
以上とg1,g2,g31より大きいことより, g1g2g3235=30となる. さらにg1a,b+cをともに割りきるので, a+b+cを割りきる. 同様にg2,g3a+b+cを割りきるので, g1g2g3a+b+cを割りきる.
よってa+b+cg1g2g330.
一方, たとえば(a,b,c)=(2,3,25)のとき問題の条件が成り立ち, a+b+c=30がみたされるので, 求める最小値は30である.

解説の解説

  1. とりあえず、わからないものを文字でおく.
    g1=gcd(a,b+c)
    g2=gcd(b,c+a)
    g3=gcd(c,a+b)
  • 互いに素っぽい!!
    互いに素でないことを仮定して背理法
    g1g2をともに割り切る素数pが存在したとすると, a,bはともにpで割りきれる. さらにb+cpで割り切れるので, cpで割りきれて, a,b,cの最大公約数が1であることに反する.
    よってg1g2は互いに素である. 同様にg2g3, g3g1も互いに素であることがわかる.

  • 最終目標のa+b+cの方向へもっていきたい
    g1|(a+b+c), g2|(a+b+c), g3|(a+b+c)が成り立つ.
    g1g2, g2g3, g3g1が互いに素であったから, g1g2g3|(a+b+c)である.

  • 最小値を求める問題で「割りきる」, 「積」が出てきたら不等式で下からおさえてみる.
    235=30g1g2g3a+b+c

  • 2,3,5を使っていろいろ試す.
    たぶん, 最小のときはab, bc, caは互いに素になりそう.
    (a,b,c)=(2,3,5)のときダメ.
    (a,b,c)=(4,3,5)もダメ.
    (a,b,c)=(2,9,5)もダメ.
    (a,b,c)=(4,9,5)もダメ.
    (a,b,c)=(2,3,25)のとき成り立つ.

したがって答えは30

重要なポイント

  • 互いに素は重要!
    割りきる素数pを仮定して背理法
  • aXを割りきる aXと評価
  • 1より大きい整数の積は素数の積(小さい順)で評価してみる

参考文献

[1]
(公財)数学オリンピック財団, 数学オリンピック2015~2019, 日本評論社, 2019
投稿日:20211215
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

wai572
wai572
24
10565

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 数オリの解説の解説
  2. JMO予選 2015 第6問
  3. 重要なポイント
  4. 参考文献