最近、twitterで
次のような問題
が出題されたことがある。
が無理数であることを証明する問題は、2006年度の京都大学の入試問題として有名である。これは が無理数であることと、三角関数の加法定理から証明できる(たとえば
高校数学の美しい物語: が無理数であることの証明
を参照。)。
一方、弧度法を用いてあらわされる定数 が無理数であることの証明は、加法定理のような幾何的・代数的な証明は知られていない。
INTEGERS: が無理数であることの証明
では、補助関数を用いて が無理数であることを証明している。
一方、, , についてはMaclaurin展開を利用して無理数であることを比較的容易に証明できる(たとえば、 については
INTEGERS: が無理数であることの5通りの証明
の第一証明を参照)。
実は、冒頭ツイートへの筆者の引用ツイート(
https://twitter.com/tyamada1093/status/1475741355104440320)にも書いたように
についても、同様に、Maclaurin展開を利用して、無理数であることを証明することができる。
そこで、本記事では、Maclaurin展開を利用して、 が無理数であることを証明する。
が無理数であることの証明
が有理数ならば だから、 も有理数となる。 をMaclaurin展開し、
を得る。
よって
とおくと
も有理数である。
さて、
とおくと、
となる。
ここで、 が を既約分数表示したときの分母の逆数の正の定数倍よりも急速に に近づく(しかし にはならない)ことを示せばよい。
まず、 の分母の大きさを評価する。
より が で割り切れる回数は多くとも 回だから を既約分数表示したときの分母は奇数で、かつ を割り切る。
を割り切る最大の奇数を とおくと、 となるから、 を既約分数表示したときの分母は を割り切る。
は でちょうど 回割り切れるから、 となる。
よって
となる整数 がとれる。
一方 より
が成り立つ。また、
より
となるから、
となる。一方、 なので、 より
となる。 にあるように なので
となる。しかし、 はいくらでも大きくとれるから となるように をとったとき
となって、 に矛盾する。
これによって、 は無理数なので も無理数、よって も無理数となる。