最近読んでいる『数論の精選104問』という本で解いていて面白かった問題を3つ紹介しようと思います。
1つ目です。
以上の奇数について、はでは割りきれないことを示せ.
マスターデーモン(1990年のIMOの問3)を彷彿とさせる問題ですが、本家(?)よりは簡単に解くことができます。
証明には無限降下法を使います。
(証明)
がの倍数となるような以上の奇数が存在したと仮定し、そのようなの中で最小のものを取ってくる。
を、がの倍数となるような正の整数のうち最小のものとする。
このとき、がの約数であることを示す。
とすると、である。
ここで、と仮定すると、とのどちらかはの最小に矛盾するのでであり、はの約数であると結論できる。また、これからが奇数であることもわかる。
次に、であることを示す。
はの倍数ではないので、Eulerの定理よりであり、なのでとなり、が得られる。
また、ならはの約数となるのでとはなり得ない。
以上よりはの倍数なのでの倍数でもあり、であり、は奇数なのでが最小であることに矛盾している。
よって題意は示された。
もちろんマスターデーモンと同じ解き方でもできます。(書くのが面倒だったのでここでは書きません)
2つ目です。
どのつも互いに素であるような整数であって
をみたすようなものが存在するかどうかを決定せよ.
これも無限降下法が使えます。
(解答)
がどれも奇数であるときのみを考えればよい。
条件をみたすが存在したと仮定し、その中での値が最も小さくなるものを取る。
一般性を失わずがの中で最大であると仮定できる。
をがの倍数となるような正の整数の中で最小のものとする。
先ほどの議論を適用すると、はの約数であり、より小さい。
ここで、とするとより、であり、からでとが互いに素であるという条件に反する。
よってをに入れ換えることができ、の最小性に矛盾する。
よって題意をみたすは存在しない。
3つ目です。
素数の組であって
をみたすものをすべて求めよ.
この3つの中だと一番時間がかかりました。
(解答)
条件より、は相異なる。
まず、がどれも奇素数である場合を考える。
がの倍数であるようなのうち最小のものを取る。このとき、はの約数である。ここで、より、はの約数である。また、Fermatの小定理よりはの倍数なのでがの約数であることもわかる。
ここで、よりはの約数である。
がの約数であることも踏まえるととなり、である。
は奇素数なのでとはならず、すなわち、となる。
同様に、もわかるので、となり、に矛盾する。
次に、の中にが含まれている場合を考える。
一般性を失わずとしてよい。
からそれぞれが奇素数であることがわかる。
がの倍数であるようなのうち最小のものを取る。
すると、先ほどと同様にであることがわかり、からである。
また、からがわかり、は解となっている。
よって、この方程式の解はである。