この記事は
私のTwitterのフォロワー
まずは、論文のご紹介から。
この論文は、正
実際にやってみるとわかりますが、任意の正
つまり、今から
この論文を見つけるきっかけとなったのは次の問題を作問したときでした。
==以下引用==
フォロワー2500人突破記念問題
— apu (@apu_yokai) July 1, 2021
図のように正17角形のケーキを全ての対角線で切ってバラバラにしたら、何人に分けることができるでしょうか。
なお、大きさが不公平なのは気にしなくてかまいません。 pic.twitter.com/c2kpK01MRS
きっかけのツイート
==引用おわり==
正
正
そして、正
この記事を最後まで読めばこの問題の答えがわかるはずですので、ここではこの問題はいったん棚に上げておいて、一般化した「正(奇数)角形の対角線の交点の数」の計算方法について解説したいと思います。
正
※
対角線の交点の数の上限
nが奇数のときの対角線の交点の数
4つの頂点を選ぶと1つの交点が対応する
偶数のときは
しかし、上記の論文ではそのすべてのパターンを調べ上げて公式を作ったのです。
まずは、論文で紹介されている公式をご紹介します!
ここからは、
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
0 | 1 | 5 | 13 | 35 | 49 | 126 | 161 |
もう少しくわしく、公式をみていきましょう。
実は、先ほどの公式を次のように分解することができます。
ここで、
この式をよく見ると、いろいろなことがわかります。
・中心を除くと対角線は最大
・中心以外で
・中心以外で
・
・
上記の式は複雑そうに見えるかもしれませんが、これらのことは簡単に確認できますので上記の式と見比べてみてください。
次に、正
さらにこのとき、
そのことを実際に確かめてみましょう。
正30角形の対角線2本共点~7本共点
また、
このことは、対角線
具体的には、次の図の
対角線6本以上共点となりうる位置は本質的に5種類だけ
さて、先ほど対角線の交点の数を、共点となる対角線の本数ごとに分解して計算する式が得られましたので、この式を使うことで、対角線で分割される領域数を数えることができます。
ここからは、正
すると、次のように計算することができます。
この式の意味は次のようになります。
次のように考えると理解できると思います。
まず、正
ケーキを切る先端が他の対角線と交差するとき領域数が増える
そのことから、先端が他の対角線と交差する回数とケーキの端に達する回数を数えれば分割される領域の数がわかるというわけです。
具体的な値は次のようになります。
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
0 | 1 | 5 | 13 | 35 | 49 | 126 | 161 | ||
1 | 4 | 1 | 24 | 50 | 80 | 154 | 220 |
なお、論文の方ではこのような考え方ではなく、まず対角線の交点を多面体の頂点とみなした場合の「辺」の数を数え、オイラーの多面体定理
初めに書いた通り、私は論文の内容を理解できたわけではないですが、ここからは、私がわかった範囲で論文のアイデアを紹介します。
正多角形の対角線の交点の数についての問題を、チェバの定理の派生版を使って三角関数版ディオファントス方程式の問題に帰着して、まず
解析にあたり、円分多項式の性質やガロア群を使って効率的なアルゴリズムを作ったということのようです。
それでも手計算では複雑な場合分けを完璧に行うことは難しかったらしく、最終的にはコンピュータの力も借りてすべてのパターンを調べ上げたそうです。
論文によれば、実は、
このことからも、容易には計算できないことが感じられますね。
「ようです」「そうです」と続きましたが、私自身よくわかっていません。間違っていたらゴメンネ。
ここからは、私に理解できた範囲で、論文のアイデアをもう少しかみ砕いていきます。
論文のアイデアは、まず3本の対角線が共点となる条件についての問題を次の関係で式に表すというものでした。
対角線
弦 AD,BE,CFが 1点で交差するときAF/FB・BD/DC・CE/EA=1となる
相似を使って証明できます。
AF/FB・BD/DC・CE/EA=1
辺々掛け合わせて
図の円の半径を
弧の長さを図のように
弧の長さを使って書き換える
を
なお、逆も成り立つので、この式は単位円の
さらに、
論文ではこの不定方程式を"trigonometric diophantine equation"と呼んでいます。直訳すれば「三角関数版ディオファントス方程式」といったところでしょうか。
ここからは、この不定方程式の有理数解のパターンを分析することになります。
先ほどの式に
すべての項を左辺に移動し、マイナス記号を
としてみると、このようになります。
このとき
です。
逆に、和が
ただし、この場合、解が正になることを確認する必要があります。
論文では、さらに一般化して
のような関係を考察していきます。
ここで、
このような関係を満たすパターンは有限で、円分多項式やガロア群を使って分類できるようです。ここから先の論文の内容は私の理解を超えていますので、どなたか論文を読み解いていただけるとうれしいです。
ところで、この式の形がいわゆるチェバの定理と同じ形であることにお気づきでしょうか。
弦バージョンのチェバの定理 AF/FB・BD/DC・CE/EA=1
普通のチェバの定理 AF/FB・BD/DC・CE/EA=1
実際、チェバの定理と密接な関係があります。
そのことに関して、偶然みつけたこちらのPDFに興味深い記事がありました。なかなか面白いと思いますのでご紹介します。
とりあえず、現時点でわかっている範囲の情報をまとめたつもりです。
足りない部分も多々あると思いますが、適宜フォローしていただけるとありがたいと思います。
最後に、記事中の式などを含むDesmosファイルを置いておきますので、いろいろ遊んでみてください。