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Granville-Zagier の和公式の別証明

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はじめに

大した話ではありませんが, 多重ゼータ値の和公式の証明 (Zagier の積分使うやつ) で超越的な変数変換を使わなくともできるなぁと思いついたので (論文にするほどでもないため) ここに放り投げます.

Notations

今回は次のように多重ゼータ値を表す: 正整数 k1,,kr1 (kr2) に対し
ζ(k1,,kr):=0<n1<<nr1n1k1nrkr
と書く. また s<t なる実数 s,t および a1,,akC(s,t) (sa1, tak) に対し
I(s;a1,,ak;t):=s<x1<<xk<ti=1kdxixiai
と書く.

本論

今回扱う和公式とは次のような定理である:

正整数 0<r<k に対し
k1,,kr1kr2k1++kr=kζ(k1,,kr)=ζ(k)
が成り立つ.

証明には次の事実を使う.

多重ゼータ値の反復積分表示

正整数 k1,,kr (kr2) に対し
ζ(k1,,kr)=(1)rI(0;1,0,,0k11,,1,0,,0kr1;1)
が成り立つ.

(メイントピック)

示したい等式の母関数をとる.
十分小さい正の実数 A,W をとると,
0<r<kk1,,kr1kr2k1++kr=kζ(k1,,kr)ArWk=0<r<kk1,,kr1kr2k1++kr=k(1)rI(0;1,0,,0k11,,1,0,,0kr1;1)ArWk=k=2a1,,ak{0,1}a1=1, ak=0I(0;a1,,ak;1)(A)a1++akWk=k=2a1,,ak{0,1}a1=1, ak=00<s<t<1As1I(s;a2,,ak1;t)1tdsdt(A)a2++ak1Wk=k=20<s<t<1AWs11(k2)!(st(AWx1+Wx)dx)k2Wtdsdt=AW20<s<t<1sW(s1)AW1dstW1(t1)AWdt
がいえる.
変数変換 (x,y)=(s(1t)t(1s),1t1s) を考える. このJacobianは
|(s,t)(x,y)|=(yx)(y1)(x1)3y2
と計算できて, 積分範囲は 0<x<y<1 にうつるため
0<r<kk1,,kr1kr2k1++kr=kζ(k1,,kr)ArWk=AW20<x<y<1xWx1dxyWAW1dy=AW1A01xWxAWx1dx=AW1Ak2Wk1(k1)!(1Ak1)I(x;0;1)k1dxx1=k201(x<t1<<tk1<1dt1t1dtk1tk1)dxx1A(1Ak1)1AWk=k2I(0;1,0,,0k1;1)A(1Ak11AWk=k2ζ(k)(1+A++Ak1)Wk
を得る. 両辺の ArWk の係数を比較すれば所望の等式を得る.

投稿日:2024421
更新日:2024421
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KIRINJI/ICE BAHN/RED SPIDER

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