2

最大最小を図形として読む

23
0
$$$$

はじめに

※自己紹介は省きます。
今回は代数の最大最小問題を図形として見てみようと思います。
例えば
$$ \sqrt{x^2+4}+\sqrt{(x-3)^2+1} $$
という式があったとき,そのまま微分してもいいんだけど,これを折れ線の長さだと思うと,反射させて一直線にするという別の方針が出てきます。
このくらいなら見たことがある人も多いと思いますが,距離にするだけじゃなく,係数を正四面体の頂点として見たり,条件式から正八面体の面の外接円を見つけたりすると,代数っぽい問題にも図形が隠れています。
今回やりたいのはそういう話です。特に中心に置きたいのは,正四面体・正八面体の対称性や,直方体の距離・体積として読む見方です。
三つの一次式の積から回転楕円体が現れる例や,分数を反転して別の円へ移す例も見ていきます。
図形として言い換えて終わりにせず,図形にしたことで何が見えるのか,そこからどうやって最大最小まで持っていくのかをなるべく書いていきたいとおもいます。
既存の問題と自分の投稿で扱った問題を混ぜてて出典を明記しておきます。また,元の問題にこちらで設問を足したところも区別しておきます。
長いので初めから全部読まなくても大丈夫です。立体の話を追いたい人は③〜⑥と⑨,その練習には⑩を読んでみてください。円のパラメータ表示と⑦の角度による読み替えは関連する見方としての補足です。

節式の中に探すもの主に使う図形
①絶対値や平方根を距離にする数直線・反射・折れ線
②複数の式を点の座標にする平行四辺形・六角形・円
③混合項や積を辺・面積・体積にする三角形・直方体
④一次式の係数を点として並べる正四面体
⑤条件式を因数分解して動く場所を探す正八面体・切頂八面体
⑥一次式で座標を取り直す楕円・回転楕円体と長方形・直方体
⑦(補足)三変数の条件や交代式を読み替える三角形の角・面積・球の切り口
⑧$2$乗和で割る式や複素数の比反転・分数が描く円
⑨多面体の係数を一般の手順で調べる正十二面体・正二十面体・その他の凸多面体
⑩立体として読む見方を実践直方体・正四面体・八面体の正射影

① 絶対値や平方根を距離として読む

これはよく紹介されていて一番簡単だと思います。

例題$1$ 区間を平行移動する

実数$a$を固定する。$-1\leqq x\leqq1$であるすべての$x$に対して
$$ |x^2+x+a|\leqq k $$
が成り立つような$k$の最小値を求める。
出典は$2018$年東大実戦理系数学第$1$問です。問題文はここでの説明に合わせて書き直しています。
最初から絶対値を外そうとすると,$a$による場合分けが先に出てきます。ここでは,$x^2+x$がどこを動くかだけ先に見ます。
$$ x^2+x=\left(x+\dfrac12\right)^2-\dfrac14 $$
なので,その値は$-\dfrac14$から$2$までを動きます。つまり$x^2+x+a$が動く場所は,数直線上の$ \left[a-\dfrac14,a+2\right] $という区間です。
絶対値は原点からの距離なので,この区間のうち原点から遠い方の端点までの距離を取ればよくて,
$$ \begin{aligned} k&=\max\left\{\left|a-\dfrac14\right|,|a+2|\right\}\\ &=\max\left\{-a+\dfrac14,a+2\right\} \end{aligned} $$
となります。最後の等号は左端点と右端点がこの順に並んでいることから分かります。
追加で考えると$a$も動かして$k$を最小にするなら区間の中心を原点に合わせればいいから
$$ a=-\dfrac78,\quad k=\dfrac98 $$
これは原題にこっちでつけ足した問いです。
絶対値を場合分けの合図だと思う代わりに原点を中心とする最短の区間で覆うと見たわけです。

例題$2$ 平方根の和を反射でほどく

実数$x$に対する
$$ \sqrt{x^2+4}+\sqrt{(x-3)^2+1} $$
の最小値を求める。
$\mathrm{A}(0,2),\mathrm{B}(3,1),\mathrm{P}(x,0)$と置けば,求める式は$\mathrm{AP}+\mathrm{PB}$です。

$\mathrm{B}$を$x$軸に関して反射させた点を$\mathrm{B}'(3,-1)$とすると
$$ \mathrm{AP}+\mathrm{PB}=\mathrm{AP}+\mathrm{PB}'\geqq\mathrm{AB}'=3\sqrt2 $$
直線$\mathrm{AB}'$と$x$軸の交点は$(2,0)$なので,$x=2$で実際に等号が成り立ちます。最小値は$3\sqrt2$
ここでは,$\mathrm{A},\mathrm{P},\mathrm{B}$をそのまま一直線にしようとしても無理です。動く点が$x$軸上にあるので,片方の点を反射させることでその制限を残したまま一直線にしています。

例題$3$ 変数が二つあっても回転でつなぐ

実数$x,y$に対して
$$ \sqrt{x^2+y^2} +\sqrt{(x-2)^2+y^2} +\sqrt{x^2+(y-2)^2} $$
の最小値を求める。
$\mathrm{A}(0,0),\mathrm{B}(2,0),\mathrm{C}(0,2),\mathrm{P}(x,y)$とすると,考えるのは$\mathrm{PA}+\mathrm{PB}+\mathrm{PC}$の最小です。
$\mathrm{A}$のまわりに時計回りに$60^\circ$回転させ,$\mathrm{B},\mathrm{P}$の移る先をそれぞれ$\mathrm{B}',\mathrm{P}'$とします。このとき
$$ \mathrm{PP}'=\mathrm{AP},\quad \mathrm{B}'\mathrm{P}'=\mathrm{BP} $$
なので
$$ \mathrm{PA}+\mathrm{PB}+\mathrm{PC} =\mathrm{B}'\mathrm{P}'+\mathrm{P}'\mathrm{P}+\mathrm{PC} \geqq\mathrm{B}'\mathrm{C} $$
$\mathrm{B}'=(1,-\sqrt3)$だから
$$ \begin{aligned} \mathrm{B}'\mathrm{C} &=\sqrt{1+(2+\sqrt3)^2}\\ &=\sqrt6+\sqrt2 \end{aligned} $$
$x=y=1-\dfrac1{\sqrt3}$のとき,$\mathrm{B}',\mathrm{P}',\mathrm{P},\mathrm{C}$がこの順に一直線に並び,等号が成り立つので最小値は$\sqrt6+\sqrt2$
単に三つの距離と読むだけじゃなく,$60^\circ$回転でそのうちの一つを別の線分に移すのがポイント。反射の例と同じく,最後は折れ線を一本の線分と比べています。

例題$4$ $2020$本の線分を一本にする

実数列$a_1,a_2,\ldots,a_{2021}$が$a_1=1,a_{2021}=2$を満たすとき
$$ \sum_{k=1}^{2020}\sqrt{a_k^2+(a_{k+1}-1)^2} $$
を最小にする。
$\mathrm{OMC015(D)}$ の問題です。原題では,この和が最小になるときに取り得る$a_{1000}$の値の和を既約分数で表し,分子と分母の積を答えます。
変数の個数を見るとかなり嫌なんですが,一つ一つの平方根はやはり距離です。
まず途中の$a_k$が$0$未満なら$0$に,$1$より大きければ$1$に直すとその$a_k$が関わる二つの項はともに増えません。実際には少なくとも一方が小さくなるので,最小値を取るときは
$$ 0\leqq a_k\leqq1\quad(2\leqq k\leqq2020) $$
としてよいです。
そこで,次の点を順に結びます。
$$ \begin{gathered} (0,0),\ (1,1-a_2),\ (2-a_3,1),\\ (2,2-a_4),\ (3-a_5,2),\ldots,\\ (1010,1010-a_{2020}),\ (1011,1010) \end{gathered} $$
隣り合う点の距離を調べてみるとちょうど問題の平方根が順に出てきます。例えば最初の二本は
$$ \sqrt{1+(1-a_2)^2},\quad \sqrt{(1-a_3)^2+a_2^2} $$
よって,この和は始点$(0,0)$と終点$(1011,1010)$を結ぶ折れ線の長さです。したがって
$$ \sum_{k=1}^{2020}\sqrt{a_k^2+(a_{k+1}-1)^2} \geqq\sqrt{1011^2+1010^2} $$
あとは一直線にできるかを確認します。直線$ y=\dfrac{1010}{1011}x $と各点が動く縦または横の単位線分との交点を取ればよく,
$$ \begin{aligned} &a_{2j}=\dfrac{j}{1011}&&(1\leqq j\leqq1010)\\ &a_{2j+1}=1-\dfrac{j}{1010}&&(1\leqq j\leqq1009) \end{aligned} $$
とすると実現できます。これらの交点は始点から終点へ順番に並ぶので折り返しもありません。
したがって上の下限が最小値です。また,等号なら各中継点がこの線分上になければならないので
$$ a_{1000}=\dfrac{500}{1011} $$
と一意に決まります。原題への答えは$500\times1011=505500$
平方根を一つずつ評価するよりも,全部を一つの折れ線に並べる方が自然だった例です。この点の並べ方は公式解説の幾何的な見方に沿ってます。

② 式を点の座標にして動く範囲を見る

例題$5$ 二つの一次式を平行四辺形にする

$0\leqq x\leqq1,0\leqq y\leqq1$のとき
$$ (4x-6y+3)^2+(4x+3y-1)^2 $$
の最大値と最小値を求める。
出典は$2017$年東京理科大学工学部です。
全部展開する前に
$$ s=4x-6y+3,\quad t=4x+3y-1 $$
と置いて,$(s,t)$がどこを動くのかを考えます。
$x,y$が正方形の中を動くと,$(s,t)$は次の四頂点を持つ平行四辺形の内部と周上を動きます。

求める$s^2+t^2$は原点からの距離の$2$乗です。
最大値は頂点で調べればよいです。実際,水平または垂直ではなくても任意の線分上では原点からの距離の二乗は凸な二次式なので,線分の端点のどちらか以上にはなりません。平行四辺形内の点を辺へ,さらに頂点へ動かせばいいんです。
四頂点での値はそれぞれ$10,58,37,13$なので,最大値は$58$です。これは$(x,y)=(1,0)$で実現します。
最小値は原点に一番近い辺への垂線を考えます。
$$ s+2t=12x+1\geqq1 $$
なので
$$ s^2+t^2\geqq\dfrac{(s+2t)^2}{5}\geqq\dfrac15 $$
垂線の足$(s,t)=\left(\dfrac15,\dfrac25\right)$はちゃんと辺上にあります。対応するのは
$$ x=0,\quad y=\dfrac7{15} $$
なので,最小値は$\dfrac15$です。
図形で最短距離を見つけてからその垂線の意味を$s+2t$という一次式に戻してます。

例題$6$ 三変数の式なのに動くのは平面の六角形

$0\leqq s,t,u\leqq1$のとき
$$ (s-2t+3u)(-3s+t+2u) $$
の最大値と最小値を求める。
出典は$2021$年度第$2$回京大本番レベル模試
$$ p=s-2t+3u,\quad q=-3s+t+2u $$
とします。$(s,t,u)$は立方体の中を動きますが,欲しいのは平面上の点$(p,q)$です。
立方体の八頂点を写すと
$$ (0,0),\ (1,-3),\ (-2,1),\ (3,2),\ (-1,-2),\ (4,-1),\ (1,3),\ (2,0) $$
となります。このうち$(0,0),(2,0)$は内側に入り,像全体は次の六角形です。

なぜ頂点を調べるだけで像が分かるかというと,立方体内の点は八頂点の重み付き平均として表せて,一次式で写しても同じ重み付き平均になるからです。逆にそのような重み付き平均は立方体内の点から得られます。
求めるのは$pq$です。等しい値を取る点は双曲線になるので,双曲線が六角形に最後に触れるところを探すことになります。
内部の点では,$p,q$のどちらかが$0$でなければもう一方を少し動かして$pq$を増減できます。原点の近くでも正負両方の値が取れるので,極値は辺上で調べれば十分です。
辺ごとの計算を省略せずに並べると次のようになります。

辺の両端辺上の関係$pq$の最小値$pq$の最大値
$(-2,1),(1,3)$$q=\dfrac{2p+7}{3}$$-\dfrac{49}{24}$$3$
$(1,3),(3,2)$$q=\dfrac{7-p}{2}$$3$$6$
$(3,2),(4,-1)$$q=11-3p$$-4$$6$
$(4,-1),(1,-3)$$q=\dfrac{2p-11}{3}$$-\dfrac{121}{24}$$-3$
$(1,-3),(-1,-2)$$q=-\dfrac{p+5}{2}$$-3$$2$
$(-1,-2),(-2,1)$$q=-3p-5$$-2$$2$

したがって,最大値は$6$,最小値は$-\dfrac{121}{24}$です。
最大値は$(s,t,u)=(0,0,1)$で実現します。最小値は,辺$q=\dfrac{2p-11}{3}$上で
$$ pq=\dfrac23\left(p-\dfrac{11}4\right)^2-\dfrac{121}{24} $$
と平方完成したときの頂点で取り,$(s,t,u)=\left(1,0,\dfrac7{12}\right)$が対応します。
三変数だから立体のまま考えるとは限りません。目的の式に現れる二つの一次式を座標にすると必要な情報を平面に移せます。

例題$7$ 分数を直線の傾きにする

$x^2+y^2=1$のとき
$$ \dfrac{y+2}{x+3} $$
の最大値と最小値を求める。
分母は必ず正です。$\mathrm{P}(x,y)$と$\mathrm{A}(-3,-2)$を結ぶ直線の傾きを考えると,求める式がそのまま出てきます。
傾きを$m$とすると,直線は
$$ y=m(x+3)-2 $$
この直線が単位円と交わる条件は,原点から直線までの距離が$1$以下になることなので
$$ \dfrac{|3m-2|}{\sqrt{m^2+1}}\leqq1 $$
整理すると
$$ 8m^2-12m+3\leqq0 $$
となり
$$ \dfrac{3-\sqrt3}{4}\leqq m\leqq\dfrac{3+\sqrt3}{4} $$
が得られます。両端では直線が円に接するので,どちらも実現します。
分数だから分母を払うというより,同じ定点から円を見込む二本の接線を探したわけです。

例題$8$ 平面で切った球は円になる

$x+y+z=0,x^2+y^2+z^2=1$のとき,$xyz$の最大値と最小値を求める。
二つの条件を合わせると,点$(x,y,z)$は,原点を通る平面で単位球を切った円上を動きます。
その円は
$$ \begin{aligned} x=\sqrt{\dfrac23}\cos\theta,\quad y=\sqrt{\dfrac23}\cos\left(\theta-\dfrac{2\pi}3\right),\quad z=\sqrt{\dfrac23}\cos\left(\theta+\dfrac{2\pi}3\right) \end{aligned} $$
と表せます。実際,$\cos\theta,\sin\theta$の係数を三次元ベクトルとして見れば,長さ$1$で互いに垂直な二本のベクトルになっており,この円全体を表しています。
三つの余弦の積の公式から
$$ xyz=\dfrac1{3\sqrt6}\cos3\theta $$
なので,最大値は$\dfrac1{3\sqrt6}$,最小値は$-\dfrac1{3\sqrt6}$です。例えば
$$ \dfrac1{\sqrt6}(2,-1,-1),\quad \dfrac1{\sqrt6}(-2,1,1) $$
がそれぞれ対応します。
単なる三角関数への置き換えにも見えますが,その前に動く場所が円だと分かっているので,一つの角度で全部を表せるのが自然になります。

関連記事:$\mathrm{O}$変換について

例題$8$の円の表し方は,$\mathrm{O}$変換と呼ばれる置き換えの特別な場合です。一般に,三数の平均を$h$とすれば
$$ \begin{aligned} x=h+r\cos\theta,\quad y=h+r\cos\left(\theta-\dfrac{2\pi}3\right),\quad z=h+r\cos\left(\theta+\dfrac{2\pi}3\right) \end{aligned} $$
と書けます。ここで$r\geqq0$です。$h,r$を固定すると,動点は平面$x+y+z=3h$上の円周を動きます。空間での円の半径は$\sqrt{\dfrac32}r$なので,余弦の係数$r$とは区別します。
白星フウの「O変換の幾何学的証明」 と, Oさんの「話題のO変換について」 を関連記事として挙げておきます。詳しい公式や角度による解法はこちらを参照してください。
この記事では,ここから立体の距離・体積・射影を読む話へ進みます。後半の演習もその見方を中心に選びます。

③ 三角形や直方体として読む

例題$9$ $xy$の係数から$120^\circ$を見つける

$x,y,z\geqq0,x+y+z=1$のとき
$$ \sqrt{x^2+xy+y^2} +\sqrt{y^2+yz+z^2} +\sqrt{z^2+zx+x^2} $$
の最大値と最小値を求める。
余弦定理を逆向きに見ると
$$ x^2+xy+y^2=x^2+y^2-2xy\cos120^\circ $$
そこで一点$\mathrm{O}$から互いに$120^\circ$をなす三本の半直線を出し,$\mathrm{OA}=x,\mathrm{OB}=y,\mathrm{OC}=z$とします。

求める式は三角形$\mathrm{ABC}$の周長です。三角不等式から
$$ \mathrm{AB}\leqq x+y,\quad \mathrm{BC}\leqq y+z,\quad \mathrm{CA}\leqq z+x $$
なので,上からは$2$で押さえられます。$(x,y,z)=(1,0,0)$で等号です。
下からは,二本の半直線が作る外角の二等分線方向へ各辺を正射影します。式で書けば
$$ \sqrt{x^2+xy+y^2}\geqq\dfrac{\sqrt3}{2}(x+y) $$
両辺の二乗の差が$\dfrac14(x-y)^2$なので直接確認もできます。三つ足すと下限は$\sqrt3$で,$x=y=z=\dfrac13$で等号です。
したがって最小値は$\sqrt3$,最大値は$2$です。
平方根の中の混合項は,余弦定理の角度を教えてくれることがあります。

例題$10$ $xyz=k^2(x+y+z)$は内接円の条件だった

正数$x,y,z,k$について
$$ xyz=k^2(x+y+z) $$
という条件を見ます。この式だけから三角形を思いつくのは少し難しいんですが,$x,y,z$を三頂点からの接線の長さだと思ってみます。
辺の長さが$x+y,y+z,z+x$の三角形を作ると,半周長は$x+y+z$です。面積を$S$とすると,ヘロンの公式から
$$ S^2=(x+y+z)xyz $$
なので,上の条件は内接円の半径が$k$になることと同値です。

この図では内心を$\mathrm{I}$としています。例えば,頂点$\mathrm{A}$からの接線の長さが$x$なら$ \mathrm{AI}=\sqrt{x^2+k^2} $
こちらの投稿 では
$$ X=x+\sqrt{x^2+k^2},\quad Y=y+\sqrt{y^2+k^2},\quad Z=z+\sqrt{z^2+k^2} $$
としたときの
$$ XYZ=k(XY+YZ+ZX)+k^2(X+Y+Z)-k^3 $$
という等式を,上の三角形の条件と結び付けて考えました。 元の出題はこちら です。
ここからは追加問題です。$k$を固定し,$xyz=k^2(x+y+z)$の下で$X+Y+Z$を最小にしてみます。
三角形で言えば,半周長と,三頂点から内心までの距離の和を合わせた量です。
AMGMより
$$ k^2(x+y+z)=xyz\leqq\left(\dfrac{x+y+z}{3}\right)^3 $$
なので
$$ x+y+z\geqq3\sqrt3k $$
また,平面上の三本のベクトル$(x,k),(y,k),(z,k)$の長さの和は,和のベクトルの長さ以上なので
$$ \sqrt{x^2+k^2}+\sqrt{y^2+k^2}+\sqrt{z^2+k^2} \geqq\sqrt{(x+y+z)^2+9k^2}\geqq6k $$
となります。よって
$$ X+Y+Z\geqq(6+3\sqrt3)k $$
で,$x=y=z=\sqrt3k$のときに等号です。三角形は正三角形になっています。
なお最大値はありません。例えば$y=z=t>k$とし,$x=\dfrac{2k^2t}{t^2-k^2}$とすれば条件を満たし,$t$をいくらでも大きくできます。
元の投稿は等式の解釈ですが,その図形を使うと,このような最大最小にもつなげられます。

例題$11$ 三つの平方根は直方体の面の対角線

$x^2+y^2+z^2=1$のとき
$$ \sqrt{x^2+y^2}+\sqrt{y^2+z^2}+\sqrt{z^2+x^2} $$
の最大値と最小値を求める。
第$20$回北海道高等学校数学コンテスト 問題$1$(3) の最良定数の問題を,長さを$1$にそろえて書き直したものです。最小値の問いはこっちで追加しています。
三辺が$|x|,|y|,|z|$の直方体を考えると,三つの平方根は,一頂点に集まる三面の対角線です。空間の対角線の長さが$1$に固定されています。

三本の面の対角線の長さの二乗和は
$$ (x^2+y^2)+(y^2+z^2)+(z^2+x^2)=2 $$
したがってコーシーシュワルツから上限は$\sqrt6$で,$|x|=|y|=|z|=\dfrac1{\sqrt3}$で実現します。
下からは,$0\leqq x^2+y^2\leqq1$なので
$$ \sqrt{x^2+y^2}\geqq x^2+y^2 $$
三つ足すと下限は$2$で,$(x,y,z)=(1,0,0)$などで等号です。
最小値は$2$,最大値は$\sqrt6$です。最大では立方体になり,最小では二辺がつぶれます。

例題$12$ 重みを付けると立方体ではなくなる

$x^2+y^2+z^2=1$のとき
$$ \sqrt{x^2+y^2}+2\sqrt{y^2+z^2}+3\sqrt{z^2+x^2} $$
の最大値を求める。
同じく 第$20$回北海道高等学校数学コンテスト 問題$1$(4) の最良定数を求める問題です。
前問のつもりで三項まとめてコーシーを使うと$\sqrt{28}$が出ます。ただ,その等号条件は,直方体の三本の対角線としては実現できません。ここは図形に戻る意味があります。
三本の長さを順に$u,v,w$と書くと
$$ u^2+v^2+w^2=2,\quad 0\leqq w\leqq1 $$
最も重い$w$を残して,最初の二本だけをまとめると
$$ u+2v\leqq\sqrt5\sqrt{2-w^2} $$
さらに,$0\leqq w\leqq1$では
$$ \sqrt{2-w^2}\leqq2-w $$
これは両辺を二乗すれば$2(w-1)^2\geqq0$に戻ります。円$x^2+y^2=2$を接線$x+y=2$で上から押さえた形でもあります。
したがって
$$ u+2v+3w \leqq\sqrt5(2-w)+3w \leqq3+\sqrt5 $$
等号は
$$ y=0,\quad |x|=\dfrac1{\sqrt5},\quad |z|=\dfrac2{\sqrt5} $$
で実現するので,最大値は$3+\sqrt5$
前問の対称な立方体から,今度は一辺がつぶれた長方形に変わりました。重みを付けると等号の図形も変わるので,対称っぽいから全部等しいとするのは危ないっす。

例題$13$ $xy+yz+zx-2xyz$を体積にする

$x,y,z\geqq0,x+y+z=1$のとき
$$ 0\leqq xy+yz+zx-2xyz\leqq\dfrac7{27} $$
を示す。
$\mathrm{IMO1984}$第$1$問 です。
一辺$1$の立方体の中で,座標を$(X,Y,Z)$とします。三条件
$$ X\leqq x,\quad Y\leqq y,\quad Z\leqq z $$
のうち,少なくとも二つを満たす部分を考えます。
二条件ずつを満たす三つの直方体の体積は$xy,yz,zx$です。ただ,三条件をすべて満たす体積$xyz$の部分を三回数えてしまっています。一回だけ数えるように直すと,全体の体積は
$$ xy+yz+zx-2xyz $$
これで下から$0$というのは見えました。
上からは,三つの幅をそろえるのがよさそうです。ただし図を見た印象だけでは証明にならないので,そろえた方がよいことを式で確認します。
最も小さい変数を$z$とすれば$0\leqq z\leqq\dfrac13$です。$x+y=1-z$より
$$ \begin{aligned} xy+yz+zx-2xyz &=z(1-z)+(1-2z)xy\\ &\leqq z(1-z)+\dfrac{(1-2z)(1-z)^2}{4}\\ &=\dfrac14+\dfrac{z^2}4-\dfrac{z^3}2 \end{aligned} $$
さらに
$$ \dfrac7{27}-\left(\dfrac14+\dfrac{z^2}4-\dfrac{z^3}2\right) =\dfrac{(1-3z)^2(1+6z)}{108}\geqq0 $$
なので上限も示せました。
上側の等号は$x=y=z=\dfrac13$,下側の等号は$(1,0,0)$の並べ替えで成り立ちます。
この解法は,最後まで図だけで押し切っているわけではありません。ただ,何の体積なのかが分かると,負にならない理由と,幅をそろえるという方針が同時に見えるのがよいところだと思います。

④ 一次式の係数を正四面体の頂点にする

ここからが今回いっっっっちばん書きたかったところです。
例えば$a+b+c$は,点$(a,b,c)$とベクトル$(1,1,1)$の内積です。係数を点だと思って並べると,式の対称性が立体の対称性として見えてきます。
この節では
$$ \mathrm{A}(1,1,1),\quad \mathrm{B}(1,-1,-1),\quad \mathrm{C}(-1,1,-1),\quad \mathrm{D}(-1,-1,1) $$
を何度か使います。どの二頂点の距離も$2\sqrt2$なので,これは原点を中心とする正四面体です。

例題$14$ 四つの絶対値を,平面までの距離にする

実数$a,b,c$が$a^2+b^2+c^2=1$を満たすとき
$$ S=\dfrac18\left( |a+b+c|+|-a+b+c|+|a-b+c|+|a+b-c| \right) $$
の最大値と最小値を求める。白星フウの自作問題です。
絶対値の中は,必要に応じて$-1$倍しても値が変わりません。そこで四つの一次式を
$$ a+b+c,\quad a-b-c,\quad -a+b-c,\quad -a-b+c $$
と見ます。係数は,ちょうど上の正四面体の四頂点です。
さらに$a^2+b^2+c^2=1$なので,平面
$$ ax+by+cz=0 $$
までの各頂点の距離は,これらの一次式の絶対値そのものです。

図は平面が$z=0$の場合の例です。一般の平面も原点を通り,法線の向きだけが変わります。
つまりこの問題は,正四面体の四頂点から,中心を通る平面までの距離の和を調べています。
四つの符号付きの値の和は$0$で,二乗和は
$$ (a+b+c)^2+(a-b-c)^2+(-a+b-c)^2+(-a-b+c)^2=4 $$
最大値はコーシーシュワルツから
$$ (8S)^2\leqq4\times4=16 $$
なので$S\leqq\dfrac12$です。$(a,b,c)=(1,0,0)$で実現します。
最小値の方は,平面の両側に分けてみます。符号付きの値の和が$0$なので,片側にある頂点からの距離の和と,反対側にある頂点からの距離の和は等しいです。その共通の値を$p$とします。
各側について,距離の二乗和は距離の和の二乗以下なので
$$ 4\leqq p^2+p^2=2p^2 $$
したがって$8S=2p\geqq2\sqrt2$となり
$$ \dfrac1{2\sqrt2}\leqq S\leqq\dfrac12 $$
が得られます。最小値は$(a,b,c)=\left(0,\dfrac1{\sqrt2},\dfrac1{\sqrt2}\right)$で実現します。
最大の等号条件は,一つの成分が$\pm1$で残りが$0$となることです。最小の等号条件は,一つの成分が$0$で,残り二つの絶対値がともに$\dfrac1{\sqrt2}$となることです。
図形では,最小のとき平面が正四面体の一辺と中心を通ります。その辺の両端の距離が$0$になり,残り二頂点の距離が等しくなるわけです。
絶対値を四つ場合分けするよりも,符号の違いを平面のどちら側にあるかとして読む方が,下限の理由まで見えやすいと思います。

例題$15$ 逆数の和を,正四面体への距離で見る

$a^2+b^2+c^2=1$のとき
$$ \begin{aligned} &\dfrac1{2-a-b-c}+\dfrac1{2-a+b+c}+\dfrac1{2+a-b+c}+\dfrac1{2+a+b-c} \end{aligned} $$
の最大値と最小値を求める。
こちらの投稿 で考えた問題です。 元の出題はこちら です。
さっきと同じ正四面体を使い,$\mathrm{P}(a,b,c)$とします。$\mathrm{P}$は単位球面上を動きます。
例えば
$$ \mathrm{PA}^2=(a-1)^2+(b-1)^2+(c-1)^2=2(2-a-b-c) $$
他の三つも同じなので,求める式は
$$ 2\left(\dfrac1{\mathrm{PA}^2}+\dfrac1{\mathrm{PB}^2}+\dfrac1{\mathrm{PC}^2}+\dfrac1{\mathrm{PD}^2}\right) $$
最大では一頂点に近付け,最小では逆向きに離れたくなります。ただし,これも見た目だけでは決まりません。
四つの分母を$t_1,t_2,t_3,t_4$とすると,正四面体の係数の対称性から
$$ \sum_{i=1}^4t_i=8,\quad \sum_{i=1}^4t_i^2=20,\quad 2-\sqrt3\leqq t_i\leqq2+\sqrt3 $$
$\mathrm{P}$を$\mathrm{A}$の方向に取ると,四つの分母は
$$ 2-\sqrt3,\quad2+\dfrac1{\sqrt3},\quad2+\dfrac1{\sqrt3},\quad2+\dfrac1{\sqrt3} $$
逆方向なら
$$ 2+\sqrt3,\quad2-\dfrac1{\sqrt3},\quad2-\dfrac1{\sqrt3},\quad2-\dfrac1{\sqrt3} $$
これで等号候補と,三回繰り返される値が分かりました。
ここで,$h>0,t>0$に対する恒等式
$$ \dfrac1t=\dfrac{2h-t}{h^2}+\dfrac{(t-h)^2}{h^2t} $$
を使います。
まず$h=2+\dfrac1{\sqrt3}$とすると
$$ \sum_{i=1}^4(t_i-h)^2=\dfrac{16}3 $$
なので,$t_i\geqq2-\sqrt3$を使って
$$ \begin{aligned} \sum_{i=1}^4\dfrac1{t_i} &=\dfrac{8h-8}{h^2}+\sum_{i=1}^4\dfrac{(t_i-h)^2}{h^2t_i}\\ &\leqq\dfrac{8h-8}{h^2}+\dfrac{16}{3h^2(2-\sqrt3)}\\ &=\dfrac{40+8\sqrt3}{11} \end{aligned} $$
下からは$h=2-\dfrac1{\sqrt3}$とし,$t_i\leqq2+\sqrt3$を使えば
$$ \begin{aligned} \sum_{i=1}^4\dfrac1{t_i} &\geqq\dfrac{8h-8}{h^2}+\dfrac{16}{3h^2(2+\sqrt3)}\\ &=\dfrac{40-8\sqrt3}{11} \end{aligned} $$
したがって最小値は$\dfrac{40-8\sqrt3}{11}$,最大値は$\dfrac{40+8\sqrt3}{11}$です。最大は$(a,b,c)=\dfrac1{\sqrt3}(1,1,1)$,最小はその逆向きで実現します。他の頂点の方向でも同様です。
図形にしただけで一行で終わる問題ではありません。ただ,どの配置を等号候補にすればよいか,評価の中にどの値を入れればよいかは,正四面体を見たことで決まってます。

例題$16$ 頂点ではなく,向かい合う辺までの距離

この例は少し長いです。前の二題よりも,条件式の扱いが一段難しくなります。
$-1\leqq a,b,c\leqq1$かつ$ a^2+b^2+c^2-2abc=1 $とする。
$$ f(x,y,z)=\sqrt{2(x-1)^2+(y-z)^2}+\sqrt{2(x+1)^2+(y+z)^2} $$
と定めたとき
$$ \max\{f(a,b,c),f(b,c,a),f(c,a,b)\} $$
の最大値と最小値を求める。
こちらの投稿 で扱った問題です。 元の出題はこちら です。
さっきの正四面体と$\mathrm{P}(a,b,c)$を考えます。直線$\mathrm{AB},\mathrm{CD}$までの距離を$d_1,d_2$とすると
$$ d_1^2=(1-a)^2+\dfrac{(b-c)^2}2,\quad d_2^2=(1+a)^2+\dfrac{(b+c)^2}2 $$
なので
$$ f(a,b,c)=\sqrt2(d_1+d_2) $$
今回は,正四面体の向かい合う二辺までの距離の和になりました。他の二つの$f$は残り二組の向かい合う辺に対応します。

ここで使ってるのは直線までの距離です。ただし$|b\pm c|\leqq2$なので,垂線の足は対応する辺の上にも乗っています。
まず上限は条件式を整理すると
$$ \begin{aligned} (b-c)^2&=(1-a)(1+a-2bc),\\ (b+c)^2&=(1+a)(1-a+2bc) \end{aligned} $$
$t=\dfrac{1+a}{2}-bc$と書くと$0\leqq t\leqq1$で
$$ d_1^2=(1-a)(1-a+t),\quad d_2^2=(1+a)(2+a-t) $$
$|a|<1$なら
$$ \dfrac{d_1^2}{1-a}+\dfrac{d_2^2}{1+a}=3 $$
$a$を固定すると,$(d_1,d_2)$は第一象限の楕円上にあります。

図は$a=\dfrac12$のときの楕円です。元の条件から動けるのはこの楕円の一部なので,楕円全体と同一視はしません。上限にはこの大きい範囲での評価を使えます。
コーシーシュワルツから
$$ (d_1+d_2)^2 \leqq\bigl((1-a)+(1+a)\bigr) \left(\dfrac{d_1^2}{1-a}+\dfrac{d_2^2}{1+a}\right)=6 $$
なので$f(a,b,c)\leqq2\sqrt3$です。$a=\pm1$の場合も,$b=\pm c$を直接代入すれば同じ上限が得られます。循環させた他の二つも同様です。
次に下限,ここは楕円全体を自由に動けるわけではないことが効いてきます。
固定した$a$に対して
$$ F_a(t)=\sqrt2\left( \sqrt{(1-a)(1-a+t)}+\sqrt{(1+a)(2+a-t)} \right) $$
と書きます。平方根の和なので,$t$について上に凸であり,区間の両端を結ぶ弦より上にあります。また
$$ g(s)=\sqrt2\left(1+s+\sqrt{(1-s)(2-s)}\right) $$
とすると
$$ F_a(0)=g(-a),\quad F_a(1)=g(a),\quad F_a\left(\dfrac{1-a}2\right)=2\sqrt3 $$
$g$は$-1\leqq s\leqq1$で減少します。実際,$s<1$では
$$ g'(s)=\sqrt2\left(1-\dfrac{3-2s}{2\sqrt{(1-s)(2-s)}}\right)<0 $$
で,不等号は$(3-2s)^2-4(1-s)(2-s)=1$から分かります。
ここで二つに分けます。
・$|a|,|b|,|c|$のうち一つが$\dfrac12$以下の場合
その変数を$a$とすれば,上に凸であることから
$$ \begin{aligned} f(a,b,c)=F_a(t)&\geqq\min\{g(-a),g(a)\}\\ &\geqq g\left(\dfrac12\right)\\ &=\dfrac{3+\sqrt3}{\sqrt2} \end{aligned} $$
三つの$f$の最大値もこれ以上になります。
・$|a|,|b|,|c|$がすべて$\dfrac12$より大きい場合
$abc<0$なら$a^2+b^2+c^2-2abc>\dfrac34+\dfrac14=1$となるので,$abc>0$です。二変数の符号を同時に変えても三つの$f$の値の組は変わらないので,並べ替えもして
$$ \dfrac12< a\leqq b\leqq c\leqq1 $$
としてよいです。
このとき$bc\geqq a$です。確認しておくと,条件式を$a$の二次方程式として解けば
$$ a=bc\pm\sqrt{(1-b^2)(1-c^2)} $$
$b\leqq c$より
$$ (1-b^2)(1-c^2)-b^2(1-c)^2 =(1-c)(1+c-2b^2)\geqq0 $$
なので,$+$の方を選ぶと$a\geqq bc+b(1-c)=b$です。$c<1$なら上の不等号は厳密になり$a>b$となるため選べません。$c=1$なら$a=b=bc$です。したがって,どちらにせよ$bc\geqq a$です。
よって
$$ 0\leqq t\leqq\dfrac{1-a}2 $$
この短い区間の両端で評価すれば
$$ F_a(t)\geqq\min\{g(-a),2\sqrt3\} \geqq g\left(\dfrac12\right) $$
$a=1$では$t=0$となり,直接同じ結論が得られます。
以上で下限も示せました。$(a,b,c)=\left(-\dfrac12,-\dfrac12,-\dfrac12\right)$では三つの$f$がすべて$\dfrac{3+\sqrt3}{\sqrt2}$になるので,最小値は$\dfrac{3+\sqrt3}{\sqrt2}$です。$(a,b,c)=(1,1,1)$では三つとも$2\sqrt3$になり,最大値は$2\sqrt3$です。
この問題では,図形にすると距離の二乗が楕円の式にまとまるところが大きいです。一方で下限には,三組の距離が同じ$a,b,c$から作られていることまで使う必要がありました。

⑤ 条件式から正八面体が現れる

例題$17$ 六つの平方根と,面の外接円

実数$x,y,z$が
$$ x^2+y^2+z^2=1,\quad x^2y^2+y^2z^2+z^2x^2+2xyz=0 $$
を満たすとき
$$ \begin{aligned} S={}&\sqrt{2-2x}+\sqrt{2+2x} +\sqrt{2-2y}+\sqrt{2+2y}+\sqrt{2-2z}+\sqrt{2+2z} \end{aligned} $$
の最大値と最小値を求める。
こちらの投稿 で扱った問題です。 元の出題はこちら です。
点$\mathrm{P}(x,y,z)$と,正八面体の六頂点
$$ \begin{gathered} \mathrm{A}(1,0,0),\ \mathrm{B}(0,1,0),\ \mathrm{C}(0,0,1), \mathrm{A}'(-1,0,0),\ \mathrm{B}'(0,-1,0),\ \mathrm{C}'(0,0,-1) \end{gathered} $$
を考えます。$x^2+y^2+z^2=1$より
$$ \mathrm{PA}=\sqrt{2-2x},\quad \mathrm{PA}'=\sqrt{2+2x} $$
などとなるので,$S$は六頂点までの距離の和です。
問題は二つ目の条件です。ここで
$$ \begin{aligned} &(1-x-y-z)(1-x+y+z)(1+x-y+z)(1+x+y-z)=(1-x^2-y^2-z^2)^2-4(x^2y^2+y^2z^2+z^2x^2+2xyz) \end{aligned} $$
と因数分解できるので,条件から四つの一次式のどれかが$0$になります。
例えば$x+y+z=1$です。単位球面とこの平面の交わりは,三角形$\mathrm{ABC}$の外接円です。
三角形の面の中を動くんじゃなく,その外接円周上を動くというところに気を付けてください。面の内部のほとんどの点は単位球面上にありません。

二成分の符号を同時に変える操作と座標の入れ替えで,条件式と$S$は保たれます。この操作で四つの円のどれも$x+y+z=1$の円に移せます。さらに座標を入れ替えれば,$\mathrm{C}$を含まない弧$\mathrm{AB}$上に$\mathrm{P}$があるとしてよいです。
最大値は次の図のように円を正面から見ます。

円に内接する四角形$\mathrm{APBC}$にトレミー使うと,三角形$\mathrm{ABC}$が正三角形であることから
$$ \mathrm{PC}=\mathrm{PA}+\mathrm{PB} $$
また
$$ \mathrm{PA}^2+\mathrm{PB}^2+\mathrm{PC}^2 =6-2(x+y+z)=4 $$
なので
$$ \mathrm{PC}^2=(\mathrm{PA}+\mathrm{PB})^2 \leqq2(\mathrm{PA}^2+\mathrm{PB}^2) =2(4-\mathrm{PC}^2) $$
したがって
$$ \mathrm{PC}\leqq\sqrt{\dfrac83} $$
対頂点への距離には
$$ \mathrm{PA}^2+\mathrm{PA}'^2 =\mathrm{PB}^2+\mathrm{PB}'^2 =\mathrm{PC}^2+\mathrm{PC}'^2=4 $$
という関係があります。よって
$$ \begin{aligned} &\mathrm{PA}'+\mathrm{PB}' \leqq\sqrt{2(\mathrm{PA}'^2+\mathrm{PB}'^2)} =\sqrt{8+2\mathrm{PC}^2},\\ &\mathrm{PC}'+\sqrt2\,\mathrm{PC}\leqq2\sqrt3 \end{aligned} $$
これらを合わせると
$$ \begin{aligned} S&=2\mathrm{PC}+\mathrm{PA}'+\mathrm{PB}'+\mathrm{PC}'\\ &\leqq(2-\sqrt2)\mathrm{PC}+2\sqrt3+\sqrt{8+2\mathrm{PC}^2}\\ &\leqq\dfrac{2(1+2\sqrt2+\sqrt{10})}{\sqrt3} \end{aligned} $$
最後の式は$\mathrm{PC}$とともに増えるので,さっきの上限を入れました。
$\mathrm{P}=\left(\dfrac23,\dfrac23,-\dfrac13\right)$で全部の等号が成立します。したがって,これが最大値です。
最小値はこっちは二つ目の条件を使わず,単位球面全体で下から評価できます。
$$ \sqrt{2-2x}+\sqrt{2+2x} =2\sqrt{1+\sqrt{1-x^2}} $$
$0\leqq t\leqq1$で$h(t)=2\sqrt{1+\sqrt{1-t}}$とすると,$h$は上に凸です。平方根が上に凸かつ増加する関数であることを二回使えば分かります。
したがって,グラフは端点を結ぶ弦より上にあり
$$ h(t)\geqq(1-t)h(0)+th(1)=2\sqrt2(1-t)+2t $$
$t=x^2,y^2,z^2$として足すと
$$ S\geqq2\sqrt2(3-1)+2=2+4\sqrt2 $$
$(x,y,z)=(1,0,0)$で二つの条件も満たし,等号が成り立ちます。よって最小値は$2+4\sqrt2$です。
最大の等号は,$\left(\dfrac23,\dfrac23,-\dfrac13\right)$の座標を並べ替え,さらに二成分の符号を同時に変えた点です。最小の等号は正八面体の六頂点です。
この例では,六つの平方根を六頂点への距離にすることと,条件式を因数分解して動く円を見つけることの両方が必要でした。特に,代数の四次式から正八面体の面の外接円が出てくるとこが面白いと思っています。

例題$18$ 絶対値を増やすと切頂八面体になる

ここで,同じ読み方が正四面体だけのものではない例を置いておきます。
$a^2+b^2+c^2=1$のとき
$$ T=|a+b|+|a-b|+|b+c|+|b-c|+|c+a|+|c-a| $$
の最大値と最小値を求める。
まず
$$ |a+b|+|a-b|=2\max\{|a|,|b|\} $$
です。符号の変更や並べ替えで$T$は変わらないので,絶対値の大きい順に$A\geqq B\geqq C\geqq0$と書くと
$$ T=4A+2B,\quad A^2+B^2+C^2=1 $$
上からは
$$ T\leqq\sqrt{4^2+2^2}\sqrt{A^2+B^2}\leqq2\sqrt5 $$
で,$(A,B,C)=\left(\dfrac2{\sqrt5},\dfrac1{\sqrt5},0\right)$で等号です。
下からは
$$ \begin{aligned} (2A+B)^2-3(A^2+B^2+C^2) &=A^2+4AB-2B^2-3C^2\\ &\geqq A^2+4AB-5B^2\\ &=(A-B)(A+5B)\geqq0 \end{aligned} $$
なので$T\geqq2\sqrt3$です。$A=B=C=\dfrac1{\sqrt3}$で等号となり,最小値は$2\sqrt3$,最大値は$2\sqrt5$です。
ここまでは絶対値の整理ですが,もう一段図形にしてみます。
$4A+2B$という式は,ベクトル$(a,b,c)$と$ (\pm4,\pm2,0) $の座標をすべて並べ替えた$24$個のベクトルとの内積のうち,最大のものです。絶対値が最大の成分に$4$,次の成分に$2$を合わせ,符号もそろえると分かります。
この$24$点を頂点とする立体は切頂八面体です。

この立体は次の不等式で表されます。
$$ |X|\leqq4,\quad |Y|\leqq4,\quad |Z|\leqq4,\quad |X|+|Y|+|Z|\leqq6 $$
境界には正方形の面が六つ,正六角形の面が八つあります。
ある向きの単位ベクトル$(a,b,c)$を固定したとき,$T$は原点から,その向きに立体を挟む平面までの距離になっています。原点を含む側へ平面を動かして,立体に初めて接する位置を考えればよいです。
最大では平面が頂点に接し,原点から頂点までの距離$\sqrt{4^2+2^2}=2\sqrt5$になります。最小では正六角形の面に重なり,例えば平面$X+Y+Z=6$までの距離$\dfrac6{\sqrt3}=2\sqrt3$になります。
正四面体の例と同じく,係数を点として並べることで,代数の対称性が立体になりました。

⑥ 円・楕円・回転楕円体で,座標の向きまで考える

積が出てきたら面積や体積を考えたくなりますよね。ただ,球を一次式で写すと楕円体になるので,直方体の辺と楕円体の軸の向きがそろっているかまで見ておきたいです。

例題$19$ 二つの距離の和から,楕円と長方形を作る

実数$x,y$が
$$ \sqrt{(x-1)^2+y^2}+\sqrt{(x+1)^2+y^2}=4 $$
を満たすとき,$xy$の最大値と最小値を求める。
左辺は二定点$(1,0),(-1,0)$までの距離の和なので,動く場所は楕円です。二つの距離の二乗の差は$-4x$で,和が$4$だから,各距離は$2-\dfrac x2,2+\dfrac x2$となります。これを二乗して整理すると
$$ \dfrac{x^2}{4}+\dfrac{y^2}{3}=1 $$
逆にこの楕円上では$|x|\leqq2$なので,上の二つの距離は非負になり,元の条件に戻せます。

四点$(\pm x,\pm y)$を頂点に持つ長方形の面積は$4|xy|$です。楕円を横に$\dfrac12$倍,縦に$\dfrac1{\sqrt3}$倍すれば,単位円に内接する長方形になります。その面積は正方形のとき最大です。
式では
$$ 1=\dfrac{x^2}{4}+\dfrac{y^2}{3}\geqq\dfrac{|xy|}{\sqrt3} $$
なので,$|xy|\leqq\sqrt3$です。等号は$|x|=\sqrt2,|y|=\sqrt{\dfrac32}$で成り立ちます。
したがって最大値は$\sqrt3$,最小値は$-\sqrt3$です。最大では$x,y$が同符号,最小では異符号になります。
楕円のまま図を眺めてもいいですし,円に縮めてから正方形を探してもいいです。

例題$20$ 二乗の係数を,内接直方体の辺の比に戻す

正の定数$A,B,C$に対して
$$ \dfrac{x^2}{A^2}+\dfrac{y^2}{B^2}+\dfrac{z^2}{C^2}=1 $$
のとき,$|xyz|$の最大値を求める。
$(\pm x,\pm y,\pm z)$の八頂点は,同じ楕円体上にあります。座標軸に平行な辺を持つ内接直方体で,体積は$8|xyz|$です。

図は$A=B$の回転楕円体の例です。各軸方向に$\dfrac1A,\dfrac1B,\dfrac1C$倍すれば,単位球に内接する直方体になります。
AMGMから
$$ \dfrac{x^2y^2z^2}{A^2B^2C^2} \leqq\left(\dfrac{\dfrac{x^2}{A^2}+\dfrac{y^2}{B^2}+\dfrac{z^2}{C^2}}3\right)^3 =\dfrac1{27} $$
なので,最大値は$\dfrac{ABC}{3\sqrt3}$です。等号は
$$ |x|=\dfrac A{\sqrt3},\quad |y|=\dfrac B{\sqrt3},\quad |z|=\dfrac C{\sqrt3} $$
で成り立ち,最大体積は$\dfrac{8ABC}{3\sqrt3}$です。
楕円体の中で最大になる直方体は,一般には立方体ではありません。球に縮めたあとで立方体になるので,元の辺の比は$A:B:C$になります。

例題$21$ 一次式の積から,軸の傾いた回転楕円体へ

実数$x,y,z$が$x^2+y^2+z^2=1$を満たすとき
$$ (2x-y)(2y-z)(2z-x) $$
の最大値を求める。出典は『大学への数学』$2013$年$5$月号「宿題」です。
目的の三つの一次式をそのまま座標にして
$$ u=2x-y,\quad v=2y-z,\quad w=2z-x $$
と置きます。逆に
$$ x=\dfrac{4u+2v+w}{7},\quad y=\dfrac{u+4v+2w}{7},\quad z=\dfrac{2u+v+4w}{7} $$
と戻せるので,この変換で点を落としてしまうことはありません。条件式は
$$u^2+v^2+w^2+2(u+v+w)^2=7$$
ここで,直線$u=v=w$方向の成分を$p=\dfrac{u+v+w}{\sqrt3}$,その垂直方向の成分の長さを$R$とすると
$$ u^2+v^2+w^2=p^2+R^2 $$
なので
$$ p^2+\dfrac{R^2}{7}=1 $$
回転軸が$u=v=w$の方向を向き,軸方向の半径が$1$,それに垂直な方向の半径が$\sqrt7$の回転楕円体です。

積$8|uvw|$は,中心が原点で,辺が$u,v,w$軸に平行な直方体の体積です。ただし,ここには一つ注意があります。
その直方体が回転楕円体に内接するとは限りません。 条件式には混合項があるので,一成分だけ符号を変えると楕円体から外れることがあります。例えば$\sqrt{\dfrac75}(-1,-1,1)$は楕円体上ですが,同じ直方体の頂点$\sqrt{\dfrac75}(1,1,1)$では左辺が$\dfrac{147}{5}>7$になります。
ここでは,一頂点がこの回転楕円体上を動く直方体の体積として読み,その対称性を使っていきます。
例えば$x=y=z=\dfrac1{\sqrt3}$で正の値を取るので,最大値については$uvw>0$の範囲を考えれば十分です。三つとも正の場合は
$$ 7\geqq\dfrac{(u+v+w)^2}{3}+2(u+v+w)^2 $$
なので$u+v+w\leqq\sqrt3$です。よって$uvw\leqq\dfrac1{3\sqrt3}$となります。
残るのは一つが正,二つが負の場合です。式は$u,v,w$について対称なので,$u,v<0,w>0$としていいです。
二つの負の成分をそろえてよい理由を確認します。$m=-\dfrac{u+v}{2}>0$とすると
$$ \begin{aligned} &7=10m^2-8mw+3w^2+\dfrac{(u-v)^2}{2}\\ &uvw=\left(m^2-\dfrac{(u-v)^2}{4}\right)w \end{aligned} $$
$u,v$をともに$-m$へ移せば,積は増え,楕円体の条件式の左辺は減ります。その点を原点から同じ方向へ拡大して再び楕円体上に戻せば,正の積はさらに増えます。したがって最大では$u=v=-m$でなければなりません。
図形では,対称面$u=v$へ寄せてから,中心から外側へ動かしています。
あとはその切り口の楕円
$$ 10m^2-8mw+3w^2=7 $$
上で$m^2w$を最大にすればよいです。$t=\dfrac wm>0$とすると
$$ m^2w=\dfrac{7\sqrt7\,t}{(10-8t+3t^2)^{\frac32}} $$
この右辺を$t$で微分すると
$$ -\dfrac{14\sqrt7(3t-5)(t+1)}{(10-8t+3t^2)^{\frac52}} $$
となるので,$t=\dfrac53$で最大です。そのとき
$$ m=\sqrt{\dfrac75},\quad w=\dfrac53\sqrt{\dfrac75} $$
となり,求める最大値は$\dfrac{7\sqrt{35}}{15}$です。これは先ほどの三つとも正の場合の上限より大きいです。
元の文字では
$$ (x,y,z)=\dfrac1{\sqrt{315}}(-13,-5,11) $$
と,その循環的な並べ替えで等号が成り立ちます。
内接直方体の公式を入れるだけで終わる問題じゃなかったんだけど,回転楕円体として見たことで,軸の向きと,二つの一次式を等しくする方針がはっきりしました。体積として読めることと,その立体が内接していることは別に確かめるという例でもあります。

⑦ 条件式を角度に戻す・交代式を面積や円に戻す

ここは円や三角形に関する補足です。立体として読む演習へ進みたい人は,⑨,⑩へ進んでかまいません。

例題$22$ 三つの文字が三角形の余弦だった

$0\leqq a,b,c\leqq1$かつ$ a^2+b^2+c^2+2abc=1 $のとき,$a+b+c$の最大値と最小値を求める。
例題$16$と混合項の符号が違います。今度は三角形の三内角を疑ってみます。
$a=\cos A,b=\cos B$として$0\leqq A,B\leqq\dfrac\pi2$と取ると,条件式を$c$について解くことにより
$$ \begin{aligned} c&=-ab+\sqrt{(1-a^2)(1-b^2)}\\ &=-\cos(A+B) \end{aligned} $$
です。もう一方の解が非負になるのは境界で両者が一致する場合だけです。$c\geqq0$より$\dfrac\pi2\leqq A+B\leqq\pi$なので,$C=\pi-A-B$とすれば
$$ a=\cos A,\quad b=\cos B,\quad c=\cos C,\quad A+B+C=\pi $$
となります。境界でつぶれる場合を含め,鋭角または直角の三角形の余弦です。
$\cos$のグラフは$0\leqq t\leqq\dfrac\pi2$で上に凸なので
$$ a+b+c\leqq3\cos\dfrac{A+B+C}{3}=\dfrac32 $$
です。等号は正三角形,つまり$a=b=c=\dfrac12$で成り立ちます。
下からは三角形の恒等式
$$ \cos A+\cos B+\cos C =1+4\sin\dfrac A2\sin\dfrac B2\sin\dfrac C2\geqq1 $$
を使えます。境界の$(a,b,c)=(1,0,0)$などで等号です。
したがって最大値は$\dfrac32$,最小値は$1$です。三つの文字を全部同じ三角形の角度へ戻せることが,条件式の役割でした。

例題$23$ 六変数の交代式を円に内接する三角形の面積にする

実数$x_i,y_i$が$x_i^2+y_i^2=1\ (i=1,2,3)$を満たすとき
$$ \left|x_1y_2-x_2y_1+x_2y_3-x_3y_2+x_3y_1-x_1y_3\right| $$
の最大値と最小値を求める。
三点$\mathrm{A}(x_1,y_1),\mathrm{B}(x_2,y_2),\mathrm{C}(x_3,y_3)$は単位円上にあります。求める交代式の絶対値は,三角形$\mathrm{ABC}$の面積の$2$倍です。

三角形がつぶれてない場合,内角を$A,B,C$とすると,正弦定理より面積は
$$ 2\sin A\sin B\sin C $$
$C$を固定したとき
$$ \sin A\sin B=\dfrac{\cos(A-B)+\cos C}{2} \leqq\dfrac{1+\cos C}{2} $$
なので,面積は$\sin C(1+\cos C)$以下です。この関数を微分すれば
$$ \cos C+\cos2C=(2\cos C-1)(\cos C+1) $$
となり,$C=\dfrac\pi3$で最大値$\dfrac{3\sqrt3}{4}$を取ります。等号には$A=B$も必要なので,正三角形になります。
したがって元の式の最大値は$\dfrac{3\sqrt3}{2}$,最小値は$0$です。最小値は二点が一致するときなどに実現します。
$x_1y_2-x_2y_1$のような並びがあったら,面積や向きの付いた面積を一度疑ってみるといいです。

例題$24$ 球を円で切って,$3$倍角を出す

すべての実数$a,b,c$に対して
$$ \left|ab(a^2-b^2)+bc(b^2-c^2)+ca(c^2-a^2)\right| \leqq M(a^2+b^2+c^2)^2 $$
が成り立つような実数$M$の最小値を求める。 $\mathrm{IMO2006}$第$3$問
両辺は同じ四次式なので,$a=b=c=0$の場合を除き,$a^2+b^2+c^2=1$にそろえていいです。左辺の中身を因数分解すると
$$ ab(a^2-b^2)+bc(b^2-c^2)+ca(c^2-a^2)=-(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c) $$
球面上の点$(a,b,c)$を,直線$a=b=c$方向と,その垂直な平面への射影に分けます。軸方向の成分を$s=\dfrac{a+b+c}{\sqrt3}$,垂直な成分の長さを$r$とすると
$$ s^2+r^2=1 $$

$a+b+c$が一定の切り口は半径$r$の円です。例題$8$の後に挙げた関連記事の置き換えを,ここでは円そのものの半径$r$で書いています。余弦の前の係数が$r\sqrt{\dfrac23}$になるのはそのためです。この円は
$$ \begin{aligned} a=\dfrac s{\sqrt3}+r\sqrt{\dfrac23}\cos\theta,\quad b=\dfrac s{\sqrt3}+r\sqrt{\dfrac23}\cos\left(\theta-\dfrac{2\pi}3\right),\quad c=\dfrac s{\sqrt3}+r\sqrt{\dfrac23}\cos\left(\theta+\dfrac{2\pi}3\right) \end{aligned} $$
と表せます。
差を取ると軸方向の成分が消え,余弦の差の公式から
$$ \left|(a-b)(b-c)(c-a)\right| =\dfrac{r^3}{\sqrt2}|\sin3\theta| \leqq\dfrac{r^3}{\sqrt2} $$
したがって左辺全体は
$$ \sqrt{\dfrac32}|s|r^3 =\sqrt{\dfrac32}|s|(1-s^2)^{\frac32} $$
以下になります。$0\leqq t\leqq1$で$t(1-t^2)^{\frac32}$を微分すると
$$ \sqrt{1-t^2}(1-4t^2) $$
となるので,$t=\dfrac12$で最大です。よって
$$ \begin{aligned} M&=\sqrt{\dfrac32}\cdot\dfrac12\cdot\left(\dfrac34\right)^{\frac32}\\ &=\dfrac9{16\sqrt2} \end{aligned} $$
が候補です。
実際,$s=\dfrac12,r=\dfrac{\sqrt3}{2},\theta=\dfrac\pi6$とすれば二つの評価で等号が成り立ちます。例えば
$$ (a,b,c)=\left(\dfrac1{2\sqrt3}+\sqrt{\dfrac38},\ \dfrac1{2\sqrt3},\ \dfrac1{2\sqrt3}-\sqrt{\dfrac38}\right) $$
で実現するので,求める最小の定数は$\dfrac9{16\sqrt2}$です。
四次式を一気に評価する代わりに,球のどの高さの円を選ぶかと,その円のどの位置を選ぶかに分けました。対称軸に沿う成分は和に,垂直な成分は差に現れる,という分かれ方が効いています。

⑧ 分数を円の反転や複素平面で読む

例題$25$ 二乗和で割る式を反転する

実数$x,y$が$x+y=1$を満たすとき
$$ \dfrac{3x+4y}{x^2+y^2} $$
の最大値と最小値を求める。
原点を中心とする半径$1$の円に関する反転を考え
$$ u=\dfrac{x}{x^2+y^2},\quad v=\dfrac{y}{x^2+y^2} $$
とします。$x+y=1$なので原点は元の直線上になく,分母は必ず正です。
このとき
$$ u+v=\dfrac1{x^2+y^2}=u^2+v^2 $$
なので
$$ \left(u-\dfrac12\right)^2+\left(v-\dfrac12\right)^2=\dfrac12 $$
直線が,原点を通る円へ移りました。

逆にこの円の原点以外の点なら,$x=\dfrac{u}{u^2+v^2},y=\dfrac{v}{u^2+v^2}$と戻せます。つまり円全体から原点だけを除いたものが像です。
求める式は$3u+4v$です。円の中心での値が$\dfrac72$,半径方向に動かせる幅が$\dfrac5{\sqrt2}$なので
$$ \dfrac{7-5\sqrt2}{2}\leqq3u+4v\leqq\dfrac{7+5\sqrt2}{2} $$
両端を取る点は原点ではないため,どっちも実現します。
元の文字では,最大を
$$ (x,y)=\left(4-\dfrac{5\sqrt2}{2},-3+\dfrac{5\sqrt2}{2}\right) $$
で取り,二つの平方根の符号を逆にした点で最小になります。
二乗和で割っている形には,距離の逆数だけでなく,反転という読み方もあります。像の円から原点を除く必要があったように,戻せない点の確認も大事です。

例題$26$ 複素数の分数が別の円を描く

複素数$z$が$|z|=1$を満たすとき
$$ \left|\dfrac{z-2}{z-2i}\right| $$
の最大値と最小値を求める。
距離の比として読むこともできますが,分数全体を新しい点だと思って
$$ w=\dfrac{z-2}{z-2i} $$
と置きます。$|z|=1$なので分母は$0$になりません。また
$$ z=\dfrac{2iw-2}{w-1} $$
と戻せるので,$|z|=1$は$|2iw-2|=|w-1|$です。
$w=u+vi$と書いて二乗すると
$$ 3(u^2+v^2)+2u+8v+3=0 $$
すなわち
$$ \left(u+\dfrac13\right)^2+\left(v+\dfrac43\right)^2=\dfrac89 $$

この円上には$w=1$はないので,円周全体が逆変換できます。中心と原点の距離は$\dfrac{\sqrt{17}}3$,半径は$\dfrac{2\sqrt2}{3}$です。よって最小値は$\dfrac{\sqrt{17}-2\sqrt2}{3}$,最大値は$\dfrac{\sqrt{17}+2\sqrt2}{3}$です。
等号を取る$w$は,中心を表す複素数$\dfrac{-1-4i}{3}$を使って
$$ w=\dfrac{-1-4i}{3}\left(1\pm\dfrac{2\sqrt2}{\sqrt{17}}\right) $$
$+$が最大,$-$が最小で,上の逆変換が対応する$z$を与えます。
もとの点を動かしたまま分数を評価するのではなく,分数そのものが描く円を探しています。

⑨ 正十二面体・正二十面体まで進めるための手順

ここまでの絶対値の和を,もう少し一般の形にしておきます。これを使うと,正四面体や正八面体の係数を見つけたときだけでなく,別の多面体にも同じ方針で進められます。
固定したベクトル$\boldsymbol v_1,\ldots,\boldsymbol v_m$に対して,長さ$1$のベクトル$\boldsymbol n$を動かし
$$ F(\boldsymbol n)=\sum_{j=1}^m|\boldsymbol n\cdot\boldsymbol v_j| $$
を考えます。各項の符号をそれぞれ選べば
$$ F(\boldsymbol n)=\max_{\varepsilon_1,\ldots,\varepsilon_m=\pm1} \boldsymbol n\cdot\left(\varepsilon_1\boldsymbol v_1+\cdots+\varepsilon_m\boldsymbol v_m\right) $$
つまり,$2^m$通りの符号付きの和を点として置き,それらを包む最小の凸多面体を作れば,例題$18$と同じ話になります。重複する点や内側の点は,頂点から外してかまいません。
最大値は,その多面体の頂点のうち最も原点から遠いものまでの距離です。内積をコーシーで押さえ,最も遠い頂点の方向に$\boldsymbol n$を取れば示せます。
最小値は,原点から最も近い面までの距離です。原点中心の球を多面体の内側で大きくし,最初に面へ触れる半径を考えれば分かります。ここでは係数ベクトルが空間全体に広がっていて,多面体が平面につぶれない場合を考えています。すべての係数ベクトルが一つの平面内にある場合は,その平面に垂直な向きを取れば$F=0$となるので,最小値は$0$です。
この多面体は,$t_1\boldsymbol v_1+\cdots+t_m\boldsymbol v_m$において$-1\leqq t_j\leqq1$として得られる点全体でもあります。各$t_j$を端に取ったものが,さっきの符号付きの和です。
最小の計算では,すべての面を描く必要もありません。面の法線に垂直な係数ベクトルが二本はあるので,互いに平行でない二本の$\boldsymbol v_i,\boldsymbol v_j$に共に垂直な向きを候補にすれば十分です。平行な組は除きます。理由は,その向きに内積が$0$になる線分だけが,接している面の中で自由に動けるからです。面が二次元なら,そのような独立な方向が二本必要になります。
三次元なので,垂直な向きは連立する二つの一次式から求められます。ここまでくると,最大も最小も有限個の候補の計算になります。
正多面体の係数を探すための座標は,例えば次のように取れます。$\varphi=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$とします。循環は$(x,y,z),(y,z,x),(z,x,y)$の三通りで,符号はそれぞれ独立に選びます。

立体頂点の座標の取り方頂点数
正四面体$(1,1,1),(1,-1,-1),(-1,1,-1),(-1,-1,1)$$4$
正八面体$(\pm1,0,0)$とその循環$6$
立方体$(\pm1,\pm1,\pm1)$$8$
正二十面体$(0,\pm1,\pm\varphi)$とその循環$12$
正十二面体$(\pm1,\pm1,\pm1)$と,$\left(0,\pm\dfrac1\varphi,\pm\varphi\right)$の循環$20$

正ここでは座標軸の交換や拡大縮小をして,表の形にそろえています。

例題$27$ 黄金比の係数を正二十面体として読む

$\varphi=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$とする。$a^2+b^2+c^2=1$のとき
$$ \begin{aligned} I={}&|b+\varphi c|+|b-\varphi c| +|a+\varphi b|+|a-\varphi b|+|\varphi a+c|+|\varphi a-c| \end{aligned} $$
の最大値と最小値を求める。
係数の六方向とその逆向きを並べると,正二十面体の十二頂点です。$I$は,それらの頂点から平面$ax+by+cz=0$までの距離の和の半分になっています。

符号を変えても値は変わらないので,$a,b,c\geqq0$としてよく
$$ \dfrac I2=\max(b,\varphi c)+\max(a,\varphi b)+\max(\varphi a,c) $$
です。各$\max$でどっちを選ぶかは八通りあり,右辺は次の係数ベクトルとの内積の最大値になります。

係数ベクトル個数長さの二乗
$(1,1,1)$$1$$3$
$(\varphi,\varphi,\varphi)$$1$$3\varphi^2$
$(\varphi^2,1,0)$とその循環$3$$3\varphi^2$
$(\varphi,\varphi^2,0)$とその循環$3$$4\varphi+3$

したがって上限は$2\sqrt{4\varphi+3}=2\varphi\sqrt{\varphi+2}$です。
最小値は,先ほどの一般の手順で二つの係数ベクトルに垂直な方向を調べます。六本から二本を選ぶ$15$通りは,座標軸の方向と,次の方向にまとまります。
$$ \dfrac12\left(\varphi,1,\dfrac1\varphi\right) $$
後者は循環的な並べ替えと符号の変更を含みます。$\varphi^2+1+\dfrac1{\varphi^2}=4$なので長さは$1$です。どちらの型でも$I=2\varphi^2$になります。例えば後者では
$$ \dfrac I2=\dfrac12+\dfrac\varphi2+\dfrac{\varphi^2}2=\varphi^2 $$
です。よって最小値は$2\varphi^2$,最大値は$2\varphi\sqrt{\varphi+2}$です。
最小は$(a,b,c)=(1,0,0)$など,最大は$(a,b,c)=\dfrac1{\sqrt{\varphi+2}}(1,\varphi,0)$などで実現します。
黄金比が混ざった一次式を,正二十面体の頂点へ戻せた例です。最大では頂点方向が,最小では二本の係数に垂直な方向が出てきます。

例題$28$ 正十二面体の二十頂点まで進める

同じことを正十二面体でもやってみます。$a^2+b^2+c^2=1$のとき
$$ \begin{aligned} D={}&|a+b+c|+|a-b-c|+|-a+b-c|+|-a-b+c|+\left|\dfrac b\varphi+\varphi c\right|+\left|\dfrac b\varphi-\varphi c\right|+\left|\dfrac a\varphi+\varphi b\right|+\left|\dfrac a\varphi-\varphi b\right|+\left|\varphi a+\dfrac c\varphi\right|+\left|\varphi a-\dfrac c\varphi\right| \end{aligned} $$
の最大値と最小値を求めます。係数は正十二面体の向かい合う頂点の組から一つずつ選んだ十本です。

今回も$a,b,c\geqq0$としていいです。最初の四項は
$$ \max\{2(a+b+c),4a,4b,4c\} $$
で,残り六項は
$$ 2\left(\max\left(\dfrac b\varphi,\varphi c\right) +\max\left(\dfrac a\varphi,\varphi b\right) +\max\left(\varphi a,\dfrac c\varphi\right)\right) $$
したがって$D$は,$4\times2^3=32$通りの係数ベクトルとの内積の最大値です。係数の長さの二乗を$\varphi^2=\varphi+1$で整理すると,次の表になります。

長さの二乗個数
$24+4\varphi$$3$
$12+12\varphi$$1$
$44-4\varphi$$3$
$40+4\varphi$$3$
$28+12\varphi$$3$
$24+20\varphi$$3$
$40+20\varphi$$3$
$28+28\varphi$$9$
$24+36\varphi$$4$

最も大きいのは$24+36\varphi=12\varphi^4$なので,$D\leqq2\sqrt3\varphi^2$です。
下限は十本から二本を選ぶ$45$通りの垂直方向を調べます。十本の係数は長さがすべて$\sqrt3$で,二本の内積の絶対値は$1$または$\sqrt5$です。正十二面体の回転で同じ型に移せるものをまとめると,次の二種類になります。

二本の内積の絶対値組の数垂直方向の代表その方向での$D$
$1$$30$$\dfrac1{\sqrt2}(0,1,-1)$$\sqrt2(3\varphi+1)$
$\sqrt5$$15$$(1,0,0)$$4+2\sqrt5$

前者の値の方が小さいので,最小値は$\sqrt2(3\varphi+1)$,最大値は$2\sqrt3\varphi^2$です。最大は$(a,b,c)=\dfrac1{\sqrt3}(1,1,1)$,最小は表の第一行の点で実現します。
ここでは表の計算が長くなりましたが,何を調べれば十分かは決まっています。多面体の名前を増やすだけでなく,係数から作った立体の頂点と面の距離を調べるという手順にしておくと,正多面体以外の係数にも進められます。

五種類の正多面体で,頂点から平面までの距離を比べる

前の座標表の尺度を使い,各立体のすべての頂点から,原点を通る平面までの距離の和を考えると,結果は次のようにまとまります。

立体最小値最大値
正四面体$2\sqrt2$$4$
立方体$4\sqrt2$$8$
正八面体$2$$2\sqrt3$
正十二面体$2\sqrt2(3\varphi+1)$$4\sqrt3\varphi^2$
正二十面体$4\varphi^2$$4\varphi\sqrt{\varphi+2}$

正四面体は例題$14$の$8S$です。立方体の八頂点では,向かい合う頂点の距離が等しいので,その$2$倍になります。正八面体では距離の和が$2(|a|+|b|+|c|)$となり,$a^2+b^2+c^2=1$から上の範囲が得られます。正十二面体と正二十面体は,例題$28$と$27$で向かい合う頂点の片方だけを数えていたので,それぞれ$2D,2I$です。
これで五種類とも同じ問いとして扱えました。切頂八面体の例や一般の符号付きの和の手順もあるので,正多面体に限らない係数が出てきても,同じところから考え始められます。

⑩ 立体として読むための類題・演習

ここでは,式を立体の距離,体積,射影として読む問題を選びます。各題でどの立体の何を表すかとその見方が極値や等号条件にどう役立つかを確かめてみてください。
原題をそのまま扱うものと,原題を代数式で書き直したもの,本稿で設問を追加,一般化したものは,それぞれの出典欄で区別します。

演習式から見つけたいもの本文との対応
$1$二つの直方体の体積の和と差③
$2$同じ直方体の三本の面対角線③・⑥
$3$直方体の体積・表面積・全辺の長さ③
$4$正四面体の四頂点と辺の射影④
$5$八面体の面の正射影と絶対値の和④・⑤・⑨

各題の問題文のあとに解説を置きます。先に解きたい人は解説の直前で止めてみてください。

演習$1$ 分子と分母を二つの直方体の体積にする

出典:$2019$年第$1$回東大プレ
$|x|<1,|y|<1,|z|<1$とする。
$(1)$ $1+xy+yz+zx>0$を示す。
$(2)$ $\dfrac{x+y+z+xyz}{1+xy+yz+zx}$の値の範囲を求める。
解説
立方体$-1\leqq X,Y,Z\leqq1$の内部に点$(x,y,z)$を取ります。この点と頂点$(-1,-1,-1)$を向かい合う頂点とする直方体の体積を$U$,頂点$(1,1,1)$との間にできる直方体の体積を$V$とすると
$$ U=(1+x)(1+y)(1+z)>0,\quad V=(1-x)(1-y)(1-z)>0 $$
です。展開して足し引きすれば
$$ U+V=2(1+xy+yz+zx),\quad U-V=2(x+y+z+xyz) $$
となります。$(1)$は二つの正の体積の和なので正です。$(2)$の式は$\dfrac{U-V}{U+V}$で,$U,V>0$から$-1$より大きく$1$より小さくなります。
逆に$y=z=0$とすると元の式は$x$なので,$-1$から$1$までの間の値をすべて取れます。答えは
$$ -1<\dfrac{x+y+z+xyz}{1+xy+yz+zx}<1 $$
です。分母の正値も値域も二つの正の体積の和と差から同時に分かるところを見てほしいです。

演習$2$ 重みを変えると,直方体はいつつぶれるか

関連する出典: 第$20$回北海道高等学校数学コンテスト・問題$1$(3)(4) 。本文の例題$11$・$12$の重みを一般化した本稿追加の問題です。以下の一般式は原題ではありません。
正の定数$\alpha\leqq\beta\leqq\gamma$に対して,$x^2+y^2+z^2=1$の下で
$$ F=\alpha\sqrt{x^2+y^2}+\beta\sqrt{y^2+z^2}+\gamma\sqrt{z^2+x^2} $$
の最大値を求める。最大を与える直方体の形が$\gamma$の大きさによってどう変わるかも説明する。
解説
三辺が$|x|,|y|,|z|$の直方体を考え,三本の面対角線を順に$u,v,w$とします。空間の対角線が$1$なので
$$u^2+v^2+w^2=2,\qquad0\leqq u,v,w\leqq1$$
です。三本が同じ直方体の対角線であることから来る$u,v,w\leqq1$を,無視しないようにします。元の辺に戻すと
$$ \begin{aligned} x^2&=\dfrac{u^2+w^2-v^2}{2},\quad y^2=\dfrac{u^2+v^2-w^2}{2},\quad z^2=\dfrac{v^2+w^2-u^2}{2} \end{aligned} $$
であり,三つとも非負である必要があります。
まずコーシーシュワルツより
$$F\leqq\sqrt{2(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2)}$$
等号条件$u:v:w=\alpha:\beta:\gamma$を上の三式へ戻せるのは,$\gamma^2\leqq\alpha^2+\beta^2$のときです。$T=\alpha^2+\beta^2+\gamma^2$とすると,そのときの辺は
$$ (x^2,y^2,z^2)=\dfrac1T(\alpha^2+\gamma^2-\beta^2,\ \alpha^2+\beta^2-\gamma^2,\ \beta^2+\gamma^2-\alpha^2) $$
なので,上限が実現します。
一方,$\gamma^2\geqq\alpha^2+\beta^2$なら,$A=\sqrt{\alpha^2+\beta^2}$と置きます。$0\leqq w\leqq1$で$\sqrt{2-w^2}\leqq2-w$だから
$$ \begin{aligned} F&\leqq A\sqrt{2-w^2}+\gamma w\\ &\leqq A(2-w)+\gamma w\\ &\leqq A+\gamma \end{aligned} $$
$y=0,|x|=\dfrac{\alpha}{A},|z|=\dfrac{\beta}{A}$なら,$w=1,u:v=\alpha:\beta$となり等号です。
よって最大値は
$$ \begin{cases} \sqrt{2(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2)}&\bigl(\gamma^2\leqq\alpha^2+\beta^2\bigr)\\ \gamma+\sqrt{\alpha^2+\beta^2}&\bigl(\gamma^2\geqq\alpha^2+\beta^2\bigr) \end{cases} $$
境目では二つの式は一致します。最初の不等号が厳密なら三辺とも正の直方体,境目から先では$y=0$の長方形が最大を与えます。
例えば重み$(1,2,2)$なら最大値は$3\sqrt2$で,$|x|:|y|:|z|=1:1:\sqrt7$です。重み$(1,2,3)$なら最大値は$3+\sqrt5$で,一辺がつぶれます。不等式の等号条件が一つの立体として実現するかを確認する練習です。

演習$3$ 三つの対称式を,直方体の三つの量に戻す

出典: 英国数学オリンピック$2014$第$2$ラウンド第$2$問 を基にした改題です。原題は体積・表面積・全$12$辺の長さの和が数値としてすべて等しい直方体の不可能性を問うものです。本稿では代数式から出発する最大値の設問を加えます。
正数$a,b,c$が$ab+bc+ca=2(a+b+c)$を満たすとき,$\dfrac{abc}{a+b+c}$の最大値を求める。また,その結果から原題の不可能性を説明する。
解説
三辺$a,b,c$の直方体の体積・表面積・全辺の長さの和を$V,S,L$とすれば
$$V=abc,\quad S=2(ab+bc+ca),\quad L=4(a+b+c)$$
条件式は$S=L$を表しています。
ここで
$$ \begin{aligned} &(ab+bc+ca)^2-3abc(a+b+c)=\dfrac12\bigl((ab-bc)^2+(bc-ca)^2+(ca-ab)^2\bigr)\geqq0 \end{aligned} $$
なので,条件式を代入し,$a+b+c>0$で割れば
$$\dfrac{abc}{a+b+c}\leqq\dfrac43$$
等号には$a=b=c$が必要で,条件式から$a=b=c=2$。最大値は$\dfrac43$で,一辺$2$の立方体になります。
直方体の量に戻すと,$S=L$の下で$\dfrac{V}{L}\leqq\dfrac{1}{3}$です。したがって$V=S=L$は起こりません。対称式に現れる次数の違いを辺・面・体積の違いとして読むと原題との関係も見えます。

演習$4$ 四数の差を正四面体の辺の射影にする

出典: $\mathrm{APMO2022}$第$5$問
条件と問いは原題に沿い,正四面体による解説は本稿のものです。
実数$a,b,c,d$が$a^2+b^2+c^2+d^2=1$を満たすとき
$$F=(a-b)(b-c)(c-d)(d-a)$$
の最小値と,最小値を与えるすべての$(a,b,c,d)$を求める。
解説
本文④の正四面体を$\dfrac{1}{2}$倍し,四頂点を
$$ \begin{aligned} \mathrm{A}=\dfrac12(1,1,1),\quad \mathrm{B}=\dfrac12(1,-1,-1),\quad \mathrm{C}=\dfrac12(-1,1,-1),\quad \mathrm{D}=\dfrac12(-1,-1,1) \end{aligned} $$
とします。四数をこの四頂点の射影に共通の高さを足したものとして読みます。具体的には
$$ \begin{aligned} a=\dfrac{s+x+y+z}{2},\quad b=\dfrac{s+x-y-z}{2},\quad c=\dfrac{s-x+y-z}{2},\quad d=\dfrac{s-x-y+z}{2} \end{aligned} $$
と置きます。逆に
$$ \begin{aligned} s=\dfrac{a+b+c+d}{2},\quad x=\dfrac{a+b-c-d}{2},\quad y=\dfrac{a-b+c-d}{2},\quad z=\dfrac{a-b-c+d}{2} \end{aligned} $$
と戻せるのですべての四数を扱えます。条件式は
$$s^2+x^2+y^2+z^2=1$$
原点を$\mathrm{O}$とすれば,$\dfrac{s}{2}$は四数の平均で,例えば$a-\dfrac{s}{2}=(x,y,z)\cdot\overrightarrow{\mathrm{OA}}$となります。$(x,y,z)\ne(0,0,0)$なら$(x,y,z)=r\boldsymbol n$と書け,これは単位方向$\boldsymbol n$への射影を$r$倍したものです。$(x,y,z)=(0,0,0)$では四数が等しく$F=0$です。
四つの差は,四面体の辺$\mathrm{AB},\mathrm{BC},\mathrm{CD},\mathrm{DA}$の符号付き射影に共通倍率$r$を掛けたものに対応します。実際
$$ \begin{aligned} a-b=y+z,\quad b-c=x-y,\quad c-d=y-z,\quad d-a=-x-y \end{aligned} $$
だから
$$F=(y^2-x^2)(y^2-z^2)$$
共通の高さが消えて,向かい合う辺の射影の積が三つの垂直な方向の成分の二乗差にまとまりました。
$F<0$の場合だけ考えればよくて,$x,z$を必要に応じて交換し,$x^2\geqq y^2\geqq z^2$としてよいです。
$$U=x^2-y^2,\quad W=y^2-z^2$$
と置くと
$$-F=UW,\quad U+2W+3z^2=x^2+y^2+z^2\leqq1$$
よって
$$-F=UW\leqq\dfrac{(U+2W)^2}{8}\leqq\dfrac18$$
となります。これは,二辺$U,2W$の長方形の面積を,二辺の和から押さえる評価でもあります。
等号条件は$s=z=0,U=2W,U+2W=1$です。$x,z$の交換を戻すと
$$ \begin{gathered} s=0,\quad (x,y,z)=\left(\pm\dfrac{\sqrt3}{2},\pm\dfrac12,0\right) \quad\text{または}\quad \left(0,\pm\dfrac12,\pm\dfrac{\sqrt3}{2}\right) \end{gathered} $$
で,各符号は独立です。この$8$通りを上の$a,b,c,d$の式に戻したものが,すべての等号条件です。例えば
$$ (a,b,c,d)=\dfrac14(1+\sqrt3,-1-\sqrt3,1-\sqrt3,-1+\sqrt3) $$
で実現するので,最小値は$-\dfrac18$です。
四数だから四次元のまま考えるのではなく,共通の移動と,正四面体の四頂点の射影を分けるところを見てほしいです。

演習$5$ 四つの絶対値を,八面体の影の面積にする

出典: 第$26$回近畿大学数学コンテスト($2024$年)問題$\mathrm{B}$-$2$ を代数式で書き直したものです。原題は合同な三角形$8$枚からなる八面体の正射影の面積を問います。
正の定数$p\leqq q\leqq r$に対し,$U=qr,V=rp,W=pq$とする。$x^2+y^2+z^2=1$のとき
$$ \begin{aligned} F=\dfrac12\bigl(&|Ux+Vy+Wz|+|Ux-Vy-Wz|+|-Ux+Vy-Wz|+|-Ux-Vy+Wz|\bigr) \end{aligned} $$
の最大値・最小値を求め,この式の図形的な意味を説明する。
解説:何の面積か
六頂点$(\pm p,0,0),(0,\pm q,0),(0,0,\pm r)$の八面体を考えます。$p=q=r$のときは正八面体です。各面の三辺は$\sqrt{p^2+q^2},\sqrt{q^2+r^2},\sqrt{r^2+p^2}$で,すべて合同です。
第一象限の面を,単位法線が$(x,y,z)$の平面へ正射影します。この面の面積を$K$とすると,外向きの単位法線は$\dfrac{(qr,rp,pq)}{2K}$です。実際,このベクトルの向きは面$\dfrac{x}{p}+\dfrac{y}{q}+\dfrac{z}{r}=1$に垂直で,体積$K\cdot\dfrac{\text{高さ}}{3}=\dfrac{pqr}{6}$からその長さも確かめられます。
面の正射影の面積は
$$K\left|\dfrac{(qr,rp,pq)}{2K}\cdot(x,y,z)\right|=\dfrac12|Ux+Vy+Wz|$$
となります。他の面では法線の符号が変わります。八面体が凸なので,$8$面の正射影の面積を足すと影を表側と裏側から$2$回数えます。半分にし,さらに向かい合う面をまとめると,ちょうど$F$です。
つまり,求める式はこの八面体の影の面積でした。
最大値
$A=U|x|, B=V|y|, C=W|z|$とすると,四つの絶対値を整理して
$$F=\max\{2A,2B,2C,A+B+C\}$$
$U\geqq V\geqq W$だから
$$2A,2B,2C\leqq2U,\quad A+B+C\leqq\sqrt{U^2+V^2+W^2}\leqq\sqrt3U<2U$$
となり,$(x,y,z)=(1,0,0)$で実現します。最大値は$2qr$です。最も短い軸の方向から見た,対角線$2q,2r$のひし形になります。
最小値
$F=h$とすると
$$0\leqq A,B,C\leqq\dfrac h2,\quad A+B+C\leqq h$$
この領域は,一辺$\dfrac{h}{2}$の立方体の一つの角を,三つの隣接頂点を通る平面で切り落としたものです。残った頂点は原点,一成分だけが$\dfrac{h}{2}$の三点,二成分が$\dfrac{h}{2}$の三点です。
本文②と同じく,各線分で下に凸な二次式
$$\dfrac{A^2}{U^2}+\dfrac{B^2}{V^2}+\dfrac{C^2}{W^2}$$
の最大値は,この領域の頂点で調べれば十分です。$U\geqq V\geqq W$より,最大なのは$(A,B,C)=\left(0,\dfrac{h}{2},\dfrac{h}{2}\right)$です。したがって
$$1=x^2+y^2+z^2\leqq\dfrac{h^2}{4}\left(\dfrac1{V^2}+\dfrac1{W^2}\right)$$
となり
$$F\geqq\dfrac{2VW}{\sqrt{V^2+W^2}}=\dfrac{2pqr}{\sqrt{q^2+r^2}}$$
$(x,y,z)=\dfrac{(0,q,r)}{\sqrt{q^2+r^2}}$で実現するので,これが最小値です。
特に$p=q=r=1$の正八面体では,最小値は$\sqrt2$,最大値は$2$です。
原題の三角形の辺を$a\geqq b\geqq c>0$とすれば
$$ p^2=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2},\quad q^2=\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2},\quad r^2=\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2} $$
で原題へ戻せます。原題の$\sqrt{b^2+c^2}>a$という条件は,$p>0$に対応します。
同じ絶対値の和でも,本文④では頂点から平面までの距離,ここでは面の正射影を足した面積になりました。

補充演習 立方体の切り口から式の最小値へ戻る

出典:$2026$年度第$1$回東大テストゼミ理系数学第$4$問
これは原題から立体の問題なので,上の五題のあとに図形と式を行き来する練習として置きます。
一辺$1$の立方体$\mathrm{OABC}$-$\mathrm{DEFG}$を考える。辺$\mathrm{AE},\mathrm{DG}$の中点をそれぞれ$\mathrm{M},\mathrm{N}$とし,$\mathrm{P}$を辺$\mathrm{DE}$上,$\mathrm{Q}$を辺$\mathrm{BC}$上に取る。$\mathrm{DP}=p,\mathrm{CQ}=q$とする。
$(1)$ 四点$\mathrm{M},\mathrm{N},\mathrm{P},\mathrm{Q}$が同一平面上にある条件を求める。
$(2)$ この条件の下で,四角形$\mathrm{PMQN}$の面積の値域を求める。
解説
頂点を
$$ \begin{aligned} \mathrm{O}(0,0,0),\quad \mathrm{A}(1,0,0),\quad \mathrm{B}(1,1,0),\quad \mathrm{C}(0,1,0),\quad \mathrm{D}(0,0,1),\quad \mathrm{E}(1,0,1),\quad \mathrm{F}(1,1,1),\quad \mathrm{G}(0,1,1) \end{aligned} $$
とすれば
$$\mathrm{M}\left(1,0,\dfrac12\right),\quad\mathrm{N}\left(0,\dfrac12,1\right),\quad\mathrm{P}(p,0,1),\quad\mathrm{Q}(1-q,1,0)$$
三点$\mathrm{M},\mathrm{N},\mathrm{P}$を通る平面は
$$X+2pY+2(1-p)Z=2-p$$
なので,$\mathrm{Q}$も乗る条件は$3p-q=1$。$0\leqq p,q\leqq1$と合わせ,$\dfrac{1}{3}\leqq p\leqq\dfrac{2}{3}$です。
四角形の面積を$S$とします。二本の対角線で四つの三角形に分けた面積公式と内積から,$\boldsymbol u=\overrightarrow{\mathrm{MN}},\boldsymbol v=\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$を使って$S^2=\dfrac14\bigl(|\boldsymbol u|^2|\boldsymbol v|^2-(\boldsymbol u\cdot\boldsymbol v)^2\bigr)$と計算できます。ここでは
$$\boldsymbol u=\left(-1,\dfrac12,\dfrac12\right),\quad\boldsymbol v=(2-4p,1,-1)$$
だから
$$ \begin{aligned} S^2&=\dfrac14\bigl(|\boldsymbol u|^2|\boldsymbol v|^2-(\boldsymbol u\cdot\boldsymbol v)^2\bigr)\\ &=\dfrac34+2\left(p-\dfrac12\right)^2 \end{aligned} $$
したがって
$$\dfrac{\sqrt3}{2}\leqq S\leqq\dfrac{\sqrt{29}}6$$
で,最小は$(p,q)=\left(\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{2}\right)$,最大は$\left(\dfrac{1}{3},0\right),\left(\dfrac{1}{3},1\right)$です。$S$は$p$とともに連続に変わるのでこの間の値をすべて取ります。

⑪ どういう式を見たら図形を疑うか

ここまでの例を問題を見たときの手掛かりに戻してみます。

式や条件試してみたい読み方そこで見たいこと
$\lvert f(x)\rvert$の一様な上限数直線上の区間と原点の距離両端をそろえられるか
平方根の和線分の長さの和反射・回転で一本につながるか
二つの一次式の二乗和一次式を座標にした点と原点の距離正方形や立方体の像は何か
一次式どうしの比定点から動点への傾き円への接線で両端が決まるか
$x^2+xy+y^2$余弦定理の$120^\circ$辺の和や射影として足せるか
$xyz=k^2(x+y+z)$接線の長さと内接円ヘロンの公式に戻せるか
$\sqrt{x^2+y^2}$の循環和直方体の面の対角線空間の対角線との関係は何か
$xy,yz,zx,xyz$が混ざる直方体の体積の重複何回数えた部分なのか
符号だけが違う一次式係数を頂点にした多面体頂点・辺・平面までの距離か
球面の条件と対称な高次式因数分解して平面と交わらせる円や面の外接円にならないか
二次式の制約と一次式の積楕円体と直方体の体積八頂点が条件を満たすか・軸がそろうか
$a^2+b^2+c^2+2abc=1$三角形の三内角の余弦角の和が$\pi$になるか
$x_iy_j-x_jy_i$の循環和座標で表した面積共通の円や外接円があるか
三変数の和と差の積対称軸方向と垂直な成分高さと円周上の位置に分けられるか
二乗和で分子を割る円に関する反転直線が円へ移るか・除く点はあるか
複素数の分数の絶対値分数全体を点とした像像が円になるか・逆に戻せるか

個人的には最初から変わった図形を思い付こうとするより,式の一部分だけでも知っている図形に戻してみる方が入りやすいと思います。
また,図形にしたあとも次の三つは確認しておきたいです。
・動点が本当にその範囲全部を動けるか
・使った不等式の等号条件を元の文字で実現できるか
・対称な配置がよさそうという予想を証明に戻せているか
特に,円周上と円板上,直線と線分,三角形の面とその外接円は違います。この違いを飛ばすと図はそれっぽくても別の問題を解いてしまうことがあります。

関連して読める問題と出典

本文と演習の出典をまとめておきます。解説はこの記事の方針に合わせて書き直しています。

本文出典ここでの扱い
例題$1$$2018$年東大実戦数学理科第$1$問$k$を求める原題に,$a$も動かす問いを追加
例題$4$ $\mathrm{OMC015(D)}$,$\mathrm{simasima}$さん作問 公式解説の折れ線の解釈を参照
例題$5$$2017$年東京理科大学工学部二つの一次式が表す平行四辺形として解説
例題$6$$2021$年度第$2$回京大本番レベル模試理系立方体の像である六角形として解説
例題$11$・$12$ 第$20$回北海道高等学校数学コンテスト問題$1$(3)(4) 最良定数を最大値として書き直した。例題$11$の最小値は追加
例題$13$ $\mathrm{IMO1984}$第$1$問 直方体の体積の重複として解釈
例題$14$白星フウの問題正四面体の四頂点から平面までの距離として解説
例題$21$大学への数学$2013$年$5$月号宿題回転楕円体に読み替えた
例題$24$ $\mathrm{IMO2006}$第$3$問 円の切り口と角度表示の補足例
例題$10$・$15$・$16$・$17$本文中の投稿と各出題元へのリンク例題$10$の最大最小は投稿の設定から追加
例題$2$・$3$・$7$・$8$・$9$・$18$・$19$・$20$・$22$・$23$・$25$・$26$・$27$・$28$説明用の例題特定の入試・コンテストの原題としては扱わない
演習$1$$2019$年第$1$回東大プレ二つの直方体の体積として解説。大学の本試験とは区別
演習$2$北海道数コンの例題を踏まえた本稿追加問題重みを一般化した。一般式をコンテストの原題とはしていない
演習$3$ 英国数学オリンピック$2014$ 第$2$ラウンド第$2$問 代数式から出発する最大値の問いを追加
演習$4$ $\mathrm{APMO2022}$第$5$問 原題の最小値と全等号条件を正四面体の射影から解説
演習$5$ 第$26$回近畿大学数学コンテスト問題$\mathrm{B}$-$2$ 原題を座標と代数式で書き直した
補充演習$2026$年度第$1$回東大テストゼミ理系数学第$4$問立方体の共面条件と面積の値域。大学の本試験とは区別

$\mathrm{O}$変換の二つのリンクは,円の表し方についての関連記事です。立体を扱う上の演習の出題元ではありません。
もう少し図形側から読みたい人向けには,$2018$年大阪大学理系第$4$問( ブリザードマンさんによる解説 )も挙げておきます。正八面体の切断と最大最小を扱い,最小にする配置から次の面積の最大化へ進む問題です。入試問題とその解説としての紹介です。

おわりに

代数の問題を幾何で解くというと,平方根を距離にするくらいの話に見えるかもしれません。ただ,係数を点として並べるところまでやってみると,正四面体や正八面体もかなり自然に出てきます。
一方で,図形にしたから計算が一切なくなるわけでもありません。例題$15$や$16$では,図形が教えてくれた等号候補や関係式を使って,最後は式で押さえています。
それでも,どこから出てきたのか分からない評価式を探すより,この平面を動かしたらどうなるか,この円のどこが一番遠いかと考えられると方針の立ち方が変わると思います。
前の記事の格子点と同じで,文字の式を別のものとして見た途端に,急に当たり前に見えることがある。その感覚が少しでも伝わればうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

投稿日:10時間前
更新日:26分前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中