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因数分解の定石

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今回は、大学受験でよく見る因数分解をまとめてみました。

定石

  • 因数分解の公式
  • 高次多項式の因数分解
    • 複二次式
      • 次数下げ
      • 和と差の積の因数分解
    • その他
      • 有利根定理
      • カタマリを文字で置いて次数下げ
  • その他の多項式
    • 交代式の因数分解
    • 最低次数でまとめる
因数分解の公式

$n$は自然数とする。
(1) $a^{2}\pm2ab+b^{2}=(a\pm b)^{2}$
(2) $a^{2}-b^{2}=(a+b)(a-b)$
(3) $a^{3}\pm 3a^{2}b+3ab^{2}\pm b^{3}=(a\pm b)^{3}$
(4) ${\small a^{3}+b^{3}+c^{3}-3abc=(a+b+c)(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca)}$
(5) $a^{n}-b^{n}=(a-b)(a^{n-1}+a^{n-2}b+\cdots+b^{n-1})\quad (n\geq{2})$
(6) $\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}}{}_{n}\mathrm{C}_{k}a^{n-k}b^{k}=(a+b)^{n}$

忘れがちな因数分解の公式

以下の各式を因数分解しなさい。
(1) $x^{3}+8y^{3}+1-6xy$
(2) $\displaystyle\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}$

(1)
\begin{align*} x^{3}+8y^{3}+1-6xy&=x^{3}+(2y)^{3}+1^{3}-3\cdot x\cdot2y\cdot1\\ &=(x+2y+1)(x^{2}+4y^{2}-2xy-x-y+1). \end{align*}

(2)
\begin{align*} \sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}&=\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}1^{n-k}\cdot1^{k}\\ &=(1+1)^{n}\\ &=2^{n}. \end{align*}

高次多項式

以下の各式を因数分解しなさい。
(1) $x^{4}-13x^{2}+36$
(2) $x^{4}+4$
(3) $x^{3}-3x-2$
(4) $(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)+1$

指針

高次多項式

定義 多項式$P$の最高次の次数が3次以上のとき、$P$を高次多項式という。以下、多項式$P$の最高次の次数を$\deg{P}$と表記する。

複二次式

定義 多項式$P$の任意の奇数次の係数が0であるとき、$P$を複二次式という。

因数定理

$P$を複素係数の多項式、$\alpha$を複素数とする。
以下は同値である。

  • $P$$\alpha$を根に持つ
  • $P$$x-\alpha$で割り切れる

補足 どの次数の係数も複素数のとき、その多項式を複素多項式という。
多項式に代入して$0$にするものをその多項式の根という。

有利根定理

$p, q \ (p\neq{0})$を整数とし、$p, q$は互いに素であるとする。また、$P$の最高次の係数を$a_{n}, $ $P$の定数項を$a_{0}$とする。このとき$P$$\dfrac{q}{p}$を根にもつ、つまり$P\left(\dfrac{q}{p}\right)=0$ならば
$$ \dfrac{q}{p}=\pm\dfrac{a_{0}\mbox{の約数}}{a_{n}\mbox{の約数}}$$
である。
補足 有利根定理という、名前が正式なものかどうかは知らないが、便利なので使います。証明はいつかやろうかな。

高次多項式はまず複二次式かそうでないかの確認をしましょう。複二次式

  • 次数下げ
  • 和と差の積の因数分解
    その他の場合は、基本的に有利根定理です。ときたまカタマリを文字で置いて次数下げもありますが...

解答
(1) $t=x^{2}$とおくと
\begin{align*} x^{4}-13x^{2}+36&=t^{2}-13t+36\\ &=(t-4)(t-9)\\ &=(x^{2}-4)(x^{2}-9)\\ &=(x-3)(x-2)(x+2)(x+3). \end{align*}

(2)
\begin{align*} x^{4}+4&=(x^{2}+2)^{2}-4x^{2}\\ &=(x^{2}+2)^{2}-(2x)^{2}\\ &=(x^{2}+2x+2)(x^{2}-2x+2). \end{align*}

(3)
\begin{align*} x^{3}-3x-2&=(x+1)(x^{2}-x-2)\\ &=(x+1)^{2}(x-2). \end{align*}

(4)
\begin{align*} (x+1)(x+2)(x+3)(x+4)+1&=(x+1)(x+4)(x+2)(x+3)+1\\ &=\{(x^{2}+5x)+4\}\{(x^{2}+5x)+6\}+1\\ &=(x^{2}+5x)^{2}+10(x^{2}+5x)+25\\ &=(x^{2}+5x+5)^{2}. \end{align*}

その他の多項式

以下の各式を因数分解しなさい。
(1) $a^{3}+a^{2}b-ac^{2}-bc^{2}$
(2) $a^{2}(b-c)+b^{2}(c-a)+c^{2}(a-b)$

指針
公式も使えない、多項式は

  • 次数の低い文字をまとめる
  • 交代式の因数分解
    の2択です。
    (1)は次数の低い$b$についてまとめましょう。(2)は以下の知識をフル活用します。$a$$b$の交代式であり、与式は$b$$c$の交代式であり、$c$$a$の交代式であるので、$(a-b)(b-c)(c-a)$を持ちます。あとは、たとえば$a$に着目して次数と係数が合うような交代式を求めましょう。
対称式

$f(x, y)=f(y, x)$を満たす$x$$y$の多項式$f(x, y)$$x$$y$の対称式という。

交代式

$f(x, y)=-f(y, x)$を満たす$x$$y$の多項式$f(x, y)$$x$$y$の交代式という

交代式の有名な定理

$f(x, y)$$x$$y$の交代式のとき
$$ f(x, y)=(x-y)(xとyの対称式)$$

解答
(1)
\begin{align*} a^{3}+a^{2}b-ac^{2}-bc^{2}&=a^{3}-ac^{2}+b(a^{2}-c^{2})\\ &=a(a+c)(a-c)+b(a+c)(a-c)\\ &=(a+b)(a+c)(a-c). \end{align*}

(2)
\begin{align*} a^{2}(b-c)+b^{2}(c-a)+c^{2}(a-b)&=(a-b)(b-c)(c-a)\cdot(-1)\\ &=-(a-b)(b-c)(c-a). \end{align*}

投稿日:2023617
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fancy
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高校数学の問題を主に解説していきたい。アウトラインだけ作って投稿する癖があるので、後で時間があるときに加筆修正。

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