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現代数学解説
文献あり

多重ゼータ値について初心者向けにわかりやすく書いてみた記事

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「多重ゼータ値面白そうだけどわかんない…」

「調和積とシャッフル積って何?」

そんな人たちに向けて解説記事を書いてみました。

前提知識は大学1年生までの数学の知識があれば十分です。

一部慣れない記法があるかもしれませんがそのたびに解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

わかりやすさ重視で書いた記事なので厳密な定義や証明などは一部省略しています。合わせて他の文献も読むことをおすすめします。

お品書き

・多重ゼータ値とは

・インデックス

・word

・調和積とシャッフル積

・正規化複シャッフル関係式

・コネクター

・アソシエータ関係式

多重ゼータ値とは

レベル:★☆☆☆☆

多重ゼータ値について解説する前に、一般のリーマンゼータ関数について解説していきたいと思います。

リーマンゼータ関数とは

\begin{eqnarray} \zeta(s)=\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^s}=1+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\cdots \end{eqnarray}

で定義される関数です。

$s=1$で発散し、$1< s$では収束します。

具体的な値はたとえば、

\begin{eqnarray} \zeta(2)=\frac{\pi^2}{6},\, \zeta(4)=\frac{\pi^4}{90},\cdots \end{eqnarray}

などとなっています。

リーマンゼータ関数は数学の各分野で非常に注目されているのですが、その理由の1つはオイラー積表示があるからでしょう。

\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^s}=\prod_{p \, : \, \text{prime}}\frac{1}{1-p^{-s}}. \end{eqnarray}

具体的な関数と素数を結びつける公式として非常に大きな注目を浴びています。

リーマンゼータ関数についてはたくさん面白い話題があるのですが、今回はこれくらいにして多重ゼータ値について話を進めます。

多重ゼータ値とは、簡単に言えばリーマンゼータ関数の一般化であり拡張バージョンです。

つまり、変数を$s$の1個から$r$個へと拡張します。

定義を見ましょう。

多重ゼータ値

$r$個の正整数の変数$a_1,a_2,\cdots,a_r$がある。このとき、これらの変数に対して多重ゼータ値を

\begin{eqnarray} \zeta(a_1,a_2,\cdots,a_r) = \sum_{0< k_r<\cdots< k_2< k_1}\frac{1}{k_1^{a_1}k_2^{a_2} \cdots k_r^{a_r}} \left(=\sum_{k_r=1}^{\infty} \sum_{k_{r-1}=k_r+1}^{\infty} \cdots \sum_{k_1=k_2+1}^{\infty}\frac{1}{k_1^{a_1}k_2^{a_2} \cdots k_r^{a_r}} \right) \end{eqnarray}

で定める。

\begin{eqnarray} \zeta(a_1,a_2,\cdots,a_r) = \sum_{0< k_1< k_2<\cdots< k_r}\frac{1}{k_1^{a_1}k_2^{a_2} \cdots k_r^{a_r}} \left(=\sum_{k_1=1}^{\infty} \sum_{k_{2}=k_1+1}^{\infty} \cdots \sum_{k_r=k_{r-1}+1}^{\infty}\frac{1}{k_1^{a_1}k_2^{a_2} \cdots k_r^{a_r}} \right) \end{eqnarray}

と定める流儀もあり、この場合変数の向きが逆転します。

多重ゼータ値の文脈では著者がどちらの変数の向きで定義しているかが重要なので確認しましょう。

私のとっている流儀は左向きと呼ばれています。

まずはシグマの読み方を解説します。

\begin{eqnarray} \sum_{0< k_r<\cdots< k_2< k_1}\frac{1}{k_1^{a_1}k_2^{a_2} \cdots k_r^{a_r}} \end{eqnarray}

のシグマの下にある式の意味は$0< k_r<\cdots< k_2< k_1$をみたす整数$k_1,k_2,\cdots,k_r$全体にわたって和を取ることを意味します。

たとえば$0< k_2< k_1$だと$(k_1,k_2)=(2,1),(5,3),(7,2),\cdots$などのペアが該当します。

その条件を満たす$r$個の整数をすべて集めて和を取るということです。

それを展開したのが1番右の式です。

そして、変数はすべて正整数とします。

そのほうがあとあと便利だからです。

さらに、変数が1つだけのときはリーマンゼータ関数に一致します。

リーマンゼータ関数の一般化であることが簡単にわかりますね。

さて、級数を定めたはいいのですが収束するかどうかが重要です。

これに関しては次のことが知られています。

多重ゼータ値の収束性

$1< a_1$のとき上に定めた多重ゼータ値は収束し、$a_1=1$のとき多重ゼータ値は発散する。

つまり、先頭に来ている数が$2$以上の整数であれば収束するということですね。

ここで、$r$個の変数を正整数の組とみてインデックスという概念を導入します。

インデックス

レベル:★☆☆☆☆

インデックス

正整数を$r$個集めた組$(a_1,a_2,\cdots,a_r)$をインデックスと呼ぶ。順序が異なる数の組は違うインデックスとみなす。

また、$2 \leq a_1$のとき$(a_1,a_2,\cdots,a_r)$許容インデックスであるという。

さらに、インデックス$\boldsymbol{a}=(a_1,a_2,\cdots,a_r)$に対して$r$$\boldsymbol{a}$深さといい、$\text{dp}(\boldsymbol{a})$(または$\text{dep}(\boldsymbol{a})$)と書く。

同様に、全要素の和$a_1+a_2+\cdots+a_r$$\boldsymbol{a}$重さといい、$\text{wt}(\boldsymbol{a})$と書く。

また、$\varnothing$は深さ$0,$重さ$0$の許容インデックスであると定義しておく。

インデックスに線形写像$\zeta$を作用させるとその変数に対応する多重ゼータ値を返すものとし、$\zeta(\boldsymbol{a})=\zeta(a_1,a_2,\cdots,a_r)$と定義することにする。

便宜上$\zeta(\varnothing)=1$とする。

これは定義なので覚えておいてください。

たとえば$\text{dp}((2,1,3))=3, \, \text{wt}((2,1,3))=6$です。

このとき、興味深い公式が成立します。

和公式

深さが$r,$重さが$s$のインデックスをすべて集め、それらすべての多重ゼータ値を足すと$\zeta(s)$になる。つまり、

\begin{eqnarray} \sum_{\substack{\text{dp}(\boldsymbol{a})=r \\ \text{wt}(\boldsymbol{a})=s}} \zeta(\boldsymbol{a})=\zeta(s). \end{eqnarray}

実は多重ゼータ値はリーマンゼータ関数と密接に結びついているのです。

さらに面白いことに、多重ゼータ値の集合には次のような性質があります。

多重ゼータ値の準同型

$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$を許容インデックスとし、$\text{wt}(\boldsymbol{a})=s, \, \text{wt}(\boldsymbol{b})=t$とする。すると、$\zeta(\boldsymbol{a})\zeta(\boldsymbol{b})$は重さが$s+t$の許容インデックスの多重ゼータ値の$\mathbb{Q}$上の線形結合で書ける。

たとえば、$\zeta(2)\zeta(2,1)=\frac{11}{5}\zeta(2,3)+\frac{9}{5}\zeta(3,2)$というふうに書けます。

指数法則のように掛け算と足し算が密接な関係で結びついているんですね。

たとえば$4\zeta(2,2,1)+6\zeta(2,3)=5\zeta(5)$のように多重ゼータ値を等式で結んだものを関係式といいます。

数学者の目標はすべての関係式を導出することです。

ですが、$\zeta(2)=A\zeta(3)$ ($A$はある定数 ), $\zeta(\varnothing)\zeta(2)=\zeta(2)$ というようによくわからないものや自明なものまで関係式に含めてしまったらきりがありません。

そこで係数は有理数のみ、つまり$\mathbb{Q}$上の非自明な線形関係式に限るという条件を課します。

そうするといろいろな関係式が得られます。

例えばこんな感じです。

\begin{eqnarray} ・\zeta(3)&=&\zeta(2,1) \\ ・\zeta(4)&=&\zeta(2,1,1) \\ ・5\zeta(5)&=&4\zeta(2,2,1)+6\zeta(2,3). \end{eqnarray}

また、複数の関係式たちを一気に導出できる公式を関係式族とよびます。

有名な関係式族を紹介しましょう。

…と、その前にインデックスに代わるwordという概念を導入します。

word

レベル:★★☆☆☆

word

$\mathfrak{H}$(ドイツ文字の$H$です)を$e_0,e_1$を変数とする有理数係数の多項式を集め、和と積を備えた集合とする。ここで、たとえば$e_0e_1 \ne e_1e_0$というふうに変数の積は交換できない(厳密に言えば$\mathfrak{H}$$e_0,e_1$を変数とする有理係数二変数非可換多項式環とする)。

このとき、$\mathfrak{H}$の元をwordと呼び次の規則でインデックスと対応させる:

\begin{eqnarray} e_0^{a_1-1}e_1e_0^{a_2-1}e_1 \cdots e_0^{a_r-1}e_1 \leftrightarrow (a_1,a_2,\cdots,a_r). \end{eqnarray}

便宜上 $1 \leftrightarrow \varnothing$とする。

このwordの定義も左向きです。

たとえば$e_0^2e_1 \leftrightarrow (3)$なので$\zeta(e_0^2e_1)=\zeta(3)$です。

他にもたくさん例を挙げておきましょう。

$e_0^3e_1e_0e_1^2 \leftrightarrow (4,2,1)$なので$\zeta(e_0^3e_1e_0e_1^2)=\zeta(4,2,1)$
$e_0^2e_1e_0e_1^3 \leftrightarrow (3,2,1,1)$なので$\zeta(e_0^2e_1e_0e_1^3)=\zeta(3,2,1,1).$

このとき、次の有名な関係式が成り立ちます。

双対性

許容インデックスに対応するword$e_0^{a_1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r} \, (1 \leq a_1)$が存在するとき、

\begin{eqnarray} \zeta(e_0^{a_1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r})=\zeta(e_0^{b_r}e_1^{a_r}e_0^{b_{r-1}}e_1^{a_{r-1}} \cdots e_0^{b_1}e_1^{a_1}) \end{eqnarray}

が成立する。

このように対応するwordの指数部分を反転させたインデックスを双対インデックスと呼び、$\boldsymbol{a}$の双対インデックスを$\boldsymbol{a}^\dagger$と書く。

つまり、任意の許容インデックス$\boldsymbol{a}$に対して

\begin{eqnarray} \zeta(\boldsymbol{a})=\zeta(\boldsymbol{a}^\dagger) \end{eqnarray}

が成立。

wordの指数部分を反転させたものが等しいということですね。

たとえば $\zeta(4,2,1)=\zeta(3,2,1,1)$が成立します。

このような理由で、インデックスよりもwordのほうが扱いやすい場面が多々あります。

その1つが調和積とシャッフル積です。

調和積とシャッフル積

レベル:★★★☆☆

調和積

任意の正整数$k,l,$word$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$に対して調和積$*$を次の条件を満たすものとして再帰的に定義する:

\begin{eqnarray} &(\text{i})& \, \, \, e_0^{k-1}e_1\boldsymbol{a} * e_0^{l-1}e_1\boldsymbol{b} = e_0^{k-1}e_1(\boldsymbol{a} * e_0^{l-1}e_1\boldsymbol{b})+e_0^{l-1}e_1(e_0^{k-1}e_1\boldsymbol{a} * \boldsymbol{b})+e_0^{k+l-1}e_1(\boldsymbol{a} * \boldsymbol{b}) \\ &(\text{ii})& \, \, \, \boldsymbol{a}*1=1*\boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}. \end{eqnarray}

シャッフル積

任意の$i,j \in \{0,1\},$word$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$に対してシャッフル積$\text{ш}$を次の条件を満たすものとして再帰的に定義する:

\begin{eqnarray} &(\text{i})& \, \, \, e_i\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, e_j\boldsymbol{b} = e_i(\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, e_j\boldsymbol{b})+e_j(e_i\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b}) \\ &(\text{ii})& \, \, \, \boldsymbol{a} \, \text{ш} \, 1=1 \, \text{ш} \, \boldsymbol{a}=\boldsymbol{a}. \end{eqnarray}

定義だけ見ても意味不明かもしれません。実際に計算してみましょう。

下線を引いた部分に注目してください。たとえば、

\begin{eqnarray} e_0^3e_1^2*e_0e_1&=&\underline{e_0^3e_1}e_1*\underline{e_0e_1} \\ &=& \underline{e_0^3e_1}(e_1*\underline{e_0e_1})+\underline{e_0e_1}(\underline{e_0^3e_1}e_1*1)+\underline{e_0^5e_1}(e_1*1) \\ &=& e_0^3e_1(e_1*e_0e_1)+e_0e_1e_0^3e_1^2+e_0^5e_1^2 \\ &=& e_0^3e_1(\underline{e_0^0e_1}*\underline{e_0e_1})+e_0e_1e_0^3e_1^2+e_0^5e_1^2 \\ &=& e_0^3e_1\underline{e_0^0e_1}(1*\underline{e_0e_1})+e_0^3e_1\underline{e_0e_1}(\underline{e_0^0e_1}*1)+e_0^3e_1\underline{e_0^2e_1}(1*1)+e_0e_1e_0^3e_1^2+e_0^5e_1^2 \\ &=& e_0^3e_1^2e_0e_1+e_0^3e_1e_0e_1^2+e_0^3e_1e_0^2e_1+e_0e_1e_0^3e_1^2+e_0^5e_1^2. \end{eqnarray}

\begin{eqnarray} e_0e_1 \, \text{ш} \, e_0^2e_1&=&\underline{e_0}e_1 \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_0e_1 \\ &=&\underline{e_0}(e_1 \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_0e_1)+\underline{e_0}(\underline{e_0}e_1 \, \text{ш} \, e_0e_1) \\ &=& e_0(e_1 \, \text{ш} \, e_0e_0e_1)+e_0(e_0e_1 \, \text{ш} \, e_0e_1) \\ &=& e_0(\underline{e_1} \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_0e_1)+e_0(\underline{e_0}e_1 \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_1) \\ &=& e_0 \underline{e_1}(1 \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_0e_1)+e_0 \underline{e_0}(e_1 \, \text{ш} \, e_0e_1)+e_0\underline{e_0}(e_1 \, \text{ш} \, \underline{e_0}e_1)+e_0\underline{e_0}(\underline{e_0}e_1 \, \text{ш} \, e_1) \\ &=& \cdots \\ &=& e_0e_1e_0^2e_1+3e_0^2e_1e_0e_1+6e_0^3e_1^2. \end{eqnarray}

非常にめんどくさいですね。

ですが、それよりもどうしてこんなことをし始めたのかというと次の美しい性質が成り立つからです。

有限複シャッフル関係式

$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$を許容インデックスに対応するwordとする。このとき、

\begin{eqnarray} \zeta(\boldsymbol{a}*\boldsymbol{b})=\zeta(\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b})=\zeta(\boldsymbol{a})\zeta(\boldsymbol{b}). \end{eqnarray}

証明は別の文献で見ていただきたいのですが、非常に面白いです。

この公式により非常に多くの関係式が得られます。

だからwordが重要なんですね。

さきほどの例でいえば、

\begin{eqnarray} \zeta(e_0^3e_1^2)\zeta(e_0e_1)&=&\zeta(e_0^3e_1^2e_0e_1)+\zeta(e_0^3e_1e_0e_1^2)+\zeta(e_0^3e_1e_0^2e_1)+\zeta(e_0e_1e_0^3e_1^2)+\zeta(e_0^5e_1^2), \\ \zeta(e_0e_1)\zeta(e_0^2e_1)&=&\zeta(e_0e_1e_0^2e_1)+3\zeta(e_0^2e_1e_0e_1)+6\zeta(e_0^3e_1^2). \end{eqnarray}

が成り立っています。

気になる人はwordをインデックスに変換してみてください。

ですが、この有限複シャッフル関係式をもってしても導けない関係式があります。

たとえば$\zeta(2,1)=\zeta(3)$です。

$\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}$の両方とも許容インデックスでなければならないという制限がある以上、$\zeta(2,1)=\zeta(3)$は導けません。

そこで、片方を許容インデックスでなくてもいいようにしたのが正規化複シャッフル関係式です。

ですが1つ問題があります。

それは、許容インデックスではないインデックスに対応する多重ゼータ値は発散してしまうことです。

そこを正規化というプロセスを経てうまく乗り越えたのが正規化複シャッフル関係式です。

どんなことをするのかというと、発散する多重ゼータ値の定数項だけを取り出そうという発想です。

例えば、正規化複シャッフル関係式の手前のバージョンである次の関係式を見てみてください。

弱い正規化複シャッフル関係式

$\boldsymbol{a}$を許容インデックス、$\boldsymbol{b}$を許容インデックスまたは$(1) $であるインデックスとする。このとき、次が成立:
\begin{eqnarray} \zeta(\boldsymbol{a}*\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b})=0. \end{eqnarray}

これであれば、$\boldsymbol{a}=(2), \, \boldsymbol{b}=(1)$とすることにより$(2)*(1)-(2) \, \text{ш} \, (1)=(3)-(2,1)$なので$\zeta(2,1)=\zeta(3)$が導けます。

つまり、発散する部分を上手く打ち消し合わせることで新しい関係式を導こうという発想です。

これを踏まえ、最強の関係式族の1つと言われている正規化複シャッフル関係式に迫ろうと思います。

正規化複シャッフル関係式

レベル:★★★★☆

正規化多項式

許容インデックスでなくてもよいインデックスを任意にとって$\boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_r)$とし、それに対応するwordを$\boldsymbol{v}=e_0^{a_1-1}e_1 \cdots e_0^{a_r-1}e_1$とおく。

このとき、次の2つが成立:

(i)調和正規化多項式

ある非負整数$n$と許容インデックスに対応するword$w_0^*,\cdots,w_n^*$が一意に存在して、

\begin{eqnarray} \boldsymbol{v}=\sum_{i=0}^n \underbrace{e_1*\cdots *e_1}_{i}*w_i^*. \end{eqnarray}

このとき、$T$を変数とする次の多項式を調和正規化多項式と呼ぶ:

\begin{eqnarray} \zeta^*(\boldsymbol{a};T)=\sum_{i=0}^n \zeta(w_i^*)T^i. \end{eqnarray}

$\zeta^*(\boldsymbol{a})=\zeta^*(\boldsymbol{a};0)$と書くことにする。

(ii)シャッフル正規化多項式

ある非負整数$n$と許容インデックスに対応するword$w_0^\text{ш},\cdots,w_n^\text{ш}$が一意に存在して、

\begin{eqnarray} \boldsymbol{v}=\sum_{i=0}^n \underbrace{e_1 \,\text{ш} \, \cdots \, \text{ш} \, e_1}_{i} \, \text{ш} \, w_i^\text{ш}. \end{eqnarray}

このとき、$T$を変数とする次の多項式をシャッフル正規化多項式と呼ぶ:

\begin{eqnarray} \zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a};T)=\sum_{i=0}^n \zeta(w_i^\text{ш})T^i. \end{eqnarray}

$\zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a})=\zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a};0)$と書くことにする。

ここで、$0^0=1$と定めることに注意してください。

正規化複シャッフル関係式

$\boldsymbol{a}$を許容インデックス、$\boldsymbol{b}$を許容インデックスでなくてもよいインデックスとする。

このとき、次の2つが成立:

\begin{eqnarray} &(\text{i})& \zeta^*(\boldsymbol{a}*\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b})=0, \\ &(\text{ii})& \zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a}*\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b})=0. \end{eqnarray}

ためしに$\boldsymbol{a}=(2),\boldsymbol{b}=(1,1)$としてみましょう。

$\boldsymbol{a}*\boldsymbol{b}-\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b}=(1,3)-(1,2,1)+(3,1)-2(2,1,1)$ です。

$(1,3)=e_1e_0^2e_1=-e_0e_1e_0e_1-2e_0^2e_1^2+e_1 \, \text{ш} \, e_0^2e_1$ より $\zeta^\text{ш}(1,3)=-\zeta(2,2)-2\zeta(3,1)$ です。

一方、$(1,2,1)=e_1e_0e_1^2=-3e_0e_1^3+e_1 \, \text{ш} \, e_0e_1^2$ より $\zeta^\text{ш}(1,2,1)=-3\zeta(2,1,1)$ です。

以上より $-\zeta(2,2)-2\zeta(3,1)+3\zeta(2,1,1)+\zeta(3,1)-2\zeta(2,1,1)=-\zeta(2,2)-\zeta(3,1)+\zeta(2,1,1)=0.$

よって $\zeta(2,1,1)=\zeta(2,2)+\zeta(3,1)$ を得ます。

これは数値的にも一致しています。

この正規化複シャッフル関係式はすべての関係式を導くと予想されていて、最強の関係式族の1つだと言われています。

しかし、双対性が正規化複シャッフル関係式から導けるかどうかは現状未解決であり、多分導けるだろうと予想されてはいますが証明されていません。

そこで、双対性をも導ける最強の関係式族であるアソシエータ関係式についてあとで紹介します。

まずは多重ゼータ値のもう一つの中心的な話題であるコネクターについて紹介しようと思います。

コネクター

レベル:★★★☆☆

突然ですが、$\boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_r), \, \boldsymbol{b}=(b_1,\cdots,b_s)$としてこんな級数を考えます。

\begin{eqnarray} Z(\boldsymbol{a};\boldsymbol{b})=\sum_{\substack{0< k_r<\cdots< k_1 \\ 0< l_s<\cdots< l_1}}\frac{1}{k_1^{a_1} \cdots k_{r}^{a_r}} \frac{{k_1}!{l_1}!}{(k_1+l_1)!} \frac{1}{l_1^{b_1} \cdots l_{s}^{b_s}}. \end{eqnarray}

ここで、シグマの意味は$0< k_r<\cdots< k_1$を満たす整数$k_1,\cdots,k_r$$0< l_s<\cdots< l_1$を満たす整数$l_1,\cdots,l_s$を全て集めてそれぞれ独立に足すという意味です。

その前に便利な記法について紹介します。

矢印記法

インデックス$\boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_r)$に対して次のように定義する:

\begin{eqnarray} &(\text{i})& \boldsymbol{a}_\rightarrow=(1,a_1,\cdots,a_r) \\ &(\text{ii})& \boldsymbol{a}_\uparrow=(a_1+1,a_2,\cdots,a_r) \\ &(\text{iii})& \boldsymbol{a}_\downarrow=(a_1-1,a_2,\cdots,a_r) \\ &(\text{iv})& {}_\leftarrow \boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_r,1) \\ &(\text{v})& {}_\uparrow \boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_{r-1},a_r+1) \\ &(\text{vi})& {}_\downarrow \boldsymbol{a}=(a_1,\cdots,a_{r-1},a_r-1). \end{eqnarray}

空インデックスに対しては$\varnothing_\rightarrow={}_\leftarrow \varnothing=(1), \, \varnothing_\uparrow=\varnothing_\downarrow={}_\uparrow \varnothing={}_\downarrow \varnothing=\varnothing$と定める。

矢印の向きがおかしいのではないかと思われるかもしれませんが、この定義をした方が右向きの流儀を採用しているので本来は向きが逆転してます。

このとき、次の3つの等式が成り立ちます。

コネクターの等式

次の3つが成立:

(1)対称性

\begin{eqnarray} Z(\boldsymbol{a};\boldsymbol{b})=Z(\boldsymbol{b};\boldsymbol{a}) \end{eqnarray}

(2)輸送関係式

\begin{eqnarray} &(\text{i})& Z(\boldsymbol{a}_\rightarrow;\boldsymbol{b})=Z(\boldsymbol{a};\boldsymbol{b}_\uparrow) \, \, \, (\boldsymbol{b} \ne \varnothing) \\ &(\text{ii})& Z(\boldsymbol{a}_\uparrow;\boldsymbol{b})=Z(\boldsymbol{a};\boldsymbol{b}_\rightarrow) \, \, \, (\boldsymbol{a} \ne \varnothing) \end{eqnarray}

(3)境界条件

\begin{eqnarray} Z(\boldsymbol{a}; \varnothing )=Z( \varnothing ;\boldsymbol{a})=\zeta(\boldsymbol{a}). \end{eqnarray}

(1)と(3)は定義より明らかで、(2)の証明は

\begin{eqnarray} \sum_{j=k+1}^\infty \frac{1}{j} \frac{j! l!}{(j+l)!}&=& \sum_{j=k+1}^\infty \frac{1}{l} \left( \frac{(j-1)! l!}{(j-1+l)!}-\frac{j! l!}{(j+l)!} \right) \\ &=& \frac{1}{l}\frac{k! l!}{(k+l)!} \end{eqnarray}

から簡単にわかる。

Q.E.D.

この3つの式を使えば双対性が示せます。

双対性

次が成立:

\begin{eqnarray} \zeta(\boldsymbol{a})=\zeta(\boldsymbol{a}^\dagger). \end{eqnarray}

許容インデックス$\boldsymbol{a}$に対応するwordを$e_0^{a_1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}$とおくと、輸送関係式により

\begin{eqnarray} Z(e_0^{a_1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; \varnothing )&=&Z(e_0^{a_1-1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; e_1) \\ &=& Z(e_0^{a_1-2}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; e_1^2) \\ &=& \cdots \\ &=& Z(e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; e_1^{a_1}) \\ &=& Z(e_1^{b_1-1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; e_0e_1^{a_1}) \\ &=& \cdots \\ &=& Z(e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r}; e_0^{b_1}e_1^{a_1}) \\ &=& \cdots \\ &=& Z(\varnothing;e_0^{b_r}e_1^{a_r}e_0^{b_{r-1}}e_1^{a_{r-1}} \cdots e_0^{b_1}e_1^{a_1}). \end{eqnarray}

ここで対称性と境界条件を使えば

\begin{eqnarray} \zeta(e_0^{a_1}e_1^{b_1}e_0^{a_2}e_1^{b_2} \cdots e_0^{a_r}e_1^{b_r})=\zeta(e_0^{b_r}e_1^{a_r}e_0^{b_{r-1}}e_1^{a_{r-1}} \cdots e_0^{b_1}e_1^{a_1}) \end{eqnarray}

を得る。

Q.E.D.

このように、簡単な級数変形だけで双対性が証明できてしまいました。

このような方法は連結和法と呼ばれていて、日本人の関真一朗さんと山本修司さんにより初めて発見されました。

多重ゼータ値の世界では日本人が大きな役割を果たしています。すごいですね。

そんな話は他の文献にゆずるとして、いよいよアソシエータ関係式について話をしようと思います。

アソシエータ関係式

レベル:★★★★★

まず、アソシエータ関係式について話を始める前に準備をしたいと思います。

すでにわかっている人は飛ばしていただいて大丈夫です。

双線形写像

$k$を定数として、$×$が双線形写像であるとは次の条件を満たすこととして定める:

\begin{eqnarray} &(\text{i})& (k \boldsymbol{a}) × \boldsymbol{b}=\boldsymbol{a} × (k \boldsymbol{b})=k(\boldsymbol{a} × \boldsymbol{b}), \\ &(\text{ii})& \boldsymbol{a} × (\boldsymbol{b}+\boldsymbol{c})=\boldsymbol{a} × \boldsymbol{b}+\boldsymbol{a} × \boldsymbol{c}, \\ &(\text{iii})& (\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b}) × \boldsymbol{c}=\boldsymbol{a} × \boldsymbol{c}+\boldsymbol{b} × \boldsymbol{c} \end{eqnarray}

ここで、$\boldsymbol{a} × \boldsymbol{b} \ne \boldsymbol{b} × \boldsymbol{a}$でも構わない。

普通の掛け算の$×,$そしてさっき登場した調和積$*,$シャッフル積$\text{ш}$などはすべて双線形写像です。

テンソル積

$U$$S$$T$のテンソル積である、つまり$U=S \otimes T$であるとは次の条件を満たすことをいう:

(i) 存在性

双線形写像 $\Phi:S×T \rightarrow U$が存在する。

(ii) 一意性

任意の双線形写像 $F:S×T \rightarrow R$に対してある準同型写像$f:U \rightarrow R$が一意に存在して$F=f \circ \Phi$を満たす。

このとき、$s \in S, t \in T$に対して$\Phi(s,t)=s \otimes t$と書く。

厳密な定義には加群の概念が必要ですがここでは省略させてください。

明らかに$\otimes$は双線形写像です。

これを踏まえてアソシエータを定義します。

アソシエータ

$K$$\mathbb{Q}$を部分体に持つ体、$K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle$を係数が$K$の元で$e_0,e_1$を変数とする二変数非可換冪級数環(2つの変数の積が交換できないべき級数の集合で和と積を備えたもの)とする。

また、$\varphi \in K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle$とword$w$に対して、$\varphi$での$w$の係数を$Z_\varphi(w)$で表す。

この条件のもと、$(\mu,\varphi) \in K×K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle$が体$K$上のアソシエータであるとは次の条件を満たすことをいう:

(1)commutator group-like

準同型写像$\Delta : K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle \rightarrow K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle \otimes K \langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle$$\Delta(e_i)=e_i \otimes 1+1 \otimes e_i$で定めたとき、

(i) $\Delta(\varphi)=\varphi \otimes \varphi$
(ii) $\varphi(0,0)=1, Z_\varphi(e_0)=Z_\varphi(e_1)=0$

(2)2-cycle relation

\begin{eqnarray} \varphi(e_0,e_1)\varphi(e_1,e_0)=1 \end{eqnarray}

(3)3-cycle relation

$e_0+e_1+e_\infty=0$として、

\begin{eqnarray} \text{exp}\left(\frac{\mu}{2}e_0\right)\varphi(e_\infty,e_0)\text{exp}\left(\frac{\mu}{2}e_\infty \right)\varphi(e_1,e_\infty)\text{exp}\left(\frac{\mu}{2}e_1\right)\varphi(e_0,e_1)=1 \end{eqnarray}

(4)5-cycle relation

$1 \leq i,j,k,l\leq 5$としたとき、$e_{ij}$は次の条件を満たすものとする:

(i) $e_{ii}=0$
(ii) $e_{ij}=e_{ji}$
(iii) $e_{i1}+e_{i2}+e_{i3}+e_{i4}+e_{i5}=0$
(iv) $i,j,k,l$が相異なるとき、$e_{ij}e_{kl}=e_{kl}e_{ij}$

このとき、

\begin{eqnarray} \varphi(e_{12},e_{23})\varphi(e_{34},e_{45})\varphi(e_{51},e_{12})\varphi(e_{23},e_{34})\varphi(e_{45},e_{51})=1 \end{eqnarray}

意味不明ですね。笑

特に$\Delta$が意味不明だと思いますが、たとえば
\begin{eqnarray} \Delta(e_0e_1)&=&\Delta(e_0) \Delta(e_1) \\ &=&(e_0 \otimes 1 + 1 \otimes e_0)(e_1 \otimes 1 + 1 \otimes e_1) \\ &=& e_0e_1 \otimes 1+e_0 \otimes e_1+e_1 \otimes e_0 +1 \otimes e_0e_1 \end{eqnarray}
です。

これはテンソル積に次のような演算が成り立っているからです。

テンソル積の演算

\begin{eqnarray} (\boldsymbol{a} \otimes \boldsymbol{b})(\boldsymbol{c} \otimes \boldsymbol{d})=\boldsymbol{a} \boldsymbol{c}\otimes \boldsymbol{b} \boldsymbol{d} \end{eqnarray}

ですがこれはあくまでアソシエータの一般的な定義であって多重ゼータ値に対応するアソシエータが存在します。

アソシエータ関係式

$\Phi_\text{KZ} \in \mathbb{C}\langle \langle e_0,e_1 \rangle \rangle$を次で定める:

\begin{eqnarray} \Phi_\text{KZ}(e_0,e_1)=\sum_{w \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(w)}\zeta^\text{ш}(w)w. \end{eqnarray}

すると、$(\mu,\varphi)=(2\pi i,\Phi_\text{KZ})$$\mathbb{C}$上でアソシエータとなる。

このときの関係式たちをアソシエータ関係式と呼ぶ。

実際に代入して遊んでみましょう。

(1)commutator group-like の(i)は次のように書き直せます。

group-like

次が成立:

\begin{eqnarray} \Delta \left( \sum_{w \, : \, \text{word}} (-1)^{\text{dp}(w)} \zeta^\text{ш}(w)w \right)=\sum_{v \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(v)}\zeta^\text{ш}(v)v \otimes \sum_{w \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(w)}\zeta^\text{ш}(w)w \end{eqnarray}

これを準同型写像および双線形写像の性質を使い証明してみます。

ここで、

\begin{eqnarray} \Delta \left( \sum_{w \, : \, \text{word}} Z_\varphi(w)w \right)&=& \sum_{w \, : \, \text{word}} Z_\varphi(w) \Delta(w) \\ &=&\sum_{v,w \, : \, \text{word}} Z_\varphi(v \, \text{ш} \, w)v \otimes w \end{eqnarray}

が成り立っていることにより

\begin{eqnarray} \sum_{w \, : \, \text{word}} \Delta \left( (-1)^{\text{dp}(w)} \zeta^\text{ш}(w)w \right) &=& \sum_{v,w \, : \, \text{word}} (-1)^{\text{dp}(v)+\text{dp}(w)}\zeta^\text{ш}(v \, \text{ш} \, w)v \otimes w \\ &=& \sum_{v \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(v)}\zeta^\text{ш}(v)v \otimes \sum_{w \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(w)}\zeta^\text{ш}(w)w \\ &=& \sum_{v,w \, : \, \text{word}}(-1)^{\text{dp}(v)+\text{dp}(w)}\zeta^\text{ш}(v)\zeta^\text{ш}(w)v \otimes w \end{eqnarray}

を得る。

これはシャッフル関係式、$\zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a})\zeta^\text{ш}(\boldsymbol{b})=\zeta^\text{ш}(\boldsymbol{a} \, \text{ш} \, \boldsymbol{b})$に他ならない。

Q.E.D.

あとの関係式たちは私の勉強不足により紹介できないため参考文献を参照することをおすすめします。

ですが、このアソシエータ関係式は双対性や正規化複シャッフル関係式すらも従わせることのできる超強力な関係式です。

もちろん、すべての関係式がアソシエータ関係式から従うだろうと予想されてはいますが証明はされていません。

これからも研究は続いていくと思うので、最後に有名な未解決の予想を紹介して終わろうと思います。

次元予想

重さが$k$の多重ゼータ値たちが張る$\mathbb{Q}$上の線形空間の次元を$\text{dim}_{\mathbb{Q}}\mathcal{Z}_k$とおく。

一方、数列$d_k$を漸化式$d_{k+3}=d_{k+1}+d_k \, (0 \leq k), d_0=d_2=1, d_1=0$で定める。

このとき、任意の$0 \leq k$に対して

\begin{eqnarray} \text{dim}_{\mathbb{Q}}\mathcal{Z}_k=d_k \end{eqnarray}

が成立する。

$\text{dim}_{\mathbb{Q}}\mathcal{Z}_k \leq d_k$ はすでに証明されていますが、逆側の不等式が証明される気配は全くありません。

この記事を読んでもっと気になったという方は調べてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

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更新日:22日前

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