タイトル通りBrianchonの定理を計算で証明しようと思います.
Brianchonの定理
円に外接する六角形について,対角線は一点で交わる.
円周上にたくさんの点があるので複素座標が効きそうに見えます.
以下補題を記すので知っている方は読みとばしてください.
単位円上に異なる点があるとき,から引いた接線の交点の座標はで与えられる.
接線の交点を,の中点をとする.
このとき,からは上にあり,から
また,
なので,の座標は
である.
複素平面上で点を頂点とする三角形の符号付き面積(が反時計回りに並んでいるとき正,時計回りのとき負,一直線上にあるとき)はである.
特に,が同一直線上にあることは上の行列式がであることと同値である.
前半は符号付き面積の線形性と行列式の線形性を使うと証明できる(詳細は略)
後半はが同一直線上にあることと三角形の面積がであることが同値であることから従う.
本題に入ります.
六角形の内接円を単位円に取り,つの接点をが上,が上,...,が上となるようにとし,それらの座標をそれぞれとします.
補題2からの座標がそれぞれであることがわかります.
点の座標をとします.が同一直線上にあるとき,補題3よりとなります.
とについても同様に
となります.
が点で交わるということは上の式を同時に満たすが存在するということです.
ここで,上の式は余因子展開をすることでの線形結合と見なせます.つまり,これらの行列式を次関数と見なしたとき,この連立方程式が非自明解をもてばは一点で交わることになります.(十分性についてはの形の解を取ったときにが共役になってることから確かめることができます.)
連立方程式が非自明解をもつのと係数行列式がであることは同値なので係数行列式がであることを示していきます.
となるので他のつの式でも同様に考えることで
を示せばいいことがわかります.
これを展開して示すこともできなくもないですが,展開すると変数次の多項式になってしまい,さすがに骨が折れるので展開は避けようと思います.
対称性(巡回性)をうまく使うのが良さそうです.
これをの多項式とみてとおきます.以下,この多項式が恒等的にであることを示します.(つまり,は単位円上であるという条件は忘れて一般の複素数として考えます.)
としてみると,
となり,これは行目と行目が線形従属なのでとなります.
よって,はを因数にもち,巡回性からとも因数にもちます.
これより,はと次式の積となりますが,これだけだとあまりうれしくありません.
を代入してみます.
ここで,から第列と第列が線形従属であることがわかり,となります.
よって,はを因数にもち,巡回性からとも因数にもちます.
は次式であったので,これにより,ある定数が存在してとなります.
あとは定数の値を求めるだけです!
およびからがわかり,は常にであり,は一点で交わることが証明できました.