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高校数学解説
文献あり

ある二項係数の数式について

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以下では、(pq)で二項係数pCqを表します。

先日Wikipediaの こちらの記事 で次のような式を見つけました:

0qnをみたす整数q,nに対して
k=qn(nk)(kq)=(nq)2nq
が成り立つ。

今回はこれを一般化した主張:

0qn,1i<Nをみたす整数q,n,i,Nに対して
k=qn(nk)(kq)ikq(Ni)nk=(nq)Nnq
が成り立つ。

を思いついたので、証明していきたいと思います。
(実際に、この式でN=2とすればi=1となって最初の式と一致します)

区別できるn個のボールを、A1,A2,,AN,Xの計N+1色で塗り分けることを考える(A1,A2,,ANのうち使われない色があってもよいものとする)。ただし、このとき色Xで塗られるボールがちょうどq(0qn)個であるようにする。このような方法を2通りで数え上げる。
(1通りめ)
Xで塗られるボールをはじめに選ぶ方法は(nq)通り。
残りのnq個のボールをN色で塗り分ける方法は、1つのボールにつきN通りの色の選択があることからNnq通り。
よって、ボールの塗り分け方は(nq)Nnq通り。
(2通りめ)
A1,A2,,Ai,X(1i<N)i+1色で塗られるボールがk(qkn)個であるとする。
はじめにk個のボールを選ぶ方法は(nk)通り。
このk個のボールの中から色Xで塗られるq個のボールを選ぶ方法は(kq)通り。
k個のボールのうち色Xで塗られないkq個のボールを塗り分ける方法はikq通り。
n個のボールのうち残りのnk個のボールを、残りのNi色で塗り分ける方法は(Ni)nk通り。
以上より、kはちょうどqknを動くから、ボールの塗り分け方は
k=qn(nk)(kq)ikq(Ni)nk
通り。

以上から、題意は示された。

この式の右辺がiによらないのが興味深いですね。
ここまで読んでくださりありがとうございました!

参考文献

投稿日:2022330
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