タイトルにもあるように、最近考えていた交代二項変換(英:Binomial transform)について、面白い性質がいくつもあったので書きます。
交代二項変換
交代二項変換
関数に対して交代二項変換を施してできる関数を、
で定める。
以降、に交代二項変換を施したものをと表す。
また、でを表すこととします。
明らかな場合は単になどと書くこととします。
いくつかの例を見ていきます。
です。(個人的な話ですが)僕はこれを勘違いしまくりました…
交代二項変換の性質
ここからはこの交代二項変換の性質についてみていきます。
この記事では以下、基本的にについて変換している、とみてください。
証明
証明
括弧ばかりで見にくくなってしまいました
これはからを求める式とみられます。
証明
これはからを求める式とみられます。
証明
定理を
とみることで、
を足し合わせることで
先ほど行った、の証明とほとんど同じです。
証明
この性質、綺麗で好きです!
証明
ここで、なので、
求めてみる1
定理,定理を変形して、
となるので、
つまり
です。
これを使ってを順番に求めていきます。(は整数)
これを繰り返すことで、
を得ます。
ちなみに、定理と定理を使うことで多重ゼータっぽいものについても交代二項変換を求めることが出来ます。
交代二項変換と母関数
実は、の母関数を,の母関数をとするとこの二つには関係があります。(ここでの母関数とはのことを指すものとします。)
ここで、次の関係が成り立ちます。
を変形すれば証明できます。
証明
収束半径はたぶんです。
これを先ほど求めたものに適用してみると、
となり、でも収束しそうなのでとして
これ
が得られます。ちなみにこれは
iida_256さんのこちらの記事
のように反復積分でも求められるようです。
求めてみる2
が求まったので、を実数としてを求めることを考えます。以下、実数に対して、をの意味で使うこととします。
まず、を求めます。
は実は、の部分分数分解の形になっています。
よって、です。
を示します。
証明
よって示される。
定理で、として、
また、定理で、として、
を得る。
このようにしていくことで、帰納的に
が示せます。これはとした先ほどの式の二通り目の証明と言えるかもです。
これを先ほどの母関数の式に当てはめることで、
この
関係式も導出できます。
定理によって、を求めることが出来ればを求めることが出来ることが分かります。
おわりに
交代二項変換の面白い性質やそこから得られる関係式などを求めました。元の定義式を考えると、からが求まるのは非自明な感じがして面白かったです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!