数列{an} (n=1,2,⋯)が漸化式an+1=pan+f(n) (p≠0)で作られるとき,一般項はan=pn−1a1+pn−1∑k=1n−11pkf(k) (n≥2)となる.
ここで関数Snを次のように定める.
Sn=∑k=1n1pkf(k)
関数Snは漸化式を解いているとよく出くわすので,定式化しておいた方が楽だ.ということで,ずらし引きで計算していく.
1pSn=∑k=1n1pk+1f(k)
より,辺々引いて(1−1p)Sn=∑k=1n1pkf(k)−∑k=1n1pk+1f(k)=∑k=1n1pkf(k)−∑k=2n+11pkf(k−1)=−1pn+1f(n)+1pf(0)+∑k=1n1pkf(k)−∑k=1n1pkf(k−1)=−1pn+1f(n)+1pf(0)+∑k=1n1pk(f(k)−f(k−1))(p−1)Sn=−1pnf(n)+f(0)+∑k=1n1pk−1(f(k)−f(k−1))=−1pnf(n)+f(0)+(f(1)−f(0))−1pn(f(n+1)−f(n))+∑k=1n1pk(f(k+1)−f(k))=f(1)−1pnf(n+1)+∑k=1n1pk(f(k+1)−f(k))
を得る.シグマの中で関数 fの階差をとっているため, f(x)がx2,x3などの高次式のときに特に威力を発揮することが分かる.
Sn=∑k=1n1pkf(k) (p≠0)とすると,(p−1)Sn=f(1)−1pnf(n+1)+∑k=1n1pk(f(k+1)−f(k))が成立する.
以下に計算例を示す.
Sn=∑k=1n(−1)k (p=−1,f(k)=1)のとき−2Sn=1−(−1)n+∑k=1n(−1)k(1−1)=1−(−1)n+0Sn=12(−1)n−12
Sn=∑k=1n(−1)kk (p=−1,f(k)=k)のとき−2Sn=1−(−1)n(n+1)+∑k=1n(−1)k(k+1−k)=1−(−1)n(n+1)+(12(−1)n−12)=12−n(−1)n−12(−1)n=12−2n+12(−1)nSn=2n+14(−1)n−14
Sn=∑k=1n2kk (p=12,f(k)=k)のとき−12Sn=1−2n(n+1)+∑k=1n2k(k+1−k)=1−2n(n+1)+2n+1−2=2n−2nn−1Sn=2n+1(n−1)+2
逆に,階差をとって難易度の高い問題を作ることもできる.
p=1,f(n)=1n!のとき,定理1より∑k=1n1(k+1)!−1k!=1(n+1)!−1∑k=1nk(k+1)!=1−1(n+1)!となることから,
∑k=1nk(k+1)!を計算せよ.
という問題を作れる.
p=12,f(n)=1n!とすると,定理1から−12∑k=1n2kk!=1−2n(n+1)!+∑k=1n2k(1(n+1)!−1n!)∑k=1n2kk(k+1)!=12∑k=1n2kk!−2n(n+1)!+1ここでlimn→∞∑k=1n2kk!=e2−1 , limn→∞2n(n+1)!=0であるからlimn→∞∑k=1n2kk(k+1)!=e22+12が成立する.そのため,
limn→∞∑k=1n2kk(k+1)!を求めよ.
といったように,定式化することによって様々な方向に応用することが出来るためかなり気に入っている.
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