はじめに
楕円の周長が第2種完全楕円積分で求められる事や、楕円弧長が第2種不完全楕円積分で表される事に言及しているサイトは良く見掛けるが、楕円弧長については、多くが具体的な算出法を示していなかったり、著しく不完全な記述に終わっている。
正しく定式化するのに難解な議論は必要ないので、ここで整理しておく。なお、今回は弧の範囲を第Ⅰ象限に限定し、次回以降、楕円の右半分、楕円全体と範囲を広げて行く。
第2種楕円積分
第2種楕円積分は、次の積分で定義される。
第2種完全楕円積分は、第2種不完全楕円積分に於いて
関数名が同じ事に違和感を覚えるかも知れないが、変数の数で区別する事が慣習となっているので、本稿でもそれに従う。
楕円
中心が座標の原点に一致し、水平な楕円は、次の式で表される。
これを、楕円の標準形と言う。
また、楕円の重要な特徴量として離心率
また楕円の表示には、次の媒介変数表示も良く用いられる。
この場合、
楕円上の点
円の媒介変数表示
では、
さらに、媒介変数表示は次のようにする事もできる。
この場合、
最初の媒介変数表示を第1の形式、後の方を第2の形式と呼ぶ事にする。
楕円の弧長
媒介変数表示
で表される関数の
で求められる。これより、第1の形式で表された楕円の
となる。この式は初等関数で表す事はできないが、
A.
離心率は
楕円を媒介変数
で得られる。前述した通り
となる。実用上、弧の範囲は
よって、
となる。ただし、
と定める。
B.
離心率は
楕円を媒介変数
で得られる。前述した通り
となる。
よって、
となる。ただし、
と定める。
なお、ケースAでは、媒介変数
まとめ
楕円を
と表す時、
とする。
A.
B.