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現代数学解説
文献あり

Mellin変換

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こんにちは、微小です。
今回は、Mellin変換や積分変換について紹介しようと思います。

Mellin変換とは

定義を見ていきます。

Mellin変換

ある区間IRで積分可能な関数f:IR,tf(t)について、以下の式による関数変換をMellin変換(Mellin transform)という:
M[f(t)](s):=0ts1f(t)dt

Mellin変換は、ある関数fに対し、sに関する関数Mfを返す"関数"となっています。作用素といったりします。Mellin変換の標語として、次のように説明されることがあります。

Mellin変換は両側Laplace変換の乗法版とみなせる。

両側Laplace変換という新しい言葉が出てきました。
次はLaplace変換、両側Laplace変換について見ていきましょう。

Laplace変換

Laplace変換

t>0で定義された関数f:R>0R,tf(t)について、以下の式による関数変換をLaplace変換(Laplace transform)という。
F(s)=L[f(t)](s):=0estf(t)dt
ここで変換される関数を原関数(original function)、変換された関数F(s)像関数(image function)という。

Laplace変換の利点を簡単に説明します。Laplace変換を使うと「微分方程式」を積分を使わずに解くことができます
まずは必要な原関数を、Laplace変換を用いてその像関数を求めます。

次を示せ。

原関数f(t)像関数F(s)
f(t)F(s)
f(t)sF(s)f(0)
eαth(t)1sα(s>α)

ただし、h(t)はHeaviside関数
h(t):={1(x>0);1/2(x=0);0(x<0).

(1)定義そのものであるから明らか。

(2)部分積分より、L[f(t)](s)=0estf(t)dt=[estf(t)]00(s)estf(t)dt=f(0)+s0estf(t)dt=sF(s)f(0)

(3)L[eαth(t)](s)=0esteαth(t)dt=0e(αs)tdt=[1αse(αs)t]0=1sα

これらを使って簡単な微分方程式を解いてみましょう。

微分方程式f(x)=f(x)を初期条件f(0)=2の下で解け。

Laplace変換より、
f(x)=f(x)sF(s)f(0)=F(s)(s1)F(s)=2F(s)=2s1f(x)=2ex

積分を使うことなく、代数方程式を解く要領で微分方程式が解けました。これがLaplace変換の力です。

両側Laplace変換

両側Laplace変換

関数f:RR,tf(t)について、以下の式による関数変換を両側Laplace変換(two-sided Laplace transform)という。
B[f(t)](s):=estf(t)dt

その名の通り、Laplace変換の積分区間を負の無限大まで拡大したものです。そして次の公式が得られます。

B[f(t)](s)=L[f(t)](s)+L[f(t)](s)

B[f(t)](s)=estf(t)dt=0estf(t)dt+0estf(t)dt=L[f(t)](s)+0es(t)f(t)(dt)(tt)=L[f(t)](s)+0e(s)tf(t)dt=L[f(t)](s)+L[f(t)](s)

Mellin変換とLaplace変換

さて、例の標語について考えていきましょう。
Mellin変換と両側Laplace変換の関係性を示せればOKです。

M[f(t)](s)=B[f(et)](s)

B[f(et)](s)
=estf(et)dt
=0tsf(t)(1t)dt(ett)
=0ts1f(t)dt
=M[f(t)](s)

これがMellin変換が両側Laplace変換の乗法版と言われる所以でしょう。

最後にこれらの一般論を述べておきましょう。

一般論:積分変換

以下の作用素T:fTf積分変換(integral transform)という。
a,b[,]と2変数関数K(s,t)に対し、
T[f(t)](s):=abK(s,t)f(t)dt.
ここで、二変数関数K(s,t)を、積分変換T核関数(kernel function)という。
K(s,t)=K(t,s)を満たす核関数を対称核関数(symmetric kernel function)という。

つまり、入力関数はfであり、出力関数はTfであるような作用素のことです。

積分変換の例

上の3つの変換はすべて積分変換である。

変換Laplace変換L両側Laplace変換BMeilln変換MFourier変換F
K(s,t)estestts112πeist

LBFは対称核である。

上で議論したことは核の変換ということでした。
最後にいくつか事実を述べて終わろうと思います。

(1)すべての積分変換は線形作用素である。すなわち、積分変換Tについて、任意の関数f,gα,βRに対し、
T(αf+βg)=αTf+βTg.
(2)すべての線形作用素は積分変換になる。(Schwarzの核定理)

より詳しく知りたい方はFredholm理論で調べてみてください。

読んでいただきありがとうございました。

参考文献

投稿日:202253
更新日:16日前
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  1. Mellin変換とは
  2. Laplace変換
  3. 両側Laplace変換
  4. Mellin変換とLaplace変換
  5. 一般論:積分変換
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