漸化式
$$ a_0=1,a_{n+1}=\frac{a_n [a_n]}{2}+1$$
で定められる数列$\{a_n\}_{n=0,1,2,\cdots}$の極限についてです。
ただし、$[x]$は$x$を超えない最大の整数を表します。
もし$\alpha$に収束すれば
$$ \lim_{n \to \infty}a_{n+1}=\alpha,\lim_{n \to \infty}a_n=\alpha$$
であるので、$a_{n+1}$と$a_n$をどちらも$\alpha$で置き換えた方程式
$$ \alpha=\frac{\alpha [\alpha]}{2}+1$$
を考えてみると、
[1]$\alpha\leq 0$のとき、
$\alpha [\alpha]\geq0$より、
$$ \alpha\lt \frac{\alpha [\alpha]}{2}+1$$
[2]$0\lt \alpha \leq 1,2\leq \alpha$のとき、
$[\alpha] \gt \alpha -1$だから、
$$\begin{eqnarray} \frac{\alpha [\alpha]}{2}+1&\gt& \frac{\alpha (\alpha -1)}{2}+1\\ &=&\alpha+\frac{\alpha^2-3\alpha+2}{2}\\ &=&\alpha+\frac{(\alpha-1)(\alpha-2)}{2}\\ &\geq& \alpha
\end{eqnarray}$$
[3]$1\lt \alpha \lt 2$のとき、
$[\alpha]=1$だから、
$$\begin{eqnarray} \frac{\alpha [\alpha]}{2}+1&=&\frac{\alpha}{2}+1\\ &\gt& \frac{\alpha}{2}+\frac{\alpha}{2}\\ &=& \alpha
\end{eqnarray}$$
以上から、この方程式は実数解を持たないことが分かります。
数列$\{a_n\}$の一般項は
$$ a_n=2-\frac{1}{2^n}$$
になります。
数学的帰納法で示す。
$n=0$のとき、$2-\frac{1}{2^0}=1$なのでok
$n=k(k \geq0)$のとき成立すると仮定すると、$1 \leq a_k \lt 2$なので、$a_{k+1}=\frac{(2-\frac{1}{2^k}) \cdot1}{2}+1=2-\frac{1}{2^{k+1}}$ よって$n=k+1$のときにも成立するので、
すべての非負整数$n$に対して、$a_n=2-\frac{1}{2^n}$
最後に、
数列$\{a_n\}$の極限値は$\alpha$であり、ほとんどすべての自然数$n$で$a_{n+1}=f(a_n)$が成り立つとする。ただし$f(x)$は$x=\alpha$で連続な関数とする。
このとき、$\alpha=f(\alpha)$が成り立つ
$$\begin{eqnarray} \alpha&=& \lim_{n \to \infty}a_n\\ &=& \lim_{n \to \infty}f(a_{n-1})\\ &=& f(\alpha) \end{eqnarray}$$