こんにちは.この記事では僕の幾何力向上を兼ねて五心の性質と五心関連の話を整理していきたいと思います.その性質上とても記事が長くなってしまっています.何かミス等ありましたらご指摘いただけると嬉しいです.出来るだけ色々な解法で解くとともに,なぜそのように考えるのか?等もメモしていきたいと思います.では,よろしくお願いします!
(ちなみに,4.利用例には軽く五心の性質を使う問題たちを載せておきました.おまけです.)
この記事をほぼ理解するための前提知識は,中学数学と数学Aのチェバの定理,メネラウスの定理までです.(終盤の難しめの定理に関しては一部複素を使って証明しています.)
<今回紹介するもの>
今回紹介するものは目次の通りです.前半の方はとても簡単で一つ一つが軽いです.後半はかなり重めの定理なども含まれています.また,五心が関わるものなら割と広く紹介していますので九点円なども含まれています.
本記事に修正、加筆を加えた 最新版 もぜひご覧ください。
三角形の各頂点から対辺への中線の交点を重心という.
三角形の各頂点から対辺への中線は必ず一点で交わる.(重心は必ず存在する.)
三角形
重心-1
三角形の各頂点の角の二等分線の交点を内心という.
三角形の各頂点の角の二等分線は一点で交わる.(内心は必ず存在する.)
三角形
内心-1
方針:まず二つの角の二等分線の交点を考えその交点と残りの頂点を結ぶ線が角の二等分線であることを示す.
三角形
ここで,
内心-02
角の二等分線が
三角形の各辺の垂直二等分線の交点を外心という.
三角形の各辺の垂直二等分線は一点で交わる.(外心は必ず存在する.)
方針:まず二つの辺の垂直二等分線の交点を考えその交点から残りの辺への垂線を下ろす.その点が中点であることを示す.
ここで,
外心-1
三角形の各頂点から対辺へ下ろした垂線の交点を垂心という.
三角形の各頂点から対辺へ下ろした垂線は一点で交わる.(垂心は必ず存在する.)
方針:共円の存在を利用して角度計算をして示す.
垂心-1
方針:外心の存在を利用する.
各頂点を通り,対辺に並行な直線をそれぞれ引く.それらの交点を図のように
垂心-2
三角形の頂点一つの角の二等分線と二つの外角の二等分線の交点を傍心という.
三角形の頂点一つの角の二等分線と二つの外角の二等分線の交点は一点で交わる.(傍心は必ず存在する.)
一つの三角形に対して,傍心は3つ存在します.
方針:外角の二等分線の交点と
傍心-1
三辺の長さを
三角形
となって,最右辺が得られる.
内接円-1
三辺の長さを
図のように
円周角の定理より,
最右辺に関しては内接円の半径と同じように,
正弦定理-1
三辺の長さを
方針:内接円の半径と同様に面積についての式を立てる.
最右辺に関しては内接円と同じように,Sをヘロンの公式を用いて
傍接円-1
三角形
定理6より
よって,題意は示された.
三角形
定理6より
三角形の三辺の中点,三頂点から対辺に下ろした垂線の足,垂心と各頂点の中点を通る円を九点円(フォイエルバッハ円)という.
三角形の三辺の中点,三頂点から対辺に下ろした垂線の足,垂心と各頂点の中点は同一円周上に存在する.(九点円は必ず存在する.)
方針:中点が複数存在することから中点連結定理を考える.
三角形
四角形
九点円-1
九点円-2
九点円の半径は外接円の半径の半分である.
定理12を示す前に補題を示しておきます.
三角形の各辺の中点を結んでできた三角形(中点三角形)は元の三角形と相似であり,その相似比は
中点連結定理より,
中点三角形-1
補題13より,三角形
九点円-3
九点円の中心は外心と垂心の中点である.
三角形
九点円とオイラー線-1
中点三角形の重心は元の三角形の重心と等しい.
中点連結定理より,
中点三角形の重心-1
中点三角形の垂心は元の三角形の外心と等しい.
中点連結定理より,
中点三角形の垂心-1
傍心三角形の垂心は元の三角形の内心と等しい.
方針:三角形
三角形
傍心三角形の垂心-1
垂足三角形の内心は元の三角形の垂心である.
方針:元の三角形の垂心が垂足三角形の内心であることを示す.共円を利用して,簡単な角度計算で示す.
垂足三角形の内心-1
垂足三角形の傍心は元の三角形の各頂点である.
定理18の証明と同様に,
垂足三角形の傍心-1
三角形の各頂点と,内接円と対辺の接点を結んだ線分の交点をジュルゴンヌ点という.内接円のと各辺の接点を結んでできた三角形をジュルゴンヌ三角形という.
三角形の各頂点と,内接円と対辺の接点を結んだ線分は一点で交わる.(ジュルゴンヌ点は必ず存在する.)
方針:円外の一点と接点との関係を使う.
ジュルゴンヌ点-1
垂心と外心は等角共役関係にある.
三角形
垂心と外心の等角共役性
内心と外心の距離を
方針:方べきの定理を使用する.
三角形
オイラーの公式-1
オイラーの公式-2
オイラーの公式-3
正三角形でない任意の三角形に対して外心,重心,垂心はこの順で一直線に並びその距離の比は
直線
図2において,三角形
オイラー線-1
オイラー線-2
三角形
方針:
円周角の定理より,
トリリウムの定理-1
トリリウムの定理-2
三角形
方針:初等的に示すのは難しそうなので複素を利用する.(初等的な証明が思いつきませんでした...)
よって題意は示された.
コスニタの定理-1
コスニタの定理-2
単位円上の六点
(i) 三本が平行である場合
直線
この時,全て平行であるから,
となって,成立する.
(ii) 三本が一点で交わる場合
であり,これは全て同じ点
となる.一方で,
である.よって,成立する.
(i) 平行であることの証明
(ii) 一点で交わることの証明
ここで,
よって,題意は示された.
円に内接する四角形
方針:内心と外接円がたくさん登場していることからトリリウムの定理を利用する.
弧
丸山良寛の定理-1
丸山良寛の定理-2
利用例は挙げたらキリがないですが,ここでは特に五心の基本的な性質と深く関わっている問題をいくつか集めてみました.是非考えてみてください.
簡単ではありますが,自作問題なので一応解説をおいておきます.
問題文の状況を書き起こしただけの図
(1)の図
(2)の図
とても長い記事となってしまいましたが五心の基本性質を全て網羅できた気がします.作問するときに見たりと活用していただけると嬉しいです!!