お久しぶりです. IMOが終わったので, 数学オリンピックの体験記を, 備忘録も兼ねてコンテストや勉強法を中心にまとめます. 数オリを目指す人の手助けになれば幸いです. 早速行きましょう!
分野について
コンテストの略称
本の略称
内容はあくまで一個人の意見として軽く受け止めてください!
冬休みくらいから予選対策としての勉強を始めました. 教材は主に
の$3$つ. 順に解説をすると,
不等式をはじめとしたA分野に不安があったので使った.
メリット
デメリット
苦手分野の補強をしたい人や分野全体を一通り勉強したい人はおすすめ.
数オリ前からずっと参加していた.
メリット
デメリット
本当に全人類参加すべき. 勉強のモチベーションという多くの人が悩みがちなところを解消してくれる.
問題と解答だけならインターネット上で無料で見られる. 直前の本番形式や実力を測るのに使った.
メリット
デメリット
といった感じでしょうか. 勉強法は主に
のふたつです. 知識は演習していればある程度ついてきます. 苦手分野があればそこを重点的にやりましょう!
https://twitter.com/ribooose/status/1477900177042472960?t=bw8p0kEL8uzXqB00Dw5B7w&s=19
これは相性が人によるのですが, 今年からまとめノートを作るようにしました. 自分が知らなかったテクニックや頻出構図, 定理を1冊のノートにまとめるというものです. 直前に見るものがあるということも安心感に繋がります.
去年1点足りずに予選落ちしたので気が気ではなかったです. 午前中は先述のまとめノートを見返したり, ほかの参加者と通話をしたりしていました.
また, 直前は難しい問題をとかない方が良いです. 解けないと本当に焦ります. そして試験ーー
123は問題なく撃破
4で位置関係を間違えた図を描き, 30分くらい何も進捗が生まれない
一旦5, 6, 7を解き, やっと4の位置関係が間違っていることに気づく→解く
最低限7完欲しいので8, 9の両方を解きたい
8の答えが不安になる
9を解く
ここで30分くらい見直しをする→9の計算ミスを見つける
10が解ける
11を考えるがよく分からない
12はほとんど手をつけない
試験終了
結果は12345789の8完
上の動きには良くないところがいくつかあります.
それを踏まえ, 特に以下のことを意識すると良いかと思います
予選は特に演習量がものをいいます. まずは楽しんで!!
すぐに予選が8完だとわかり(twitter上の解答と照らし合わせ)ましたが, twitter上の色々なアンケートやツイートを見る限り9完ボーダーもある気がしていました.
ただ, 終わって3日くらいしたところで振り切って本選の勉強を始めます. 少しでも通る可能性があったら絶対早いうちから勉強を始めましょう. 予選~本選は本当にあっという間です.
教材として,
を使いました. 過去問は解答解説が買わないとないことに注意してください. 予選のときになかった下二つだけ追加で説明.
IMOのときまでメインで使った. 要点がわかりやすくまとめられていて演習も豊富. 本選以降を目指す人は絶対買ってください.
メリット
デメリット
本選までに全部1周, 不安なところは2周した.
実は買ったがほとんど読んでいない. というより不等式が苦手すぎて半ば出ないことにかけていた. (これは本当に良くないので全分野対策するようにしましょう)
初歩的なところから幾何不等式まで網羅されている.
勉強法は予選の内容に加え,
というところを意識しました.
https://twitter.com/ribooose/status/1488863945486131210?s=20&t=ZUNieivBGwbFsaa4pEevPg
過去問を解くことで時間配分を意識したり, 自信につながるというわけです. また, 本選以降, しばしば知識の一発ゲーのことがあります.
JMO本選のネタバレ注意
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$$a^n-1=(a^p-1)(a^q-1)(a^r-1)$$
なる正の整数の組 $(a, n, p, q, r)$ を全て求めよ.
$\rightarrow$ Zsigmondyの定理から $a^n-1$ の原始的素因数をとれ, 解が大きくしぼれる.
三角形 $ABC$ の外接円を $\Gamma$, $AB, AC, \Gamma$ に内接する円と $\Gamma$ の接点を $A_0$. $B_0$, $C_0$ も同様に定めるとき, $AA_0$, $BB_0$, $CC_0$ が $1$ 点で交わることを示せ.
$\rightarrow$ $A$ 内の傍接円と $BC$ の交点を $A_1$ とおけば $AA_0$ は $AA_1$ の等角共役. チェバの定理から $AA_1$, $BB_1$, $CC_1$ は共点なので等角共役点の性質から $AA_0$, $BB_0$, $CC_0$ も共点.
などなど. こういった知識は先述の各本や 高校数学の美しい物語 で収集できます. また, 初等幾何bot や Wikipedia も大変良い情報源です.
予選のときのまとめノートも継続して作り続けました.
過去問を解いた感触や過去のボーダーから, 3完を目標にしました. 当日迷子になるという大失態を犯し, 1時間くらい彷徨っていたので, 必ず2時間くらいは余裕をもって会場につきましょう.
1を20分くらいで解き終わる. 記述が若干不安.
2も実験していたら単射性や(ほとんど)全射性がわかって以降とんとん拍子に. 40分くらい.
しかし3がなかなか解けない. そこで途中で(解けていないにも関わらず)思い切って解答用紙に解答を書き始める. と, どういうわけかそのまま解けてしまった. 100分くらい.
4は少し考えるもなかなか方針が見つからず自明な考察だけを解答に書いた. 残りの時間の多くを見直しに費やす.
5の問題は読んですらいない
試験終了
結果は78800計23. ボーダーが19だったので結果的にはある程度余裕があったわけですが, 3問しか手を付けていないというのは本当に怖いです. 特に, 今年は入賞者のtwitterユーザーが多かったこともあり(ボーダーが高そうだったので), 全然勉強に身が入りませんでした.
入賞しているかどうかは正直五分五分でした. そして本選も予選同様, 何よりも楽しんで!
この時期自分は一番病んでいました. なにより他の本選参加者が自信満々に春合宿の対策をしている(さらにそれをtwitterに公開する)のを見るのが本当につらかった. 何度もミュートと解除を繰り返して, まともに勉強できるようになったのは結果が出た後でした.
ここでの勉強法も本選までとそこまで変わりません. 主に
ここでAoPSについて少し触れます.
英語のみ. IMO, IMO shortlist(コンテストに使われなかった問題, 日本だと春合宿, 初夏合宿で使われる), 各国のTST(Team Selection Test, 代表選抜試験), などの問題が過去何十年にわたって掲載されている. 各問題にフォーラムが用意されており, 大きいコンテストだと解答が書いてあることが多い(ただし間違った解答もそこそこあるので気を付けること).
上記のリンクをクリック後,
右上の"COMMUNITY"→"Contests"→コンテスト名
で問題を見ることができる.
相変わらずまとめノートは作り続け, 特に苦手意識のあった幾何の構図をたくさん仕入れました. また, このくらいの時期に分野別対策本が『美しい不等式の世界』しかないことに気づき, 焦りを覚えます. 分野別の対策本との相性は人に大きくよるので一概には言えませんが, 苦手分野は用意することをおすすめします. 僕がメインで使ったのはEGMOだけですが, 獲得にはない知識をたくさん得られ, 大きく力を伸ばすことができました.
この間APMOがありましたが特に書くことがないので省略します.
自分自身予選, 本選で特別良い成績を残せたわけでもなく, ましてや来年もう一回受けられる立場ですので, 一個人の意見として参考程度にしていただけると嬉しいです. 今回はここで一回切り, 次回の記事では春合宿からIMOまでをまとめます. それではまた次回.