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(自己紹介と) 自作問題の解説

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こんにちは,locker といいます.中3です.
主に競技数学をやっています.OMC に作問を投げたりもします.
なんとなくアカウントを作ったので,記事投稿はそんなにしないと思います.

とは言えこれだけで終わるとあれなので問題の解説でもします.どっちかというとこっちが本編です.解説する問題は twitter の作問リレーで私が出したものです.

ウォーミングアップ

いったん,私が中2の頃に出題した次の問題を考えましょう.今回の本題はこの問題をリメイクする形で作りました.

以下の値が整数となることを示せ.
$$\frac{(100!)^{50}}{1^{100}\times 2^{99}\times \cdots \times 100^1}$$

分母がなんか気持ち悪いですが,次のような図を縦と横から見ることを考えると
$$1!\times 2!\times \cdots \times 100!$$
と変形できます:
1^100×2^99×...×100^1 の図 1^100×2^99×...×100^1 の図
これで分母,分子の両方が階乗で表されたので,なんか二項係数っぽい感じがしますね.実際
$$\begin{aligned} \frac{(100!)^{50}}{1!\times2!\times\cdots\times100!} &= \frac{100!}{1!\times 100!} \times \frac{100!}{2!\times 99!} \times \cdots \times \frac{100!}{50!\times 51!} \\ &= \frac{{}_{101}\mathrm{C}_{1}}{101}\times \frac{{}_{101}\mathrm{C}_{2}}{101}\times \cdots \times \frac{{}_{101}\mathrm{C}_{50}}{101} \end{aligned}$$
と変形でき,${}_{101}\mathrm{C}_{1}, {}_{101}\mathrm{C}_{2}, \cdots, {}_{101}\mathrm{C}_{50}$ は整数かつ,全て素数 $101$ の倍数なので,示されました.

本題

$(1,2,\cdots, 100)$ の並べ替え $(a_1, a_2, \cdots, a_{100})$ が任意の $1\leq k\leq 100$ について以下を満たしている:

  • $a_i\gt a_k$ なる $i$ が 全て $k$ より大きい,または全て $k$ より小さい.

このような $(a_1, a_2, \cdots, a_{100})$ について,以下の値が整数となることを示せ.
$$\left(\frac{1}{101-a_1}\right)^{a_1}\left(\frac{2}{101-a_2}\right)^{a_2}\cdots\left(\frac{100}{101-a_{100}}\right)^{a_{100}}$$

問題1と問題2に共通するのは,二項係数をうまく使って示すという点です.

とりあえず展開して,分母を先ほどと同様に整理すると
$$\frac{1^{a_1}\times 2^{a_2}\times \cdots \times 100^{a_{100}}}{1!\times 2!\times \cdots\times 100!}$$
が整数であること,つまり
$$1^{a_1}\times 2^{a_2}\times \cdots \times 100^{a_{100}}$$
$1!\times2!\times\cdots\times100!$ の倍数であることを示せばいいです.

次に $a_n$ について探っていきます.条件を言い換えれば,$a_n$ は次のようにして構成できることが分かります.

  • 最初に $100$ のみがある状態を作る.
  • $99$ を最左または最右に並べる.
  • $98$ を最左または最右に並べる.
  • ...
  • $1$ を最左または最右に並べる.

つまり
$(100)$ → (右に並べる) → $(100,99)$ → (左に並べる) → $(98,100,99)$ → (右に並べる) → $(98,100,99,97)$ → ...
というようにして $a_1, a_2, \cdots, a_{100}$ が作れるということです.

さて,ここで以下のように $1^{a_1}\times 2^{a_2}\times \cdots \times 100^{a_{100}}$ の図を描いてみましょう.ただし,下図では $100$$5$ に変換しています.
1^(a1)×2^(a2)×...×100^(a100) の図 1^(a1)×2^(a2)×...×100^(a100) の図
そしてこれを上の段から順番に見てみます.すると,連続する $1,2,\cdots, 100$ 個の整数が現れます.
これはさっき述べた性質から簡単に確認できます.$100$$99$$100$$98$$99$$100$ ,... はすべて連続して $a_n$ の中に現れるからです.

もう分かった方が多いのではないでしょうか.分子は上で述べた理由から
($1$ 個の連続する整数の積) $\times$ ($2$ 個の連続する整数の積) $\times \cdots \times$ ($100$ 個の連続する整数の積)
と表せます.ここで二項係数が整数であることから,これらは左から順番に $1!, 2!, \cdots, 100!$ で割り切れます.従って $1^{a_1}\times 2^{a_2}\times \cdots \times 100^{a_{100}}$$1!\times2!\times\cdots\times100!$ の倍数となり,題意は示されました.

投稿日:202286
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locker
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2008年の早生まれです

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