5

算術導関数について

299
0

算術導関数という関数があります.これに関して, Wikipedia で紹介されている等式の証明とは別の証明を思いついたので,紹介したく記事にしました。

算術導関数というのは,以下の計算規則をみたす関数Dのことです.

{D(0)=D(1)=0D(n)=1  nPD(mn)=mD(n)+nD(m)  m,nN.

Wikipediaは次の等式が成立すると言っています.

D(n)n=p|n,pPvp(n)p
vp(n)は非負整数で,n0(modpvp(n))かつn0(modpvp(n)+1)をみたす.
特に,gcd(p,n)=1なら,vp(n)=0

これを定義から導出します.

n>1のとき,pi (i=1,2,)を素数の列(i番目の素数を表すわけではない)とし,関数Nを次のように定める.
N(m)=i=1mpi
任意のn(>1)に対しmと数列{pi}が存在する.
定義から,
D(N(m+1))=D(pm+1N(m))=pm+1D(N(m))+N(m)D(pm+1)D(N(m+1))=pm+1D(N(m))+N(m)
となる.これは漸化式とみなすことができる.D(N(m))の係数がpm+1であることに注意すると,この漸化式の一般項は
D(N(m))=(i=2mpi)D(N(1))+i=1m1N(i)j=i+2mpj=(i=2mpi)D(p1)+i=1m1j=1ipjj=i+2mpj=(i=2mpi)+i=1m1N(m)pi+1=N(m)p1+i=2mN(m)piD(N(m))=N(m)i=1m1pi   ()
となる.これはm=1のときでも成立する.piN(m)の素因数であり,piと等しい値を取るものはpiも含めてvpi(N(m))個あるため,(*)式は次のように書き換えられる.
D(N(m))=N(m)p|N(m),pPvp(N(m))p

N(m)nで置き換えれば
D(n)n=p|n,pPvp(n)p   (n>1)
を得る.
n=1のとき,()=0,()=0よりn=1のときでも成立する.
よって,任意の自然数n
D(n)n=p|n,pPvp(n)p
が成立する.

投稿日:202291
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

約数関数、数列関係の記事を中心に書いていきます。 記事の内容に間違いがあれば教えてくれるとありがたいです。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中