算術導関数という関数があります.これに関して, Wikipedia で紹介されている等式の証明とは別の証明を思いついたので,紹介したく記事にしました。
算術導関数というのは,以下の計算規則をみたす関数Dのことです.
{D(0)=D(1)=0D(n)=1 n∈PD(mn)=mD(n)+nD(m) m,n∈N.
Wikipediaは次の等式が成立すると言っています.
D(n)n=∑p|n,p∈Pvp(n)pvp(n)は非負整数で,n≡0(modpvp(n))かつn≢0(modpvp(n)+1)をみたす.特に,gcd(p,n)=1なら,vp(n)=0
これを定義から導出します.
n>1のとき,pi (i=1,2,⋯)を素数の列(i番目の素数を表すわけではない)とし,関数Nを次のように定める.N(m)=∏i=1mpi任意のn(>1)に対しmと数列{pi}が存在する.定義から,D(N(m+1))=D(pm+1N(m))=pm+1D(N(m))+N(m)D(pm+1)∴D(N(m+1))=pm+1D(N(m))+N(m)となる.これは漸化式とみなすことができる.D(N(m))の係数がpm+1であることに注意すると,この漸化式の一般項は*D(N(m))=(∏i=2mpi)D(N(1))+∑i=1m−1N(i)∏j=i+2mpj=(∏i=2mpi)D(p1)+∑i=1m−1∏j=1ipj∏j=i+2mpj=(∏i=2mpi)+∑i=1m−1N(m)pi+1=N(m)p1+∑i=2mN(m)pi∴D(N(m))=N(m)∑i=1m1pi ⋯(*)となる.これはm=1のときでも成立する.piはN(m)の素因数であり,piと等しい値を取るものはpiも含めてvpi(N(m))個あるため,(*)式は次のように書き換えられる.D(N(m))=N(m)∑p|N(m),p∈Pvp(N(m))p
N(m)をnで置き換えればD(n)n=∑p|n,p∈Pvp(n)p (n>1)を得る.n=1のとき,左辺右辺(左辺)=0,(右辺)=0よりn=1のときでも成立する.よって,任意の自然数nでD(n)n=∑p|n,p∈Pvp(n)pが成立する.
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