https://mathlog.info/articles/3460
の解説である。
より簡単な解法はあるかもしれない。
この解法はかなりお気に入りのものなので、至る所で出題したい。
Zsigmondyの定理
ある$n,m$が存在して$\displaystyle\frac{(n!)^m}{n^{n^n}-1}$が整数になったとする。
$n=1,2$の場合については、代入することで整数にならないことが容易に分かる。以降$n \geq 3$と定める。
正整数$n$に対し、$f(n),d(n)$でそれぞれ$n$の異なる素因数の個数、正の約数の個数を表す。
例えば、$f(30)=3 , d(30)=8$である。
以下の補題を示す。
正整数$n,m(m \geq 3)$に対し、$$d(n)-1 \leq f(m^n-1)$$
$n$の2以上の約数を小さい順に$n_2,n_3,...,n_{d(n)}$とする。
正整数$k(2\leq k \leq(n))$について、$m^{n_k}-1$は$m^n-1$を割り切るため、
$m^{n_k}-1$の素因数はすべて$m^n-1$の素因数に含まれる。
Zsigmondyの定理により、$m^{n_k}-1$の素因数であって
$m^{n_k-1}-1,m^{n_k-2}-1,...,n^2-1,n-1$を割り切らないものが存在するため、それを$p_k$とおくと、
$p_2,p_3,...,p_{d(n)}$は明らかに相異なり、しかもすべて$m^n-1$の素因数であるから、$m^n-1$は少なくとも$p_2,p_3,.. ,p_{d(n)}$の$d(n)-1$個の素因数をもち、$d(n)-1 \leq f(m^n-1)$は明らか。
$f(n^{n^n}-1) \leq f((n!)^m)$が必要である。なぜなら、$f(n^{n^n}-1) > f((n!)^m)$であったとすれば、$n^{n^n}-1$に含まれる素因数であって、$(n!)^m$に含まれない素因数が存在するからである。
このとき、$$d(n^n)-1 \leq f(n^{n^n}-1)$$及び
$$f((n!)^m)= f(n!) < n$$により、
$n < n$となるが、これは明らかに不合理。よって、$\displaystyle\frac{(n!)^m}{n^{n^n}-1}$は整数にならない。