対数平均に関する不等式からモローの不等式を導いてみました。追記:モローの不等式から対数平均の不等式も導けました。
対数平均に関する不等式は[1,4,6,9]、モローの不等式は[2-5]を参考にしています。
対数平均に関する不等式で[10-12]も面白かったです。
正の実数
をそれぞれ
任意の正の実数
が成り立つ。等号は
定理1の不等式を対数平均に関する不等式と呼ぶことにします。
次に紹介するモローの不等式はネイピア数
すなわち、
が成立する。
モローの不等式は、
と級数表示できます。
から分かるようにこの級数の方が収束が速いです。
が成立する。
命題3は下に凸な関数y=f(x)は接線y=f'(c)(x-c)+f(c)によって支持されることを表します。
(曲線y=f(x)を折れ線近似して極限をとった等式?)
と書ける。(i)
(ii)
(iii)x=cのとき等式が成立することは明らかである。
命題3から基本的で便利な不等式が得られます。
(
例1の文字を置き換えて遊んでみよう。
(i)で
(iv)の最初の不等式で
これらの不等式は後で使います。
モローの不等式の左側
と
が得られる。この不等式は東京大学の入試問題でも出題された。また、
高校数学の美しい物語>微分を用いた不等式証明の問題
の不等式
の左側と同値である。右側はモローの不等式の右側
に対数をとって、
同じような文字の置き換えと簡単な操作から次の例のような不等式が得られます。
不等式
と書ける。
各辺は正であるから、逆数をとると不等号の向きが逆になり、定理の不等式が得られる。
が成立する。
が成立する。両辺に
が成立する。
証明は積分形と同様にできる。積分形とは
が成立する。
Hermite-Hadamardの不等式(左側)
Hermite-Hadamardの不等式(右側)
左側の不等式は
が成立することに注意する。
Hermite-Hadamardの不等式より、
すなわち、
左辺に
を使い、真数を比較するとモローの不等式が得られる。
対数平均に関する不等式の証明には他にもあります。興味があれば[1,5]を見てください。
Hermite-Hadamardの不等式より、
が得られる。失敗したかと思うが、あきらめないで、左側の不等式で
(なぜ指数関数に対してHermite-Hadamardの不等式を適用する方が上手くいくのか??)
対数平均に関する不等式(定理 1)は接線を利用して得られる対数関数の不等式
対数平均に関する不等式(定理1)より、
左側の不等式と
右側の不等式を考える。
よって、モローの不等式の右側
が得られる。
モローの不等式の右側
は次のように変形できる。
右辺に不等式
対数をとって整理すると、
したがって、
から
が得られることは上記の注意で示した。対数をとって整理すると、
やる気がでてきたときに書く予定
目標
左側はKramata, 右側はLinによる。