2

積分

73
0
$$\newcommand{bm}[0]{\boldsymbol} \newcommand{dep}[0]{{\rm dep}} \newcommand{ds}[0]{\displaystyle} \newcommand{Li}[0]{{\rm Li}} \newcommand{mi}[2]{\begin{array}{c} #1 \\ #2 \end{array}} \newcommand{n}[0]{\varnothing} \newcommand{ol}[1]{\overline{#1}} \newcommand{R}[0]{{\cal R}} \newcommand{sh}[0]{ш} $$

$$I_n:=\int_1^e\ln^nxdx$$

\begin{align} I_n&=\int_1^e\ln^nxdx \\ &=\left[x\ln^nx\right]_1^e-n\int_1^e\ln^{n-1}xdx \\ &=e-nI_{n-1} \end{align}
両辺を$n!$で割ると、
\begin{align} \frac{I_n}{n!}&=\frac{e}{n!}-\frac{I_{n-1}}{(n-1)!} \end{align}
$\ds\frac{I_n}{n!}$を新しく$a_n$とおくと、$a_n$は漸化式$\ds a_n=\frac{e}{n!}-a_{n-1}$を満たす。よって$a_n$
\begin{align} a_n&=\frac{e}{n!}-\frac{e}{(n-1)!}+\cdots+\frac{(-1)^{n-1}e}{1!}+(-1)^na_0 \\ &=(-1)^n\left(a_0+e\sum_{k=1}^n\frac{(-1)^k}{k!}\right) \\ &=(-1)^n\left(-1+e\sum_{k=0}^n\frac{(-1)^k}{k!}\right) \\ &=(-1)^n\left(-1+e\sum_{k=0}^n\frac{(-1)^{(n-k)}}{(n-k)!}\right) \end{align}
と計算できる。これに$n!$をかけることで
$$I_n=(-1)^{n+1}n!+e\sum_{k=0}^n(-1)^k{}_n{\rm P}_k$$
である。

$$\lim_{n\to\infty}I_n=0$$

すべての正の整数$n$について、$x\in[1,e]$ならば$|\ln x|\leq1$である。定数関数$1$$[1,e]$上可積分なので優収束定理より積分と極限は交換できて、
\begin{align} \lim_{n\to\infty}I_n&=\lim_{n\to\infty}\int_1^e\ln^nxdx \\ &=\int_1^e\lim_{n\to\infty}\ln^nxdx \\ &=0 \end{align}
である。

明らかに$I_n$は単調減少で、$I_n$$e$の整数係数の一次式で書けるから、$e$の値を有理数で評価できる。

$I_6=265e-720>0$より$\ds e>\frac{720}{265}=\frac{144}{53}>2.7169$である。
$I_7=5040-1854e>0$より$\ds e<\frac{5040}{1854}=\frac{280}{103}<2.7185$である。

手計算でそれなりの精度が得られる。
次の定理にこの$I_n$を使った証明を与える。

$e$は無理数である。

$e\in\mathbb{Q}$と仮定する。$e>0$なので、互いに素な正の整数$p,q$が存在して$\ds e=\frac{p}{q}$を満たす。$I_n$$e$の整数係数一次多項式なので、$\ds I_n\in\frac1q\mathbb{Z}$であり、$I_n$は単調減少なので、十分大きい$N$$\ds0< I_N<\frac1q$を満たす。しかし、これは$\ds I_n\in\frac1q\mathbb{Z}$に反する。よって$e\not\in\mathbb{Q}$である。

投稿日:2022924
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Ιδέα
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