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自作関数方程式の解法

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した関数方程式の解法を書きます.

関数 $f:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}$ であって,任意の実数 $a,b,c,d,e$ に対して

$f(df(a,b,c),e,acd)=adf(e,b,c)+cde$

をみたすものをすべて求めよ.

3変数のFEは見たことがなかったので,「3変数のFEがあったら面白いなー」と思いながら作りました.
直感では問題に登場する変数は $a,b,c,d$ の4種類だけにできそうなのですが,これはまた今度考えます.
解くのにかかったのは1~2時間ですが,問題が複雑な分時間が多くかかっているので実際の難易度はもう少し低いです.

解法

$f(x,y,z)=xy+z$ となる $f$ は与式をみたすので解である.他に解がないことを示す.

与式を $P(a,b,c,d,e)$ とする.

Claim1: $f(0,y,0)=0$

$P(a,b,c,0,y)$ より,任意の実数 $y$ に対して $f(0,y,0)=0\tag{1}$ である.

Claim2: $f(x,0,0)=0$

$P(a,0,0,d,0)$ より,$f(df(a,0,0),0,0)=adf(0,0,0)=0$
$f(a,0,0)\neq0$ のときは $d=\dfrac{a}{f(a,0,0)}$ とすることで $0=f\left(\dfrac{a}{f(a,0,0)}f(a,0,0),0,0\right)=f(a,0,0)\neq0$ となって矛盾するため,任意の実数 $x$ に対して $f(x,0,0)=0\tag{2}$ である.

Claim3: $f(0,y,z)=z, f(x,y,0)=xy$

$cde\neq0$ として $P(0,b,c,d,e)$ を考えると $f(df(0,b,c),e,0)=cde$ となる.
$f(0,b,c)=0$ のときは $cde=f(df(0,b,c),e,0)=f(0,e,0)=0$ となって矛盾するので $f(0,b,c)\neq0$ である.
$t\neq0$ とし, $d=\dfrac{t}{f(0,b,c)}$ を代入すると,$f(t,e,0)=\dfrac{cet}{f(0,b,c)}$
左辺は $c$ に依らないので $\dfrac{c}{f(0,b,c)}$$c$ に依らず,ある $0$ でない実数 $k$ が存在して任意の実数 $b,c\ (c\neq0)$ に対して $f(0,b,c)=kc$ となり,$(1)$ より $c=0$ でも成り立つ.
また,$f(t,e,0)=\dfrac{te}{k}$ が任意の実数 $t,e\ (te\neq0)$ について成り立ち,$(1),(2)$ より $te=0$ でも成り立つ.
$P(a,b,0,d,e)$ より $f(df(a,b,0),e,0)=adf(e,b,0)$ となるので $\dfrac{adbe}{k^2}=\dfrac{abde}{k}$ となり,$k=1$ を得る.
これより,任意の実数 $x,y,z$ に対して $f(0,y,z)=z \tag{3}$ $f(x,y,0)=xy\tag{4}$ である.

Claim4: $f(x,0,z)=z$

$P(a,0,c,d,0)$ より,$f(df(a,0,c),0,acd)=acd$ となるので,$P(df(a,0,c),0,acd,t,0)$ より,$f(tf(df(a,0,c),0,acd),0,acd^2tf(a,0,c))=acd^2tf(a,0,c)$
すなわち,$f(acdt,0,acd^2tf(a,0,c))=acd^2tf(a,0,c)\tag{5}$ である.

ここで,任意の実数 $a,c\ (ac\neq0)$ に対して $f(a,0,c)=0$ と仮定する.
$acde\neq0$ として $P(a,0,c,d,e)$ を考えると,$f(df(a,0,c),e,acd)=f(0,e,acd)=acd$
$adf(a,0,c)+cde=cde$
から,$a\neq e$ のとき矛盾.
これより,ある $0$ でない実数 $a,c$ が存在して $f(a,0,c)\neq0$ となる.
$x,z$$0$ でない実数とし,$d=\dfrac{z}{xf(a,0,c)},\ t=\dfrac{x^2f(a,0,c)}{zac}$$(5)$ に代入すると,任意の $0$ でない実数 $x,z$ に対して $f(x,0,z)=z\tag{6}$ を得る.$(2),(3)$ より,これは $xz=0$ でも成り立つ.

Claim5: $f(x,y,z)=xy+z$

$P(a,0,c,d,e)$ より, $f(df(a,0,c),e,acd)=adf(e,0,c)+cde$ であり $f(cd,e,acd)=acd+cde$ となる.
$0$ でない実数 $x$ と実数 $y,z$ に対して,$a=\dfrac{z}{x},\ c=x,\ d=1,\ e=y$ とすることによって $f(x,y,z)=xy+z$ となる.
$(5)$ より,これは $x=0$ でも成立する.

これより,解は $f(x,y,z)=xy+z$ となるもののみである.

投稿日:2022925
更新日:830

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tria_math
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