ロピタルの定理は大学入試の受験生に人気がありますね。そのロピタルの定理に関連する定理を紹介します。命題2や命題4、コーシーの平均値の定理あたりは大学数学の範囲といっていいと思いますが、この記事の主定理3は高校数学の範囲で証明できます。分数関数の単調性の判定に便利そうです。
知恵袋にあった問題です。記事を読む前にこの問題を考えてみましょう。鮮やかな解答ができる人には価値が無い記事かもしれません。この問題が解けるようになりたい人は続きを読むといいかもしれません。
ロピタルの単調性定理を知らなかったときの私の下手な解答は
こちら
(追記)同じ問題を見つけました。[15,p79 Advanced problem 39]. 模範解答も[15,p165]にあり、Jensenの不等式を利用したものでした。Jensenの不等式を利用した解答は簡潔で上手いと思うのですが、今の自分にはできそうな気がしません。
問題1がロピタルの単調性定理を使って解けることに気が付いて加筆しました。まだ見直せていないので、誤植やミスがあるかもしれません。
が成り立つとき、
が成り立つとき、
微分可能な関数については導関数の符号を調べることにより、単調性を判定できる。準備として平均値の定理を取り上げる。
を満たす実数
平均値の定理を用いることにより次の事実が示せる。
区間
(R1)
(R2)
(R3)
最初はこの定理が自明なものに思えるかもしれない。しかし、実数の連続性が関わっている。
このとき、任意の
ここで
この例は有理数の世界では導関数の符号から関数の単調性が導けないことを示唆する。
しかし、次が成り立つ。
区間
証明などは解析入門I(小平著)[5]を参照。
ロピタルの定理はコーシーの平均値の定理を用いて証明されることが多い。そのコーシーの平均値の定理はラグランジュの平均値の定理の一般化である。
を満たす
が成り立つ。
ロピタルの定理といえば、注意したいことがある。
ならば、
が成り立つ。
つまり分母が無限大に発散する場合不定形でない場合でもロピタルの定理を適用できる。
私は桂田先生の
講義ノート
を見て知りました。図書館でいくつか微積分の本を調べてみたところ、参考文献の桂田-佐藤、斎藤、宮島による微積分の教科書には不定形でなくてもロピタルの定理が適用できる主張が書いてありました。次の例は
Wikipedia
で知りました。
高橋先生
も注意していました。
溝口-五十嵐-桂田による教科書にも書いてあるようですね。(図書館に無く確かめていません。)
であるから、ロピタルの定理より、
と書く。
ここで、
他の場合も同様。
を満たす
であるから、
である。
すなわち、
したがって、
他の場合も同様。
コーシーの平均値の定理を用いた上記の方法は、
実数の連続性の議論や
命題4を用いるとロピタルの単調性定理は次のように書ける。
が成り立つ。
また、
以上の計算より、ロピタルの単調性定理を適用すると、
であり、
であるから、
を得る。
よって、
すなわち、
は区間
したがって、区間
も
すなわち、