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OMC (OnlineMathContest) で共同writerしてみた

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 今回のコンテストは、私とぽもどーろさんの共同コンテストでした!
 出場してくださった皆さん、本当に感謝しています!
 writerとしても、滅多にない OMC$2^n$を担当させていただいて、光栄です!

 個人的には、「OMC120は3月に制作、OMC128は8月に制作したのに、1ヶ月しか出題時期は変わらんのかい!」というツッコミを入れたくなりましたが、どうやらそういうこともあるらしいです。

 さて、今回のOMCについて、一部の問題でwriterを務めた私なりに振り返ってみたいと思います。

概観

 私が作成した問題の分野は A:整数/D:代数/E:整数 でした。

 OMC120に比べて、硬派な問題が多かったかもしれません。具体的には、OMC120には一発芸っぽい問題が多い印象でしたが、OMC128には一発芸っぽくない問題も多い印象でした。

 想定していた難易度は、以下のようなものでした。

  • 最速正解者は、Aが2分ほど、Dが6分ほど、Eが15分ほど
  • diffは、A:灰/D:水/E:黄

実際は、

  • 最速正解者は、A: 1分/D: 5分/E: 26分

でした。

OMC128-A

 この問題は、OMCやBMCにちょくちょく出てくる、図形に何かを書き込む問題です。作問時に意識していたわけではないのですが、NC(G)融合問題になっている気がします。寝る直前に思いついた問題で、思いついた時には、「うお!これはシンプルで面白いのでは??」と興奮して少し目が覚めました。

類題

BMC034(G)
https://twitter.com/BmcContest/status/1572556270795902986?s=20&t=7XkUrXJXMEW21_iGxk5kgA
OMC027(B)
https://onlinemathcontest.com/contests/omc027/tasks/3
OMC039(B)
https://onlinemathcontest.com/contests/omc039/tasks/2

OMC128-D

 三角不等式を使うと解ける問題です。$\sum{|x-k|}$の最小値を求める問題は、様々な大学入試で出題された鉄板の問題ですが、その問題の$k$を、一般の$f(k)$に置き換えても考察できることをお伝えしたくて作った問題です。(見つけたとき、感動したので。)ただ、審査に回す前に下調べもしたはずなのですが、問題審査後にさらに調べると、この問題の前半部分とほぼ同じ問題が、2017年の慶應大で出題されていることを見つけました。もしかすると、私が認識している以上に典型なのかもしれません。発想自体はシンプルで、公式解答のように三角不等式を使う他にも、グラフによるアプローチも可能であり、ある種のエスパーも予想されるので、300点想定で提出しました。

P.S.
400点になりました。

類題

OMC101(D)
https://onlinemathcontest.com/contests/omc101/tasks/2242
2017年 慶應義塾大学 医学部 [I](3)
http://k-kyogoku2.com/cn131/cn17/pg61.html
2001年 北海道大学 文系 第2問
http://server-test.net/math/php.php?name=03_hokudai&v1=0&v2=2001&v3=1&v4=2&y=2001&n=0_2
(今年の防衛医科大や京都大にも同様の出題があったみたいです。) (Twitterで見かけた。)
(下2つのリンクは、『京極一樹の数学塾』さんと、『北海道大学 数学入試問題過去問 62年分』さんです。)

OMC128-E

 6文字の未知数が、2つの方程式で導けるという問題です。
 OMC無印の整数問題には珍しく、純粋な整数問題の見た目をしています。そこそこ難しくできたんじゃないかなと思っています。$a$$b$が互いに素であるという条件が、実はあまり重要な条件ではないことに気づくのも、一つのポイントではないでしょうか。

 個人的には、公式解説の

の部分の行間が少し広い気もしたので、以下のように証明できることを補足しておきます。

 さて、上の補足でも出てきたのですが、整数問題には、「一見複雑そうな多変数の方程式を、特定の1変数に着目してモニック方程式として捉えれば、モニック方程式の性質が使える」という発想があると気づいたことが、この問題を作成した動機の一つです。もしかしたら典型的な発想なのかもしれませんし、「両辺のオーダーを比べる」ことの下位互換な気もしてきましたが、結構興奮して提出しました。

 この問題を作った後、たまたまTwitterで流れてきたJMO2011ho-2を眺めていると、ある種の類似性を感じたので、類題に載せておきます。

 また、この問題は、以下の自作問題を発展させて作った問題です。魔改造しました。以下の問題は、大体200~300点くらいの難易度でしょう。

問題
 以下の等式を満たす正の整数の組 $(l,m,n)$ すべてについて,$l+m+n$ の総積を求めてください.
$$ (l+m+n)^l=m^n,\quad l+n=30$$
解答例
 明らかに $l\lt n$ であり,与式を変形すると,
$$\left(\frac{30}{m}+1\right)^l=\left(\frac{l+n}{m}+1\right)^l=m^{n-l}=m^{30-2l}$$
であることから,特に $m$$30$ の約数である.それぞれ調べることで,
$$(l,m,n)=(5,2,25),(10,6,20)$$
が求める組であることがわかるから,解答すべき値は ${1152}$ である.

 お暇であれば、もう一問どうぞ。ほぼ同じですが、難易度低めの記述式の問題です。

問題
 $(l+m+n)^l=m^n$を満たす正の整数の組$(l,m,n)$は無数に存在するか?
解答例
【結論】無数に存在する.

【説明】
 $k$を正の整数として,$l=k(3k+1)$$m=3k+1$$n=2k(3k+1)$とすると,
$$(左辺)=(9k^2+6k+1)^{k(3k+1)}=(3k+1)^{2k(3k+1)}=(右辺)$$
となるから,$(l,m,n)=(3k^2+k,3k+1,6k^2+2k)$は解の一つであり,$k$が異なれば$(l,m,n)$は異なるから,解が無数に存在することが示せた.

類題

JMO2011本選2
https://www.imojp.org/archive/challenge/old/jmo21mq.html


もう私の審査済み問題は2問しかありません。(悲しい)

P.S.
3問になりました。

P.S.
4問になりました。

投稿日:20221027

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投稿者

数学好きな大学生です。

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