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高校数学解説
文献あり

πが無理数であることの証明

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 こんにちは。今日は、πが無理数であることを証明していきたいと思います。

 世の中には積分を用いた証明があるようですが、ここではランベルトが証明した方法を紹介します。

 使うのは、三角関数の級数展開と、連分数展開です。

まず

tanx=sinxcosx

です。そして、次の級数展開

sinx=xx36+x5120

cosx=1x22+x424

を先の式に代入すれば

tanx=xx36+x51201x22+x424

=x1x22+x4241x26+x4120

ここでx0とすると、分母は1に近づくので

tanx=x1x33x430+1x26+x4120

=x1x21x26+x412013x230+

となります。ここでx0とすると分母は3に近づくのでこの操作を繰り返せば

tanx=x1x23x25x27

と連分数展開できます。

次に、証明に必要な定理を紹介します。

ある数が

q0+p1q1+p2q2+p3q3+

と連分数展開できるとき、pj,qjZについてあるjoから先のjjoに対して

2|pj|qj1

が成り立つならば、その数は無理数である。

証明は残念ながら見つかりませんでした。

では、πの無理性を証明していきます。x=mnとすれば、

tanx=mn1m2n23m2n25m2n27

=mnm3nm5nm7n

と、整数係数の連分数展開が得られます。すると先程の定理に当てはめれば

p1=m,pj=m2(j2)

qj=(2j1)n(j1)

となります。pjは一定なので、あるjo以降で必ず定理1が成り立ちます。従って、tanmnは無理数です。

実数xに対して

xQtanxQ

が成り立つ。

ここから、次の系が得られます。

有理数yに対してarctany=xは無理数である。

これは背理法を用いれば定理2との矛盾が生じることで示せます。

そして、この系によってarctan1=π4は無理数であることが言えました。

今日はここまでです。最後まで読んでくださってありがとうございました。

参考文献

投稿日:20221112
更新日:2024218
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