はじめに
みなさんこんにちは!今回は関数方程式の重要なテクニックを含む問題を二問解説していきます.単射や全射などの最低限の知識は前提にして解説していきますのでご容赦ください.
※ミス等ありましたら,コメント等でご指摘お願いします.
問題+解説
正実数に対して定義され,実数値をとる関数は任意の正実数に対して以下を満たす.としてありうるものを全て求めよ.
AoPSは
こちら
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①解の予想
解の予想をしましょう.予想すると,一次関数は満たさず,くらいしかなさそうだな〜ということがわかります.暫定的にはのみであることを示す方針でいきましょう.
②式を観察する
色々な数値を代入してみましょう.定義域がの関数方程式なのでを代入することはできないことに注意しましょう.例えば,を代入してみます.すると,を得ます.これはとても強力な式ですね.ここで,与えられた式をもう少しいじってみましょう.与えられた式をつなげてみると以下のようになります.
二つに式を一つの式にすることで最左辺と最右辺を比べて新たに情報を抽出することができます.を整理して見ましょう.すると以下のようになります.
これはが広義単調増加関数であることを意味しています.とりあえず,パッと式を見て思いつくものはこれくらいでしょうか...?
③得られた道具をもとに考察を深める
ここで,という等式があったことを思い出して見ましょう.それに広義単調増加関数であるという情報を加えると導かれることはなんでしょうか...?
そうですね,の値域が以上であるということです.従って,以下のような不等式評価ができるようになるのです.
さて,ここで違和感を持てるととてもセンスがあると思います.(僕には無理でした...)
・
・
・は広義単調増加関数
は正実数ならばどんな値でも良いんです.なるを取ってくると面白いことが起こります.
以上の不等式からであるとわかります.
(数の大小に対する感覚はとても大事なように感じます.という形をと見立てるのはとても有用なことが多いです.)
実数に対して定義され,実数値をとる関数は任意の正実数に対して以下を満たす.としてありうるものを全て求めよ.
AoPSは
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①答えの予想
これはくらいしか無さそうですね.
②式を観察する
やはり,一つの不等式しかないというところが特徴的ですね.本当に求まるのかなぁという気持ちになってしまいますね.とりあえず,値を代入するところから始めていきましょう.を代入することで,であるのでを得ます.さらに,とすることでを得ます.ここからやなど色々試しても上手くいかないことがわかると思います.そこで少し具体的な値を求めることを考えて見ましょう,例えば,の値を求めることを考えて見ましょう.
(なぜ急に具体的な値を求めるのか?という疑問が挙がるかもしれませんが,これは「できることがそれくらいしかないこと」+「具体的な値を求めることが議論が進むことが多いこと」が理由です.今回はなんかが求められそうだったのでとりあえずの値について考えてみます.)
と先ほど得られた結果より,以下が成り立ちます.
よってです.不等式のFEではという形で挟むくらいしか確定させる方法がないですね.を代入することでも得ることができます.
③f(1)の値を生かす
せっかくこれらの情報を入手したので生かしたいです.やなど色々試して見ましょう.すると以下の式を見つけると思います.を代入すると良いですね.
(実際のところこの代入を思いつくのはとても難しいですね.しかしながら,との値がわかっていることなどを考えると,さほど天下り的ではありません.)
これらを組み合わせて,,すなわちなのでであるとわかります.
終わりに
関数不等式では基本的に決め手はで挟むしかありません.最終的にはそれらを使ってを評価する必要があることを頭に入れておくと解きやすいかもしれません.今回扱った問題に出てくるテクニックはどれも重要なものなので知らなかった人は「こんな方法があるのか〜」程度に知っておいてください.