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自己紹介・記録解説
文献あり

差動入力増幅器の出力電圧 理論計算(仮稿)

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"MathLog"には似合わず電子回路の計算になりますがお付き合いください.

図の差動入力増幅回路(differential input amplifier)における出力電圧Voを計算していきます.

差動入力増幅器(differential input amplifier) 差動入力増幅器(differential input amplifier)

〈仮定〉オペアンプは理想オペアンプであるとし,入力電流iin=0,オペアンプの端子間電圧vi=0とします.

抵抗R4の両端電圧V4は,common-mode(共通モード)電圧をVcmとして,以下で示されるでしょう.
V4=(Vcm+VB)×R4R3+R4
また,点PにおけるKCL(Kirchhoff's Current Law)より,i1=i2であるから,
i1=Vcm+VAV4R1=i2=V4VoR2.
両辺にR1R2をかけて,
R2(Vcm+VAV4)=R1(V4Vo)R2Vcm+R2VAR2V4=R1V4R1VoR1Vo=R1V4+R2V4R2VAR2Vcm=(R1+R2)V4R2(VA+Vcm)
となりますが,ここにV4=(Vcm+VB)×R4R3+R4を代入して展開すると,
R1Vo=(R1+R2)×(Vcm+VB)×R4R3+R4R2(VA+Vcm)={(R1+R2)Vcm+(R1+R2)VB}×R4R3+R4R2VAR2Vcm=(R1+R2)R4R3+R4Vcm+(R1+R2)R4R3+R4VBR2VAR2Vcm
となります.さらに辺々R1で割ってVcmVAVBでまとめると,
Vo=1R1{(R1+R2)R4R3+R4VcmR2Vcm+(R1+R2)R4R3+R4VBR2VA}=1R1{(R1+R2)R4R3+R4VcmR2(R3+R4)R3+R4Vcm+R1R4+R2R4R3+R4VBR2VA}=1R1{R1R4+R2R4R2R3R2R4R3+R4Vcm+R1R4+R2R4R3+R4VBR2VA}=1R1{R1R4R3+R4VcmR2R3R3+R4Vcm+R1R4R3+R4VB+R2R4R3+R4VBR2VA}=R4R3+R4VcmR2R1R3R3+R4Vcm+R4R3+R4VB+R2R1R4R3+R4VBR2R1VA=(R4R3+R4R2R1R3R3+R4)Vcm+(R4R3+R4+R2R1R4R3+R4)VBR2R1VA

以上が差動入力増幅器の出力電圧となります.

さらにここから,平衡条件:R2R1=R4R3を満たすとき,非常に有用な挙動をします.この平衡条件の値をα=R2R1=R4R3とおくと,
R4R3+R4=R4/R31+R4/R3=α1+α
となるので,
Vo=(R4R3+R4R2R1R4R3+R4)Vcm+(R4R3+R4+R2R1R4R3+R4)VBR2R1VA=(α1+αα+α×α1+α)Vcm+(α1+α+α×α1+α)VBαVA=αα(1+α)+α21+αVcm+α+α21+αVBαVA=ααα2+α21+αVcm+α(1+α)1+αVBαVA=αVBαVA=α(VBVA)=R2R1(VBVA)
この式から得られることは,以下のようになるでしょう.

差動入力増幅器が平衡条件R2R1=R4R3を満たしている時,
・common-mode 電圧Vcmは除去される.
・2入力電圧の差であるVBVAR2/R1倍されて出力される.

以上です.お付き合いいただきありがとうございました.

参考文献

[1]
丹野頼元, 演習 オペアンプ回路, 電子回路演習シリーズ1, 森北出版, 1982
投稿日:20221216
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最近はめっぽう物理屋してます.相対論/量子力学などに興味あり.本職は工学屋なのでディジタル信号処理なども呟くかも.

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