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Pell方程式(D=2023)を解く

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今年の一問

$x^2-2023y^2=1$を満たす最小の自然数$(x,y)$の組を求めよ

はじめに

まず$x^2-Dy^2=1$
このような形であらわされる不定方程式をPell方程式と呼びます
今回は連分数展開を使った解法を紹介します

今回は先人たちの偉大な研究結果を用います
これらの事実はこの問題を解くにあたって強力な飛び道具となります
厳密な証明は大学数学の「代数的整数論・二次体の整数論」で示されます

連分数展開

まずは問題を解くののカギとなる連分数について軽く紹介します

連分数展開

ある実数$a$
$a=a_0 + \cfrac{1}{a_1 + \cfrac{1}{a_2 + \cfrac{1}{a_3 + \cfrac{1}{\ddots}}}} $
表されるとき$a=[a_0;a_1,a_2,a_3,…]$と表現する
これを$a$の連分数展開という

実際にこれを計算するにはその数の整数部分を$a_0$として小数部分の逆数をとって、
新しく分母に来た数に同じ操作を…と繰り返していくと求められます
もちろん有理数に対してこの操作を行うと有限回で終了してしまい、面白くありません
しかし、無理数に対して行うと、どうやら面白いことがわかります

$\sqrt{n}$の連分数展開は$a_1$以降で循環する
($n$は平方数でないとき)

実際に例を見てみましょう
$\sqrt{2}=[1;2,2,2,2,2,…]$
$\sqrt{3}=[1;1,2,1,2,1,…]$
周期は$n$によってバラバラで、$n=61$のときは周期が$11$と非常に長くなっています

無理数の連分数近似を途中で打ち切って、普通の分数に戻すと
打ち切りが遅かった分だけ精度のいい分数の近似が得られる

どういうことでしょう
無理数の典型例$\pi$で試してみましょう
$\pi=[3;7,15,1,…]$
ですので$a_3$で打ち切って計算すると
$\pi\approx3 + \cfrac{1}{7 + \cfrac{1}{15 + \cfrac{1}{1}}} = \cfrac{355}{113}=3.1415929...$
たった4個目までの計算で小数第6位まで一致しています!
これだけでも面白いんですが、肝心のPell方程式との関係はどうなっているんでしょうか

Pell方程式の解き方

まずは$\sqrt{2023}$を連分数展開します
$\sqrt{2023}=[44;1,43,1,88,…]$です($1,3,1,88$の周期4で繰り返します)
$a_3$(周期の最後だけ含めない)で区切って近似値を求めると$\cfrac{2024}{45}$
そしてなんと$(2024,45)$はこの方程式の最小自然数解(基本解)になっています
なのでこれが答えです

!?!?
これがPell方程式の解き方になります!
まるで魔法みたいですよね
僕も初めて見たときは驚きました
さらに問題の答えには関係ありませんが次のようなことも言えます

$(2024+45\sqrt{2023})^n=x+y\sqrt{2023}$と表すことができる
このとき$(x,y)$は元のPell方程式を満たし、この方法ですべての
解を得ることができる

この法則は一般のPell方程式について成り立ちます

おわりに

2023年への移り変わりの季節に楽しい数学の話ができて幸せでした
以下に参考文献をまとめておきます

平方根の連分数とペル方程式
ペル方程式の連分数を用いた魔法の解法
ペル方程式に関する基本的な性質まとめ

投稿日:20221229

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投稿者

Neumann
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