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自作整数問題1 (6問)

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以下の問題の解答は後日投稿します.解いてみてください.

σ1(n)>n32
を満たす正の整数nをすべて求めよ.ただし,σx(n)nの正の約数それぞれのx乗の和を表す.

模範解答

すぐにわかるようにn=1は解にならない.

互いに素な2つの自然数m,nがともに問題の不等式の解になるならば,
σ1(mn)=σ1(m)σ1(n)>m32n32=(mn)32
によりmnも不等式の解になる.
このことから,まずは解が素数の冪paになる場合について考えればよいとわかる.

n=paが不等式の解になるとき,
p32a<σ1(pa)=pa+11p1<pa+1p1p12a<pp12

となる.左辺はa,pに関して狭義単調増加するため,少し調べれば(a,p)=(1,2),(1,3)のみが不等式p12a<2を満たすとわかる.しかし(a,p)=(1,3)のとき,すなわちn=3のときはσ1(3)=4<332となり問題の解にならない.
これにより,nが素数の冪なら不等式σ1(n)>n32の解はn=2に限るとわかった.これは逆(論理学的には裏)に言えば,「2を除く素数の冪nは不等式σ1(n)n32を満たす」ということである.
ここまでくれば,ようやくすべての自然数nで問題を解くことができる.最初で,互いに素な自然数m,nが問題の解になるならmnも解になることを示したように,互いに素な自然数m,nが問題の解にならないならmnも解にならないことも示せる(これは容易に証明できる).
以上の考えに基づき,次のように問題の解をもれなく求めることができる.

(1) n=2qb (gcd(2,q)=1,q)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) n=2qbrc (gcd(2,q,r)=1,r)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) n=2qbrcsd (gcd(2,q,r,s)=1,s)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.

 
さて,(1)から順に考えていく.
(1) n=2qb (gcd(2,q)=1,q)のとき
(2qb)32<σ1(2qb)232q32b<3qb+11q1<3qb+1q12q12b<232q12b<3qq12q12b<92q12b<94=2.25
となり,(b,q)=(1,3),(1,5)のみがこれを満たす.このときそれぞれn=6,10となるが,σ1(6)=12<632,σ1(10)=18<1032よりn=2qbの形の解は存在しない.

ありがたいことに(1)で終了した.以上で問題の不等式σ1(n)>n32の解はすべて出尽くしたことになり,解はn=2のみ.

φ(n)n
を満たす正の整数nをすべて求めよ.ただし,φ(n)n以下のnと互いに素な正の整数の個数を表す.

模範解答

n=1は問題の不等式の解になる.

互いに素な自然数m,nが解になるとき,
φ(mn)=φ(m)φ(n)mn=mn
となるためmnも解になる.
このことから,まずは解が素数の冪paになるときを考えればよいとわかる.

n=paが不等式の解になるとき,
φ(pa)=(p1)pa1(p1)pa1pap12app12
となる.左辺はa,pに関して狭義単調増加するため,少し調べれば(a,p)=(1,2),(1,3),(2,2)のみが上式を満たすとわかる.しかし,(a,p)=(1,3)のとき,すなわちn=3のときは問題の解にならない(n=2,4が解になることは簡単にわかる).
これにより,nが素数の冪ならφ(n)nの解はn=2,4のみである.つまり,「2,4を除く素数の冪はすべて不等式φ(n)>nを満たす」ということである.
ここまでくれば,素数の冪に限らずすべての自然数について不等式を解くことができる.前問と同様の考えで,次のように解を求める.

(1) n=2qb (gcd(2,q)=1,q)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) n=2qbrc (gcd(2,q,r)=1,r)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) n=2qbrcsd (gcd(2,q,r,s)=1,s)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.



上の操作が終了したなら次へ移る.

(1) n=4qb (gcd(2,q)=1,q)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) n=4qbrc (gcd(2,q,r)=1,r)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) n=4qbrcsd (gcd(2,q,r,s)=1,s)の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.

 

これをもとに解く.

(1) n=2qb (gcd(2,q)=1,q)のとき
φ(2qb)=(q1)qb1(q1)qb12qbq12b2qq1322<2.25
となる.q3に注意すれば(b,q)=(1,3),(1,5)のみが上式を満たすことがわかるが,(b,q)=(1,5)のとき,すなわちn=10のときはφ(10)=4>10より解ではない.また,n=6が解になることがわかる.

(2) n=6rc (gcd(6,r)=1,r)のとき
φ(6rc)=2(r1)rc12(r1)rc16rcr12c62rr1568<1.6
となる.r5であるから,これを満たすc,rの組は存在しない.

次の場合に移る.

(1) n=4qb (gcd(2,q)=1,q)のとき
φ(4qb)=2(q1)qb12(q1)qb12qbq12bqq132=1.5
となる.q3であるから,これを満たすb,qの組は存在しない.

以上により,問題の不等式の解はすべて出尽くした.解はn=1,2,4,6である.

φ(n)=nn
を満たす正の整数nをすべて求めよ.

模範解答

n=1は解にならない.
互いに素な自然数m,nが解になるとき,
φ(m)φ(n)=(mm)(nn)=mn(m+n1)mn<mnmn
となる.このとき等号=は不等号<に置き換えることができるため,解としてあり得るのは素数の冪のみである.
pを素数,aを正整数とし,n=paが解になると仮定すると,
φ(pa)=papapapa1=papap2a2=paa=2
となる.以上よりφ(n)=nnの解は素数の平方数である.

σ0(n)+φ(n)=n
を満たす正の整数nをすべて求めよ.

Ω(n)n1
を満たす正の整数nをすべて求めよ.ただし,Ω(n)nを素因数分解したときの指数の総和を表す.

Ω(n)=[n]
を満たす正の整数nをすべて求めよ.ただし[ ]はガウス記号である.

投稿日:202311
更新日:20231112
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