以下の問題の解答は後日投稿します.解いてみてください.
$$
\sigma_1(n)\gt n^{\frac{3}{2}}
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.ただし,$\sigma_x (n)$で$n$の正の約数それぞれの$x$乗の和を表す.
すぐにわかるように$n=1$は解にならない.
互いに素な$2$つの自然数$m,n$がともに問題の不等式の解になるならば,
$$
\sigma_1(mn)=\sigma_1(m)\sigma_1(n)\gt m^{\frac{3}{2}}n^{\frac{3}{2}}=(mn)^{\frac{3}{2}}
$$
により$mn$も不等式の解になる.
このことから,まずは解が素数の冪$p^a$になる場合について考えればよいとわかる.
$n=p^a$が不等式の解になるとき,
\begin{align}
p^{\frac{3}{2}a}&\lt \sigma_1(p^a) \\
&=\dfrac{p^{a+1}-1}{p-1} \\
&\lt \dfrac{p^{a+1}}{p-1} \\
p^{\frac{1}{2}a}&\lt \dfrac{p}{p-1}\leq 2
\end{align}
となる.左辺は$a,p$に関して狭義単調増加するため,少し調べれば$(a,p)=(1,2),(1,3)$のみが不等式$p^{\frac{1}{2}a}\lt 2$を満たすとわかる.しかし$(a,p)=(1,3)$のとき,すなわち$n=3$のときは$\sigma_1(3)=4\lt 3^{\frac{3}{2}}$となり問題の解にならない.
これにより,$n$が素数の冪なら不等式$\sigma_1(n)\gt n^{\frac{3}{2}}$の解は$n=2$に限るとわかった.これは逆(論理学的には裏)に言えば,「$2$を除く素数の冪$n$は不等式$\sigma_1(n)\leq n^{\frac{3}{2}}$を満たす」ということである.
ここまでくれば,ようやくすべての自然数$n$で問題を解くことができる.最初で,互いに素な自然数$m,n$が問題の解になるなら$mn$も解になることを示したように,互いに素な自然数$m,n$が問題の解にならないなら$mn$も解にならないことも示せる(これは容易に証明できる).
以上の考えに基づき,次のように問題の解をもれなく求めることができる.
(1) $n=2q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) $n=2q^br^c \ (\mathrm{gcd}(2,q,r)=1,rは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) $n=2q^br^cs^d \ (\mathrm{gcd}(2,q,r,s)=1,sは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
$$
\vdots
$$
$$
\
$$
さて,(1)から順に考えていく.
(1) $n=2q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$のとき
\begin{align}
(2q^b)^{\frac{3}{2}}&\lt \sigma_1(2q^b) \\
2^{\frac{3}{2}}q^{\frac{3}{2}b}&\lt 3\cdot \dfrac{q^{b+1}-1}{q-1} \\
&\lt 3 \cdot \dfrac{q^{b+1}}{q-1} \\
2q^{\frac{1}{2}b}\lt 2^{\frac{3}{2}}q^{\frac{1}{2}b}&\lt 3 \cdot \dfrac{q}{q-1} \\
2q^{\frac{1}{2}b}&\lt \dfrac{9}{2} \\
q^{\frac{1}{2}b}&\lt \dfrac{9}{4}=2.25
\end{align}
となり,$(b,q)=(1,3),(1,5)$のみがこれを満たす.このときそれぞれ$n=6,10$となるが,$\sigma_1(6)=12\lt 6^{\frac{3}{2}},\sigma_1(10)=18\lt 10^{\frac{3}{2}}$より$n=2q^b$の形の解は存在しない.
ありがたいことに(1)で終了した.以上で問題の不等式$\sigma_1(n)\gt n^{\frac{3}{2}}$の解はすべて出尽くしたことになり,解は$n=2$のみ.
$$
\varphi (n) \leq \sqrt n
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.ただし,$\varphi (n)$で$n$以下の$n$と互いに素な正の整数の個数を表す.
$n=1$は問題の不等式の解になる.
互いに素な自然数$m,n$が解になるとき,
$$
\varphi(mn)=\varphi(m)\varphi(n)\leq \sqrt m \sqrt n=\sqrt{mn}
$$
となるため$mn$も解になる.
このことから,まずは解が素数の冪$p^a$になるときを考えればよいとわかる.
$n=p^a$が不等式の解になるとき,
\begin{align}
\varphi(p^a)&=(p-1)p^{a-1} \\
\\
(p-1)p^{a-1}&\leq \sqrt{p^a} \\
p^{\frac{1}{2}a}&\leq \dfrac{p}{p-1}\leq 2 \\
\end{align}
となる.左辺は$a,p$に関して狭義単調増加するため,少し調べれば$(a,p)=(1,2),(1,3),(2,2)$のみが上式を満たすとわかる.しかし,$(a,p)=(1,3)$のとき,すなわち$n=3$のときは問題の解にならない($n=2,4$が解になることは簡単にわかる).
これにより,$n$が素数の冪なら$\varphi(n)\leq \sqrt n$の解は$n=2,4$のみである.つまり,「$2,4$を除く素数の冪はすべて不等式$\varphi(n)\gt \sqrt{n}$を満たす」ということである.
ここまでくれば,素数の冪に限らずすべての自然数について不等式を解くことができる.前問と同様の考えで,次のように解を求める.
(1) $n=2q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) $n=2q^br^c \ (\mathrm{gcd}(2,q,r)=1,rは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) $n=2q^br^cs^d \ (\mathrm{gcd}(2,q,r,s)=1,sは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
$$
\vdots
$$
$$
\\
$$
上の操作が終了したなら次へ移る.
(1) $n=4q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(2) $n=4q^br^c \ (\mathrm{gcd}(2,q,r)=1,rは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
(3) $n=4q^br^cs^d \ (\mathrm{gcd}(2,q,r,s)=1,sは素数)$の形の解があるかを調べる.あるなら次へ,ないなら終了.
$$
\vdots
$$
$$
\
$$
これをもとに解く.
(1) $n=2q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$のとき
\begin{align}
\varphi(2q^b)&=(q-1)q^{b-1} \\
\\
(q-1)q^{b-1}&\leq \sqrt{2q^b} \\
q^{\frac{1}{2}b}&\leq \dfrac{\sqrt 2q}{q-1}\leq \dfrac{3\sqrt 2}{2}\lt 2.25
\end{align}
となる.$q\geq 3$に注意すれば$(b,q)=(1,3),(1,5)$のみが上式を満たすことがわかるが,$(b,q)=(1,5)$のとき,すなわち$n=10$のときは$\varphi(10)=4\gt \sqrt{10}$より解ではない.また,$n=6$が解になることがわかる.
(2) $n=6r^c \ (\mathrm{gcd}(6,r)=1,rは素数)$のとき
\begin{align}
\varphi(6r^c)&=2(r-1)r^{c-1} \\
\\
2(r-1)r^{c-1}&\leq \sqrt{6r^c} \\
r^{\frac{1}{2}c}&\leq \dfrac{\sqrt 6}{2} \cdot \dfrac{r}{r-1}\leq \dfrac{5\sqrt 6}{8}\lt 1.6
\end{align}
となる.$r\geq 5$であるから,これを満たす$c,r$の組は存在しない.
次の場合に移る.
(1) $n=4q^b \ (\mathrm{gcd}(2,q)=1,qは素数)$のとき
\begin{align}
\varphi(4q^b)&=2(q-1)q^{b-1} \\
\\
2(q-1)q^{b-1}&\leq 2\sqrt{q^b} \\
q^{\frac{1}{2}b}&\leq \dfrac{q}{q-1}\leq \dfrac{3}{2}=1.5
\end{align}
となる.$q\geq 3$であるから,これを満たす$b,q$の組は存在しない.
以上により,問題の不等式の解はすべて出尽くした.解は$n=1,2,4,6$である.
$$
\varphi (n)=n-\sqrt n
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.
$n=1$は解にならない.
互いに素な自然数$m,n$が解になるとき,
\begin{align}
\varphi(m)\varphi(n)&=(m -\sqrt m)(n -\sqrt n) \\
&=mn -(\sqrt m +\sqrt n -1)\sqrt{mn} \\
&\lt mn -\sqrt{mn}
\end{align}
となる.このとき等号$=$は不等号$\lt$に置き換えることができるため,解としてあり得るのは素数の冪のみである.
$p$を素数,$a$を正整数とし,$n=p^a$が解になると仮定すると,
\begin{align}
\varphi(p^a)&=p^a -\sqrt{p^a} \\
p^a -p^{a -1}&=p^a -\sqrt{p^a} \\
p^{2a -2}&=p^a \\
a&=2
\end{align}
となる.以上より$\varphi(n)=n -\sqrt n$の解は素数の平方数である.
$$
\sigma_0(n)+\varphi(n)=n
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.
$$
\Omega(n)\geq \sqrt n -1
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.ただし,$\Omega (n)$で$n$を素因数分解したときの指数の総和を表す.
$$
\Omega(n)=\lbrack \sqrt{n} \rbrack
$$
を満たす正の整数$n$をすべて求めよ.ただし$\lbrack \ \rbrack$はガウス記号である.