こんにちは, ソーダ氷です. 今回は僕が改造した関数方程式を解説したいと思います.
僕が最初に思いついた解法なので最適解ではないです. もっと工夫の余地があります.
$f:\mathbb R→\mathbb R\ ,\ \\ f(x+y)+2xy+1=f(x)f(y)+f(xy)$
これ
です. 2010 India TST の問題をもとに作りました. そちらは簡単に解けると思いますが, 関数方程式botさんがレベル6にしていることが少し不安になります.
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↓以下解説
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ということで, 思考過程も添えて解説していきたいと思います.
まずは$x=y=0$の代入が思いつきます. すると$f(0)^2=1$より$f(0)=1\ ,-1$がわかりました.
先に$f(0)=-1$を片付けましょう. これを活用するため与式に$y=0$を代入します. すると$f(x)=-1$が得られますが, これを与式に代入しても$2xy$の項が任意の値をとるため成立しません. ということは$f(0)=-1$はありえず, $f(0)=1$であることがわかりました.
次に何をしましょうか?僕だったら$f$の中身が等しくなるような代入を考えます. 左辺の$f(x+y)$と右辺の$f(xy)$が上手く消えそうです. 方程式$x+y=xy$を$y$について解くと$x\ne1$のとき$y=\frac{x}{x-1}$となります. これを与式に代入してみましょう. すると
$f(x)f\left(\frac{x}{x-1}\right)=\frac{2x^2}{x-1}+1$・・・$A$
という式が得られます. ここで注目すべきは右辺がとり得る値です. 右辺が$0$になれば$f(r)=0$となる実数$r$が存在します. ということで$\frac{2x^2}{x-1}+1=0$を解くと$x=-1,\frac{1}{2}$ですから, $A$に$x=-1 \ \left(x=\frac{1}{2}\right)$を代入すれば$f(-1)f\left(\frac{1}{2}\right)=0$となります. 頭にラマヌジャンが宿っている人は一発で$x=-1,y=\frac{1}{2}$を代入するそうです. したがって, $f(-1)=0$または$f\left(\frac{1}{2}\right)=0$がわかりました.
この二つで場合分けしましょう.
ひとまず与式に$y=-1$を代入してみましょう. すると
$f(-x)=f(x-1)-2x+1$・・・$B$
がわかります. これは結構使えそうな式ですね. $B$に$x=-1$を代入して
$f(-2)+3=f(1)$・・・①
で, 与式に$x=1,y=-2$を代入すれば
$f(1)f(-2)+f(-2)+3=0$・・・➁
という連立方程式が得られました. 僕はこれになかなか気づけず, 沼にはまっていたのでここが難所だと思います. ① , ➁を連立して解くと$(f(1),f(-2))=(0,-3),(2,-1)$が得られます. ここでも場合分けが必要ですね.
$f(1)=0$という条件が有力なので与式に$y=1$を代入してみましょう. すると
$f(x+1)=f(x)-2x-1$・・・$C$
という式が得られました. これは$B$とよく似ていますね?そのため$x→x-1$と置きなおすと
$f(x)=f(x-1)-2x+1$・・・$C'$
となり, $B$の右辺と一致しました!よって, $f(x)=f(-x)$なので$f$は偶関数であることがわかります.
このことを利用しましょう. 与式に$y=x$を代入して
$f(2x)+2x^2+1=f(x)^2+f(x^2)$・・・$D$
が得られます. また, 与式に$y=-x$を代入して
$-2x^2+2=f(x)f(-x)+f(-x^2)$・・・$D'$
となり, $D'$の右辺は$f(x)=f(-x)$より$D$の右辺と一致します. よって左辺を比較すれば$f(2x)=-4x^2+1$となり, $x→\frac{x}{2}$と置きなおせば$f(x)=-x^2+1$が得られます!そしてこれを与式に代入したとき
$(左辺)=-(x+y)^2+1+2xy+1=-x^2-y^2+2$
$(右辺)=(-x^2+1)(-y^2+1)-x^2y^2+1=-x^2-y^2+2$
となるため十分性もOKです.
与式に$y=1$を代入すると$f(x+1)=3f(x)-2x-1$がわかります. $B$と相性が良さそうなので$x→x-1$とすると
$3f(x-1)=f(x)+2x-1$・・・$E$
となります. これを$B$に代入すると
$3f(-x)=f(x)-4x+2$・・・$F$
がわかりました. ここで$x→-x$とすると面白いことが起きます.
$3f(x)=f(-x)+4x+2$・・・$F'$
となり, これを$F$に加えると$f(-x)=2-f(x)$となります. これを$F$に代入して整理すれば$f(x)=x+1$が得られました!これを与式に代入すると
$(左辺)=x+y+1+2xy+1=2xy+x+y+2$
$(右辺)=(x+1)(y+1)+xy+1=2xy+x+y+2$
となるため十分性もOKです.
これで$f(-1)=0$の場合が片付きました.
こちらも前者と同様な手法で解けそうです. まずは$y=\frac12$を代入して
$f\left(x+\frac12\right)+x+1=f\left(\frac{x}{2}\right)$・・・$G$
です. これは上での$B$に対応しますね. そして与式に$x=-\frac12,y=1$を代入することで$(f(1)+1)f\left(-\frac12\right)=0$が得られます. 急にラマヌジャン代入をしましたが, ここも先ほどと同じく難所ですね. イメージとしてはどこかに$f\left(\frac12\right)$を作りたくなって$f(x+y)$でそれを実現した感じです. だとしてもこれにはかなりの技量が必要でしょう.
さて, $f\left(-\frac12\right)=0$または$f(1)=-1$で場合分けですね.
$y=-\frac12$を代入してみましょう. すると$f\left(x-\frac12\right)-x+1=f\left(-\frac{x}{2}\right)$となり$G$とよく似ています. ここで$x→-x$とすれば
$f\left(-x-\frac12\right)+x+1=f\left(\frac{x}{2}\right)$・・・$G'$
となります. $G$と$G'$を比較すれば$f\left(x+\frac12\right)=f\left(-x-\frac12\right)$となり, $x+\frac12→x$と置きなおせば$f(x)=f(-x)$が得られました. これはさっきと同じパートですね. 与式に$y=x$と$y=-x$を代入したものを比較すれば$f(x)=-x^2+1$が得られます. しかしこれは$f\left(-\frac12\right)=0$という仮定を満たしていません. よってこの場合は不適という扱いになります. $($そもそもこの解はさっき見つけてたし.$)$
$y=1$を代入してみましょう. $f(x+1)+2x+1=-f(x)+f(x)=0$だから$f(x+1)=-2x-1$です. あとは$x→x-1$と置きなおせば$f(x)=-2x+1$が得られました!これを与式に代入すると
$(左辺)=-2(x+y)+1+2xy+1=2xy-2x-2y+2$
$(右辺)=(-2x+1)(-2y+1)-2xy+1=2xy-2x-2y+2$
となり, 十分性もOKです. 今回はあっさりと解けましたね.
ということで, 最終的な答えは任意の実数$x$に対して$f(x)=x+1,-2x+1,-x^2+1$であることが分かりました!
今回の関数方程式はなんと解が3種類も出てくるという面白いものでした. 実は最近知ったことなんですが 2005年のIMOSLPA4もほとんど同じ見た目で, ほとんど同じ解法で解くことができるので, そちらにも挑戦してみるとよいでしょう. $($最初からそのFEの解説記事書けばよかったやん.$)$
最後まで見ていただきありがとうございました.