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Metachick's Math Problems 001~020

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はじめに

今回は過去に作った数学の問題の一部をまとめてみました.とりあえず,20問です!

・難易度:★☆☆☆☆〜★★★★★までの五段階評価になっています.(高難易度の問題はストックしてあったりするので少ないです...)
・出題範囲:データの分析などを除く数学Ⅲ以前の知識に加え,グラフ理論などやや発展的な内容も必要になります.(ただし,ほとんどが数学ⅡB以前の知識で解けます)
・解答:解答は一部労力削減のために,「有名事実より」などと書くことがあります。全体的に行間が広いかもしれませんが,ご了承ください.わからないところがありましたら,TwitterのDMかコメント欄にて質問していただければ解答します.

問題

MMPs001/★★☆☆☆

0以上1未満の実数からなる集合Gの任意の二要素a,bの和a+bの小数部分もGの要素になる.このとき、Gとしてありうるもののうち,要素数がn個であるようなものを全て求めよ.

n=1ならばG=0のみが解であることが容易にわかるのでn1とする.Gの要素をx1,x2,,xnとする.このとき,Gのある0でない要素をとることができるのでそれをxとする.{x+x1,x+x2,,x+xn}Gである.

よって,x1+x2++xn(x+x1)+(x+x2)++(x+xn)(mod1)であるから,nx0(mod1)である.よって,xknの形で表される.逆に,0n~n1nまでのn個の数字は解を満たすのでG={0,1n,2n,,n1n}が唯一の解となる.

複素数による置換の方が見えやすそう

Gの要素をx1,x2,,xnとし,絶対値が1で偏角が2xiπの複素数をyiとする.集合Gy1,y2,,ynからなる集合とすればGの任意の二つの要素の積もGの要素となっていることがわかる.

Gのある要素zをとれば,Gの要素をzy1,zy2,,zynと表すこともできるのでy1×y2××yn=zn×y1×y2××ynとなるからzn=1を得る.よって、Gの任意の要素は1n乗根となる必要がある。逆に,1n乗根n個は条件を満たすからG1n乗根の集合である.よって,解答はG={0,1n,2n,,n1n}となる.

MMPs002/★★★☆☆

放物線c1:y=x24と放物線c2:x=y23の交点を第一象限から反時計回りにそれぞれA,B,C,Dとし,ACBDの交点をEとする.ABの中点をM,CDの中点をNとするとき,BME=CNEを示せ.

有名事実より,A,B,C,Dは共円である.(これは座標を計算して方べきの定理などを用いればよい.)よって,円に内接する四角形ABCDにおいてその対角線の交点をEとし,AB,CDの中点M,Nとしたとき,BME=CNEであることを示せば良い.

簡単な角度計算により,示すべきことは直線MECDEの類似中線であることを示すことと同値であることがわかる.ここで,BECの外接円とMEの交点をFとすれば,簡単な角度計算によりAMEFCE, DMEFBEを得る.よって,これらの比を考えればEC:CF=EM:MA,EB:BF=EM:MDを得る.また,Mが中点であるのでEC:CF=EB:BFであるからECBF=CFEBを得る.有名事実としてこれを満たす円に内接する四角形は調和四角形であるから直線MEEBCESymmedianである.よって,題意は示された.

MMPs002 MMPs002

MMPs002 MMPs002

MMPs003/★★☆☆☆

以下の式を整数係数の範囲で因数分解せよ.

x4+y4+z4+w4+(xy+yz+zw+wx+xz+yw)(x2+y2+z2+w2)+4xyzw

解答

tに関する以下の方程式を考える.
t4(x+y+z+w)t3+(xy+yz+zw+wx+xz+yw)t2(xyz+yzw+zwx+wxy)t+xyzw=0
この方程式にt=x,y,z,wを代入したものを辺々足すことによって以下の式を得る.
x4+y4+z4+w4+(xy+yz+zw+wx+xz+yw)(x2+y2+z2+w2)+4xyzw=(x+y+z+w)(x3+y3+z3+w3+yzw+zwx+wxy+xyz)
右辺の(x3+y3+z3+w3+yzw+zwx+wxy+xyz)は既約なので(x+y+z+w)(x3+y3+z3+w3+yzw+zwx+wxy+xyz)である.

MMPs004/★☆☆☆☆

f(x)x200以上の約数の個数とする.このとき以下の値を計算せよ.

f(1)+f(2)++f(1000)

200以上の整数が何回寄与するかを考えれば良い.例えば200f(200),f(400),,f(1000)の計5回数えられると言った具合である.
n=20010001000n=51+450+383+2167+1500=1228

MMPs005/★★☆☆☆

正実数A,B,CA+B+C=πを満たす.この時,以下の不等式を示せ.
sinAcosBcosC+sinBcosCcosA+sinCcosAcosB338

cycsinAcosBcosC=sinAcosBcosC+sinBcosCcosA+sinCcosAcosB=(sinAcosBcosC+sinBcosCcosA+sinCcosAcosB)cosAcosBcosCcosAcosBcosC=cosAcosBcosC(tanA+tanB+tanC)=cosAcosBcosCtanAtanBtanC=sinAsinBsinC

sinA+sinB+sinC3sinAsinBsinC3

両辺を三乗すると,

(sinA+sinB+sinC3)3sinAsinBsinC

等号成立は,A=B=C=π3の時.sinX0<X<πで上に凸だから左辺をイェンゼンの不等式を用いて左辺を評価すると

(3sinA+B+C33)3(sinA+sinB+sinC3)3

が成立する.これを整理すると,

338(sinA+sinB+sinC3)3sinAsinBsinC=cycsinAcosBcosC

この時,全ての不等号について等号成立条件はA=B=C=π3で一致しているため題意は示された.

MMPs006/★★☆☆☆

正実数a,b,ca+b+c=abcを満たす.このとき,以下の不等式を示せ.
(abc)2(a2+1)(b2+1)(c2+1)2764

tanA=a, tanB=b, tanC=cとなるようにA,B,Cを定める.ただし,0A,B,C<2πである.この時,条件より,tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanCであるから,A+B+C=πとなる.

(tanAtanBtanC)2(tan2A+1)(tan2B+1)(tan2C+1)=(sinAsinBsinC)2(sinA+sinB+sinC3)6  (AMGM)(3sin(A+B+C3)3)6  (Jensen)=sin6π3=2764

不等号の等号成立条件は全て一致しているため題意は示された.

MMPs007/★★☆☆☆

n,k2以上の正整数とする.nk!1k未満の任意の素数pに対してpで割って1余る1でない約数を持つことを示せ.

nk!1=(n1)(nk!1+nk!2++n2+n+1)
である.ここでpk未満の素数とすると,(nk!1+nk!2++n2+n+1)S=(np+np1++n2+n1+1),S=(np1+np2++n2+n1+1)を約数に持つ.ここで,n1 (mod p)の時S1 (mod p)であり,n1 (mod p)の時S=np1n1n1n1=1 (mod p)となる.これらは明らかに1ではないので題意は示された.

(約数に持つことは因数分解を考えればわかります.これは項をi個ずつまとめる方法での因数分解を考えれば良いですね.)

階乗進法を用いた別解

nk!1=(n1)(nk!1+nk!2++n2+n+1)=(n1)(n1!+1)(n22!+n2!+1)(n(k1)(k1)!+n(k2)(k1)!++n2(k1)!+n(k1)!+1)
ただし,最後の変形に関しては階乗進法の一意性を用いた.

np!1の約数S=npp!+n(p1)p!++n2p!+np!+1を考える.このとき,フェルマーの小定理よりnpの倍数でないならばnp!1(mod p)であるから,S1(mod p)が従う.npの倍数であるなら明らかにS1(mod p)である.よって題意は示された.

MMPs008/★★★☆☆

Ωに内接する六角形ABCDEF|AB|=|BC|,|CD|=|DE|,|EF|=|FA|を満たす.ΩA,B,C,D,E,Fにおける接線をそれぞれLA,LB,LC,LD,LE,LFとする.LALCの交点をB,LBLDの交点をC,LCLEの交点をD,LDLFの交点をE,LELAの交点をF,LFLBの交点をAとするとき,AD,BE,CFは一点で交わることを示せ.

難易度に関して悩みました.初等的に解こうとすると難易度は高くなってしまいますが,複素では簡単に解けるのでここでは簡単な解法に合わせる方針で行きます.

複素座標

方針:うまく三点A,C,Eの座標を定めて使う文字数を減らす.(一度は初等的に考えてみましょう.すると,角の二等分線が登場することに気付けると思います.そこで,うまく座標設定ができることを思いつくでしょう.)
A(a2) B(ac) C(c2) D(ce) E(e2) F(ea) 
となるようにうまく座標を定める.このとき
A(2acec+e) B(2a2c2a2+c2) C(2acee+a) D(2c2e2c2+e2) E(2acea+c) F(2e2a2e2+a2) 
が得られる.ADの式を考えていく.このとき,A¯(2a(c+e)),D¯(2c2+e2)であることに留意して,
AD:(A¯D¯)z(AD)z¯=A¯DAD¯2c2+2e2+2ac+2aea(c+e)(c2+e2)z+2ce(ac2+ae2+c2e+ce2)(c+e)(c2+e2)z=4c2e2a(c+e)(c2+e2)+4ace(c+e)(c2+e2)(ac+ae+c2+e2)z+ace(ac2+ae2+c2e+ce2)z=2a2ce2c2e2
となる.ここで,z=(ac+ce+ea)を代入する.(内心)
(ac+ae+c2+e2)(ac+ce+ea)ace(ac2+ae2+c2e+ce2)(1ac+1ce+1ca)=2a2ce2c2e2
が成り立つのでADは内心を通る.このとき,対称性よりBE,CFも内心を通るので三直線は一点,特に内心で交わることが示された.

MMPs008 MMPs008

MMPs009/★☆☆☆☆

四角形ABCDにおいて,ABの中点をMABなどと表すとき,MABMCD,MBCMDA,MACMBDは一点で交わることを示せ.

MABMCD,MBCMDAの交点をPとする.中点連結定理より,四角形MABMBCMCDMDAは平行四辺形となるのでPMABMCD,MBCMDAの中点である.

MABMCD,MACMBDの交点をQとする.中点連結定理より,四角形MABMACMCDMBDは平行四辺形となるのでQMABMCD,MACMBDの中点である.よって,P=Qであるから題意は示された.

複素平面を用いた別解

複素平面上にA(a),B(b),C(c),D(d)とおく.このとき,MABMCD,MBCMDA,MACMBDは全てa+b+c+d4を通るので題意は示された.

MMPs010/★☆☆☆☆

a1=a2=2なる数列{an}は以下を満たす.数列{an}の一般項を求めよ.
an+1100=an100+an1100++a1100

an+1100=2an100であるのでbn=an100 などとして計算すれば一般項はan={2n+98100(n1)2 (n=1)となる.

MMPs011/★★★☆☆

kを正整数とする.このとき,以下の不等式を示せ.
n=16k1+n2>n=13k4+(4n1)2>n=1k36+(36n15)2

>が成り立つことは
n=13k((2n1)2+1+(2n)2+1)>n=13k(4n1)2+4
が成り立つことと同値である.したがって,(2n1)2+1+(2n)2+1>(4n1)2+4を示せば十分である.上の図において,|AB|=2n1,|BE|=2nとすると|DG|=(2n1)2+1,|GJ|=(2n)2+1,|DJ|=(4n1)2+4となる.三角不等式より,|DG|+|GJ|>|DJ|であるから>は示された.

>が成り立つことは
n=1k((4(3n2)1)2+4+(4(3n1)1)2+4+(4(3n)1)2+4)>n=1k36+(36n15)2
が成り立つことと同値である.したがって,(12n9)2+4+(12n5)2+4+(12n1)2+4>3(12n5)2+4を示せば十分である.下の図においても>の証明と同様に考えると
()=|DG|+|GJ|+|JM|+|MP|+|PS|+|SV|,()=|DV|
となって,三角不等式より>が示された.

したがって,題意は示された.

MMPs011-1 MMPs011-1

MMPs011-2 MMPs011-2

MMPs012/★★☆☆☆

連続する素数p,q,r,s,tp<q<r<s<tを満たす.このとき,以下の不等式を示せ.ただし,正整数nの正の約数の個数をd(n)で表す.

d(p+q)+d(q+r)+d(r+s)+d(s+t)18

a,bを連続奇素数とする.a+bは偶数であり,a,bは連続素数なので,a+b=2cとなる素数cは存在しない.従って,a+bの素因数の個数は3つ以上である.(重複も含めて)素因数を3つ以上持つような数について考える.(重複も含めて)素因数を3つ持つ数のうち約数の個数が最小となるものは立方数であり,その個数は4である.また,その次に約数の個数が小さいものはp22p2(p1,p2は素数)の形で表されるもので,約数の個数は6である.連続奇素数の和は偶数であるので,連続奇素数の和かつ立方数として有り得る数は8のみである. ここで,p3とする.この時,()2+4+6+6=18であるからpとして確認すべきものは2のみである.実際,p=2の時等号が成立する.

MMPs013/★★☆☆☆

三角形ABCの外心をOとする.OA,OB,OCを直径とする円をそれぞれω1,ω2,ω3とし,OBC,OCA,OABの外接円をそれぞれΓ1,Γ2,Γ3とする.ω1Γ1の交点をP1とし,同様にP2,P3についても定めた時,O,P1,P2,P3は同一円周上に存在することを示せ.

ABCの外接円での反転を考える.Xを反転したものをXと表現する.このとき,示すべきことはP1,P2,P3の共線である. Γ1,Γ2,Γ3はそれぞれ反転によってBC,CA,ABに移る.ω1,ω2,ω3はそれぞれ反転によってA,B,Cに関する外接円の接線へと移る.ω1,ω2の交点の反転先をM1などとすれば,M1C,M2A,M3Bは全て内心を通る.したがって.P1,P2,P3はデザルグの定理より,共線である.

MMPs014/★☆☆☆☆

正整数に対して定義され,非負整数値をとる関数fであって,任意の正整数xに対して以下を満たすものを全て求めよ.
f(x+1)=f(f(x)+1)+f(x)

f(x+1)f(x)=f(f(x)+1)0よりfは広義単調増加関数である.f(1)1と仮定する.f(2)f(1)=f(f(1)+1)f(2)より,f(1)0を得るので矛盾する.よって,f(1)=0である.ここで,f(k)=0と仮定したときにf(k+1)=f(f(k)+1)+f(k)=f(1)=0となるので帰納的にf(x)=0 xZ+を得る.

MMPs015/★☆☆☆☆

実数に対して定義され実数値をとる関数fであって、任意の実数x,yに対して以下が成り立つようなものを全て求めよ.

f(f(x)+y)=x+f(f(y))

(x,y)=(x,0)より,f(f(x))=xであるからfは全射である.f(c)=0なる実数cをとり,(x,y)=(c,x)とするとf(x)=c+xとなる.逆に,f(x)=x+c(cは任意の定数)とすれば与式を満たすことからf(x)=x+cが解である.

MMPs016/★★☆☆☆

{an}を以下で定まる数列とする.任意の正整数k,素数pに対してap(k+1)pの倍数であることを示せ.

a1=0, a2=kan+2=(k1)an+1+kan

ここで,円をp個の扇型に区切り,隣り合う二つの扇型を同じ色で塗らないように,全体をk+1色で塗り分ける方法の総数を考える.(ただし,回転して一致するものは同じものとして数える.)

扇型をX1~Xk+1と時計回りに名前をつける.この時,X1に色Aを塗ったとして,Xnに色A以外のを塗る方法の総数をanとするとan+2=(k1)an+1+kan, a1=0,a2=kを得る.ここで,求めるものは(k+1)appと表され,これは整数なので題意は示された.

MMPs017/★☆☆☆☆

f(x)を以下のように定める.このとき,f(p+6)pの倍数となるような素数pを全て求めよ.

f(x)=i=0x1xpi

条件より,f(x+1)=(x+1)f(x)+1を得る.f(p)=pap1+11(modp)である.漸化式より,f(p+1)=(p+1)f(p)+12(modp)を得る.同様にして計算していくことにより,f(p+6)1957(modp)を得るので1957pの倍数であることがわかる.1957=19103であることより,p=19,103である.

MMPs018/★★☆☆☆

{an}a1=1, an+1=nan+1で定まる数列とする.任意の正整数x,yに対して以下の式が整数となることを示せ.(xy)

axayxy

帰納法を用いてan=i=0n1(n1)!i!であることを示す.(ここでは便宜上0!=1とする.)

(i) n=1のとき,a1=1=0!0!である.

(ii) n=kのとき,n=k+1において
ak+1=ki=0k1(k1)!i!+1=i=0k1k!i!+k!k!=i=0kk!i!
よって,an=i=0n1(n1)!i!である.今,an+man(modm)を示せば良い.

an+m=(n+m1)×(m+n2)××2×1+(n+m1)×(n+m2)××2++(n+m1)

an=(n1)×(n2)××2×1+(n1)×(n2)××2++(n1)
k連続整数の積がkの倍数であることに留意すれば以下が成り立つ.

an+m=(n+m1)×(n+m2)××(n+1)+(n+m1)×(n+m2)××(n+2)++(n+m1)(n1)×(n2)××1+(n1)×(n2)××2++(n1)(modm)=an
(これはmnの場合は明らかであるが,m>nの場合もうまく消えるので各自で確認してみてほしい.)

MMPs019/★☆☆☆☆

任意の正整数n,mに対して以下が成り立つことを示せ.
i=1nnCimni(1)i+1=mn(m1)n

max(a1,a2,,an)=mなる正整数の組はmn(m1)n通り(右辺)である.また,包除原理を用いると左辺の表示も得られるので題意は示された.

MMPs020/★☆☆☆☆

|AC|>|AB|,A=60°なる不等辺三角形ABCにおいて,その外接円をΩとし,ΩBCの垂直二等分線の交点のうち,Aを含む側の交点をDとする.ADの垂直二等分線とACの交点をEとするとき,|AB|=|CE|となることを示せ.

三角形DBC,EADは共に正三角形なのでAD=DE,DB=DCとなる.また,A=D=60°となるのでDABDECを得るからAB=ECである.

MMPs020 MMPs020

投稿日:202321
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