数学とってぃ〜さん=初見で思いつく人はいらっしゃるのだろうか?
$$
\int \frac{1}{\sqrt{x^2+1}}dx \cdots(1)
$$
を見てなぜ$t=x+\sqrt{x^2+1}$を思いつくのか.
自然な疑問で次の積分も考えなければならないのではないでしょうか.
$$
\int \frac{1}{\sqrt{1-y^2}}dy \cdots(2)
$$
(1)と(2)は$x=iy$と置換すれば関連付けることができます.
(2)の積分は$y=\sin \theta$と置換することで解決しますが,むしろ三角関数の定義として積分(2)を採用する考え方もできます.つまり(2)で定まる原始関数$\theta=f(y)$の逆関数こそが$y=\sin\theta$であって,$\cos \theta$はその導関数である,という感じです.
積分の式を与えることは,微分方程式を与えることと同じです.
例えば(1)は$$x^2+1=\left (\frac{dx}{dt} \right )^2 \cdots(3)$$
に等しく,(2)は$$1-y^2=\left (\frac{dy}{d \theta} \right )^2 \cdots(4)$$
に等しい.ただし両辺を2乗しているので符号の自由度が残っています.
(3)の両辺をさらに$t$で微分すると
$$2x \frac{dx}{dt}=2\frac{dx}{dt}\frac{d^2x}{dt^2}$$
が得られるので,$\frac{dx}{dt}\not\equiv0$を仮定すれば,
$$x=\frac{d^2x}{dt^2}$$
が得られます.
(4)からは
$$-y=\frac{d^2y}{d \theta^2}$$
が得られます.
いずれも線型微分方程式であり,特性方程式はそれぞれ
$$u^2-1=0,v^2+1=0$$
となります.一般解は,$$x=C \exp[\pm t]$$ $$y=C \exp[\pm i \theta]$$として得られ,特殊解として,
$$x=\frac{e^t-e^{-t}}{2}$$や$$y=\frac{e^{i \theta}-e^{-i \theta}}{2i}$$があります.
$e^t=s$とおくと$s$は$s^2-2xs-1=0$の解なので,$s=x\pm\sqrt{x^2+1}$の関係式が得られます.
これらは微分方程式の大理論の一部ですので,その詳細は各個人で勉強して頂き,微分方程式の壮大な歴史を追体験してもらうのが良いと思います.
一部の天才がひらめいた,というよりも,凡人が原始関数を求めるために,新たな関数や概念を苦労して生み出した,と考えた方が面白いのではないかと私は思います.