コラッツ予想についての思案をとりあえず形にしておきます.メモの気持ちなので雑な言葉遣いをします.
問題を言い換えられただけで別に進展を生んだわけではないです.間違いがあればご指摘いただけると幸いです.
自然数 $n$ に対して関数 $f(n)$ を以下のように定義する.
\begin{equation}
f(n) = \left\{
\begin{aligned}
&\dfrac{3n+1}{2} \quad &\text{$n$ is odd} \\
&\dfrac{n}{2} &\text{$n$ is even}
\end{aligned}
\right.
\end{equation}
このとき,任意の自然数 $n$ に対し,ある自然数 $N$ が存在して $f^{N}(n) = 1$ となる.
コラッツ予想は以下のように言い換えることができます.
実関数 $s(x),t(x)$ を以下のように定義する.
\begin{equation}
s(x) = \dfrac{2x-1}{3},\ t(x) = 2x
\end{equation}
このとき,任意の自然数 $n$ に対して,関数$s,t$ の合成によって表せるとある関数 $m$ が存在して $n = m(1)$ を満たす.
($m$が$s,t$の合成によって表せるとは,例えば$m(x)=(s \circ t \circ t)(x)=s(t(t(x)))$のようになっているということ)
ざっくり言うと「関数$f(n)$の逆関数」みたいなことを考えています.
これが言い換えになっていることは各自で確認してみてください.
(注:$m(1)$はせいぜい分母が $3^k$ 型の有理数にしかならないことに注意してください.そのため,$s(m'(1))$ や $t(m'(1))$ が自然数なら$m'(1)$もまた自然数になります)
二次行列 $\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}$ と実数 $x$ との積を次のように定義する.
\begin{equation}
\begin{pmatrix}
a & b \\
c & d
\end{pmatrix}x := \dfrac{ax+b}{cx+d}
\end{equation}
この積は次のような性質を満たすことから特に作用と呼ばれています.
・$E_2 x = x \quad (E_2 \text{は単位行列})$
・$(AB)x=A(Bx) \quad (A,B \in M_2(\mathbb{R}))$
行列 $S,T$ を
\begin{equation}
S = \begin{pmatrix}
2 & -1 \\
0 & 3
\end{pmatrix},\
T = \begin{pmatrix}
2 & 0 \\
0 & 1
\end{pmatrix}
\end{equation}
と定義すると,関数 $s(x),t(x)$ は $s(x) = Sx,\ t(x) = Tx$ と表されます.関数 $m(x)$ は「$x$に$S,T$を(左から)何回か作用させたときの関数」というわけです.すなわち,$m$ と 「$S,T$の積によって表される行列」は一対一に対応します.
ここでモノイドという概念を導入します.
集合 $M$ とその上の二項演算 $\cdot :M \times M \rightarrow M$ が以下の条件をみたすとき,$(M,\cdot)$ を(あるいは単に $M$ を)モノイドと呼ぶ.
(結合律):$\forall a,b,c \in M,\ (a\cdot b)\cdot c = a \cdot (b \cdot c)$
(単位元の存在):$\forall a \in M, \ e \cdot a = a \cdot e = a$ を満たす $e \in M$ が存在する.
「$S,T$の積によって表される行列」全体のなす集合は行列の積によってモノイドとなっています.これを $\langle S,T \rangle$ と書くことにしましょう.
$\langle S,T \rangle$の元はすべて$S,T$の積によって表せることから,$S,T$は$\langle S,T \rangle$の生成元と呼ばれます.
(注:「$S,T$の積によって表される行列」は単位行列$E_2$も含んでいるものとします)
以上より,コラッツ予想はこのモノイドを用いて次のように言い換えられます.
任意の自然数 $n$ に対し,ある $M \in \langle S,T \rangle$ が存在して $n = M \cdot 1$ となる
($M \cdot 1$は$M$が$1$に作用するということ)
ありがとうございました.