Clifford代数の既約表現は次元によって行列表示(γ行列など)が色々ありますが、一方で一般的な構成があります。
Clifford代数の既約表現とSpin表現
次元Euclidベクトル空間に対して定義される複素Clifford代数をと表します。またPauli行列を
とし、とします。さらに
とします。
の既約表現は
となることが知られていますが、以下ではこれを構成します。
まずの例を見ます。
のとき、は
で与えられます。またのとき、は
で与えられます。
これは直ちに一般化できて以下のようになります。
このときSpin表現は
で与えられます。ただしは第因子への射影です。以降で述べますが、とは同値な表現となります。
のSpin表現について
さらには非同値な表現の直和
に分解されます。これを見るには次のようにします。まず
に対して、であるから、表現空間はの固有値の固有空間の直和と分解されます。
実際、
なので、
と置くとき、集合
が張る部分空間をそれぞれとすればよい。また上に示した基底はの標準的Hermite内積に関して正規直交基底となります。
のSpin表現について
は同値な表現となります。これは以下のように分かります。表現空間をとすると、ベクトル空間としてであるから、を
とすると、は明らかに同型ですが、実は同変であることが分かります。実際、の作用ではそれぞれ不変なので、同変性はの形をした元の作用について確かめれば十分です。であることと、の作用がを入れ替えることを使うと、
となるので同変性が確かめられます。
次元が1異なるSpin表現について
あるスピン多様体と1次元多様体の直積を考える場合などに次元が1異なるSpin表現との関係が知りたいことがあります。そこでをに制限した表現はどうなるのか(と同値な表現がえらる)とその表現空間に対してが具体的にどのように作用するのかを偶奇分けして述べます。
について
の定義から明らかにとなります。なのでと表すと、は
と作用します。
について
の部分空間としてを
のように定義すると、の表現としてとなることは明らかである。
また
と表せる。このとき
であり、であるから、
となる。