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高校数学解説
文献あり

2023年度 国際信州学院大学 理学部 数学 解答

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2023年度 国際信州学院大学理学部数学の解答です.第6問はまだ解けてません(泣).随時更新します.
哲学には詳しくないので,第1問の解答は友人に協力を仰いでいます.ご了承下さい.  

第1問

 まず、『純粋理性批判』は、人間の認識の限界について書かれたカントの主著であり、『算術の基礎』は、算術の哲学の基礎についてフレーゲなりに考察し記述されたもので、後世の論理主義に影響を与えた。
 次に本文を通して「数」について、カントは帰納的に、対してフレーゲは演繹的に考えていることが伺える。
 また、フレーゲは、あくまで数は記号的に使用される道具であるとしているが、一方で、カントは、数を記号的に扱うだけでなく、そこに意味を伴うことも必要としている。
 最後に、(a)の部分は、「数が巨大になればなるほど、数の指し示す概念と表号が乖離してしまう」ということを示していると考えられる。

第2問

  1. $p$$d$で割ったあまりが$a$なので,整数$N$を用いて,$p=dN+a$と表せる.
    $d,a$は互いに素ではないので,これらの最大公約数を$g$とすると,$p$$g(\ge 2)$の倍数である.よって,$p$が素数となるのは,$g$が素数かつ$p=g$のときに限られるので,題意を満たす$p$は高々一つしか存在しない.

  2. $m,n$を互いに素な自然数,$a$$m$と互いに素な自然数,$b$$n$と互いに素な自然数とすると,中国剰余定理より,$c\equiv a \pmod m$かつ$c\equiv b \pmod n$を満たす$c$$\mod mn$においてただ一つ存在する.組$(a,b)$$c$が一対一に対応するので,$\varphi(mn)=\varphi(m)\varphi(n)$が成立する.また,$p$が素数のとき,$p$以下で$p$と互いに素である自然数は$p$のみなので,$\varphi(p)=p-1$である.以上より,
    $$\varphi(N_r)=\prod_{i=1}^{r}\varphi(p_i)=\prod_{i=1}^{r}(p_i-1)=\prod_{i=1}^{r}p_i\left(1-\frac1{p_i}\right)=N_r\prod_{i=1}^{r}\left(1-\frac1{p_i}\right)$$

  3. $$\frac{N_r}{\varphi(N_r)}=\prod_{i=1}^{r}\left(1-\frac1{p_i}\right)^{-1}=\prod_{i=1}^{r}\sum_{k=0}^{\infty}\frac1{p_i^k}$$
    ここで,右辺を展開すると,$p_r$以下の素因数からなるすべての自然数の逆数がちょうど一つずつ現れる.$r\le p_r$より,$1,2,\cdots,r$の素因数はすべて$p_r$以下であるから,
    $$\prod_{i=1}^{r}\sum_{k=0}^{\infty}\frac1{p_i^k}\ge\sum_{k=1}^{r}\frac1k$$
    よって題意は示された.

  4. $m$$n\le md$を満たす最小の自然数とする.自然数$d$に対して,$d$以下で$d$と互いに素な自然数を$x_1,x_2,\cdots,x_{\varphi(d)}$とすると,$0\le k \le m-1$, $1\le i \le \varphi(d)$なる$k,i$に対して,$kd+x_i$$d$と互いに素.$md$以下の素数のうち,$d$と互いに素なものは$kd+x_i$のうちのどれかであり,そうでないものは高々$d$個なので,
    $$\pi(n)\le\pi(md)\le m\varphi(d)\le d+\left(\frac nd+1\right)\varphi(d)$$
    よって題意は示された.

  5. (4)より,任意の自然数$d$に対し,
    $0\le \frac{\pi(n)}n \le \frac{d}{n}+\left(\frac 1d+\frac1n\right)\varphi(d)$
    が成立する.ここで,$r_n$$$N_{r_n}=\prod_{i=1}^{r_n}p_i\le\sqrt{n}$$を満たす最大の自然数とし,$d=r_n$とすれば,
    $$0\le \frac{\pi(n)}n \le \frac{r_n}{n}+\left(\frac 1{r_n}+\frac1n\right)\varphi(r_n)\le \frac{\sqrt{n}}{n}+\frac{1}{\sum_{k=1}^{r_n}\frac1k}+\frac{\sqrt n}n$$
    ここで,平均値の定理より$k< c< k+1$なる$c$が存在して$\log(k+1)-\log k=\frac1c<\frac1k$が成立するので,
    $$\sum_{k=1}^{m}\frac1k >\sum_{k=1}^{m}\{\log(k+1)-\log k\}=\log (m+1)→\infty\ (m→\infty)$$であり,$n→\infty$のとき$r_n→\infty$なので,
    $0\le \frac{\pi(n)}n \le \frac{\sqrt{n}}{n}+\frac{1}{\sum_{k=1}^{r_n}\frac1k}+\frac{\sqrt n}n→0\ (n→\infty )$より,はさみうちの原理から,
    $$ \lim_{n \to \infty}\frac{π(n)}n=0 $$
    が成立する.

第3問

まず,任意の素数$p$および整数$x$に対し,
$$x^p-x\equiv 0 \pmod p$$
(フェルマーの小定理)
が成立することを帰納法で示す.

  1. $x=1$のとき,$x^p-x=0$より成立.
  2. $x=k$で成立すると仮定し,$x=k+1$のとき,
    $$(k+1)^p-(k+1)= \sum_{i=0}^{p}{}_p \mathrm{ C }_i k^i -(k+1) =(k^p-k)+\sum_{i=1}^{p-1}{}_p \mathrm{ C }_i k^i $$
    であり,$1\le i\le p-1$のとき$i{}_p \mathrm{ C }_i=p{}_{p-1} \mathrm{ C }_{i-1}$および$p$$i$は互いに素であることから${}_p \mathrm{ C }_i$$p$の倍数なので,$$(k+1)^p-(k+1)\equiv k^p-k \equiv 0 \pmod p$$
    が成立する.

特に,$x$$p$の倍数でないとき,$x$$p$と互いに素なので,
$$x^{p-1}\equiv 1 \pmod p$$
が成立する.

$x^{x^x}\equiv 1977 \equiv -10 \pmod {1987}$
を満たす$x$が存在することを示せば良い.$x=1987\cdot11-10$とすると,
$\mod 1986$において,$x^x=(1987\cdot11-10)^x\equiv (1\cdot11-10)^x=1$
よって,$x^x=1986m+1$なる整数$m$が存在する.これに対し,
$x^{x^x}=x^{1986m+1}=(x^{1987-1})^m\cdot x$
であり,$1987$は素数であるから,$$x^{1987-1}\equiv 1 \pmod {1987}$$
であるので,
$$x^{x^x}\equiv 1^m\cdot x \equiv -10 \equiv 1977 \pmod {1987}$$
が成り立つ.

第4問

生徒を頂点,恋愛関係を辺で表したグラフ$G$を考える.
(グラフとは,点(頂点)の集合$V$と二点間を結ぶ線分(辺)$E$の集合の組$G=(V,E)$のこと)
題意の条件はどの2つの頂点も共通の隣接する頂点を2つ以上もたないこと,すなわち$G$の部分グラフとして完全二部グラフ$K_{2,2}$をもたないことである.この条件をPとする.
(1) $k=3$が題意を満たすことを示す.$3n$個の頂点からなるグラフ$G=(V,E)$であって,条件Pを満たし,辺の本数が$3f(n)+3n$であるものが存在することを示せば十分である.$3n$個の頂点を$n$個ずつ$3$つに分け,それらの頂点を$V_a=\{a_1,a_2,\cdots,a_n\}, V_b=\{b_1,b_2,\cdots,b_n\}, V_c=\{c_1,c_2,\cdots,c_n\}$
で表す.$V=V_a \cup V_b \cup V_c$である.また,条件Pを満たし$f(n)$本の頂点からなるグラフ$G_0=(V_0,E_0)$が存在する.$G_0$の頂点を$V_0=\{v_1,v_2,\cdots,v_n\}$とする.
$G$の辺の集合$E$を次のように構成する
$$E_a=\{(a_i,a_j)|(v_i,v_j)\in E_0\}, E_b=\{(b_i,b_j)|(v_i,v_j)\in E_0\}, E_c=\{(c_i,c_j)|(v_i,v_j)\in E_0\}\\ E'=\{(a_i,b_i),(b_i,c_i),(c_i,a_i)| 1\le i\le n\}$$
これらに対し,$E=E_a \cup E_b \cup E_c \cup E'$とおく.
$E'$$3n$個の要素をもっており,$(V_a,E_a),(V_b,E_b),(V_c,E_c)$はそれぞれ$G_0$に一致することに注意すれば,$G$$3f(n)+3n$本の辺を持ち,条件Pを満たすグラフとなる.よって題意は示された.

  1. $f(n)$本の辺と$n$個の頂点からなり,条件Pを満たすグラフ$G_0$をとり,$G_0$の頂点のうち頂点次数$d$(頂点から出る辺の本数)が最小であるものを$v$とする.$G_0$から$v$および$v$から出る辺を取り除くことで得られるグラフを$G$とする.このとき$G$は条件Pを満たし,$n-1$個の頂点と$f(n)-d$本の辺をもつ.よって$f(n-1)\ge f(n)-d$が成り立つ.
    $G_0$の各頂点の頂点次数を$d_1,d_2,\cdots,d_n$とすると,
    $2f(n)=d_1+d_2+\cdots+d_n\ge nd$
    よって,$d$の値は$\frac{2f(n)}{n}$以下であるから,
    $f(n-1)\ge f(n)-d\ge f(n) - \frac{2f(n)}{n}=\frac{n-2}{n} f(n)$
    両辺に$\frac{n}{n-2}$をかけて,題意は示された.

  2. $n$が奇数$n=2N+1$($N$は負でない整数)のとき,図のようにグラフ$G_N$を構成すれば,辺の本数が$\lfloor \frac{3(n-1)}{2} \rfloor=\frac{3(n-1)}{2}=3N$であり条件Pを満たすグラフが得られる.

    また,$n$が偶数$n=2N+2$($N$は負でない整数)のときも,図のように$G_N$に1つの頂点と1本の辺を追加したグラフが,$\lfloor \frac{3(n-1)}{2} \rfloor=3N+1$本の辺をもち条件Pを満たすグラフとなる.

    よって,$f(n) \ge \lfloor \frac{3(n-1)}{2} \rfloor$が成立する.

第5問

$\alpha = \frac pq$ ($p,q$は整数)とおく.
$y=x^\alpha=x^{\frac pq}$とおくと,$y^q=x^p$であるから,両辺を$x$で微分して,
$$qy^{q-1}\frac{dy}{dx}=px^{p-1}$$
$$\frac{dy}{dx}=\frac{p}{q} \cdot \frac{x^{p-1}}{y^{q-1}}=\frac{p}{q} \cdot \frac{x^{p-1}}{x^{p-\frac{p}{q}}}=\frac{p}{q} x^{\frac{p}{q}-1}=\alpha x^{\alpha-1}$$
よって題意は示された.

第6問

準備中

参考文献

投稿日:2023312
OptHub AI Competition

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投稿者

dragoemon
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