突然ですが,次の問題を考えてみます.
袋の中に数字1が書かれたカードが1枚,2が書かれたカードが2枚,3が書かれたカードが3枚の,合計6枚のカードがある.袋からカードを無作為に取り出してもとに戻すという操作を繰り返し,取り出した数字が前に取り出した数字より小さくなったら操作を終了する.
操作が
よって,
と立式して,等比数列の和の公式,またはその変形である
を直接求める公式があったらいいなぁと思いまして,そのような公式を作ってみることにしました.
(ただし
まずは3変数の場合を考えてみます.
証明は計算するだけです.
これを使うと,問題1の答えは,
と求まります!
これを多変数に拡張した場合を考えてみます.次のように予想できます.
ただし
(例1の
繰り返し計算すれば示せそうに思えますが,実際はちょっとした工夫が必要になります.
先ほど予想した式の右辺にあたるものです.ここでは
が成立する.
計算するだけです.
が成立する.
次の2つを示せば帰納的に
(1)
(2)
まず(1)を示す.
ここで右辺を
と表すことができる.両辺に
よって任意の
次に(2)を示す.
補題2より,
実は補題3だけでも結構面白い結果です.
のような恒等式が次々と生み出せます.
に対し,
次の3つを示せば,帰納的に定理が正しいことが示される.
(1)
(2)
(3)
(1)を示す.
よって成立.
(2)を示す
補題2,補題3より,
よって,
(3)を示す.
補題2より
について,
となる.よって,
以上より,定理は示された.
恒等式
の成立がわかりましたが,これが使えるのは
を求めたい.
より,