二年生に忘れられた夢
前提知識 : 三角函数の加法定理, 和積・積和の公式
お久し振りです. 今回の記事は, 三角函数の計算について, 私の考えるところを簡単に書くことに致します. とくに高校生の方に人気のある話題だと思います.
実数 (または複素数) の四つ組
をみたすものにたいし, 以下四種の三角比の式を考えます.
これらをかりに扇形式と呼ぶことにすれば, つぎの定理が成立します.
いかなる実数
すなわち,
四個ある等式のうち, 第一式のみを証明すれば十分である. (なぜでしょう ? )
第一式の右辺において積和の公式を適用すれば,
ただし途中に
ついでに, 扇形式から
という多項式函数を考えてみますと,
になりますから, 三角函数のものと同じ性質をもつことがわかります.
(なぜこれらの性質は共通しているのしょうか ? Euler の公式を知っている方は考察してみるといいでしょう. )
扇形式の定理をつかって, 加法定理や積和・和積の公式を導出してみせたいと思います.
という結果になります. 次に
加法定理については以上です.
これは三平方の定理の式と同じです.
すこし複雑になりますが, 和積の公式も確かめることができます.
また積和の公式についても,
こんな具合に計算したらいかがでしょうか.
今回は三角函数を主題に扇形式を解説したのでありますが, もともと私がこの定理に気が付いたのは, Lucas 数と Fibonacci 数の等式を研究していたときのことでありました. Fibonacci 数の恒等式につきましては, またの機会にブログ記事の種にしようと思います.
それでは, 長い解説にお付きあい頂きましてありがとうございました.