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高校数学解説
文献あり

反転を用いた東大入試の解法

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反転について

反転

中心O,半径rの円がある.このとき,Oによる反転を以下のように定義する.

  • Pの行き先は,半直線OPの上でOPOP=r2を満たす点P

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 無限遠点は原点にうつるものとします.反転には以下のような性質があります.

反転によって,

1:原点を通る直線は原点を通る直線にうつる

2原点を通らない直線は原点を通る円にうつる

3:原点を通る円は原点を通らない直線にうつる

4:原点を通らない円は原点を通らない円にうつる

複素数平面上の反転

 今回は単位円での反転のみを考えるので,r=1とします.

複素数平面上の反転

複素数平面における反転は以下のように表される.
f:CC
f(z)=1z¯

zの行き先をωとする.このとき,
(1)|z||ω|=1
また,ωは半直線OZ上の点であることから,正の実数tを用いてω=tzと表される.(1)より,|ω|=1|z|を得る.よって,
|ω|=t|z|=1|z|t=1|z|2
よって,ω=1z¯となる.つまり,
f(z)=1z¯

問題

2017東京大学

複素数平面上の原点以外の点zに対してω=1zとする.
(1) α0でない複素数とし,αと原点Oを結ぶ線分の垂直二等分線をLとする.点zL上を動くとき,ωの軌跡は円から一点を除いたものになる.この円の中心と半径を求めよ.
(2) 13乗根のうち,虚部が正であるものをβとする.点βと点β2を結ぶ線分上をzが動くときの点ωの軌跡を求め,複素数平面上に図示せよ.

解法

 今回,反転させた後で工夫が必要です.ω=1zなので,単位円で反転させて得た図形を実軸で折り返すと良いです.
 (1)からやりましょう.線分と垂直二等分線の交点はα2です.また,Lを反転させると,原点を通る円になります.α2を反転させた点と原点を結んだ線分は,Lを反転させてできる円の直径となります.これは簡単に証明できるので是非挑戦してみてください.
 点α2の行き先は,点2α¯です.この点と原点を結ぶ線分が直径となるので,反転して得た円の半径は1|α|,中心は1α¯です.
 直線Lを反転させると,以下の図で緑色の円になります.
反転❶ 反転❶
 後は実軸で折り返せば終わりです.(1)答は半径1|α|,中心1αの円です.
 (2)の問題です.明らかにβ=eπi3ですね.ββ2は共役の関係にあるので,線分は虚軸に平行です.一回反転してみると以下の図のようになります.

反転❷ 反転❷
 明らかに実軸対称ですから,これが答えとなります.

参考文献

投稿日:2023413
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pqr_mgh
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  1. 反転について
  2. 複素数平面上の反転
  3. 問題
  4. 解法
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