シリーズ: https://mathlog.info/series/43CvaRaDjGcofw1p9p30
$R$: 環
$M$: $R$-加群
このとき、$K(M)$を$M$の部分加群全体の集合とすると、$\cap$を$\wedge$、$+$を$\vee$として、$K(M)$は代数的モジュラー束になる。
略
$R$: 環
$L, M$: $R$-加群
$h: L \to M$: $R$-準同型
このとき、
$h_*: K(L) \to K(M); \ X \mapsto h(X)$
$h^*: K(M) \to K(L); \ Y \mapsto h^{-1}(Y)$
とおくと、$K(h) := (h_*, h^*)$は$K(L)$から$K(M)$への準同型であり、$\ker(K(h)) = \ker(h), \ \im(K(h)) = \im(h)$である。
[示すこと: $K(h)$はGalois接続である]
$\i$$X \in K(L), \ Y \in K(M)$を任意に取る。
$\i$$h(X) \le Y \iff X \le h^{-1}(Y)$は像・逆像の基本性質そのものである。
[示すこと: 正則性]
$\i$[示すこと: $h^*h_*(X) = X \vee \ker(h)$]
$\ii$[$\supset$]
$\iii$$X \subset h^{-1}(h(X))$は明らか。
$\iii$$k \in \ker(h), \ x \in X$のとき、$h(x+k) = h(x) \in h(X)$だから$x+k \in h^{-1}(h(X))$
$\iii$ゆえに$X+ \ker(h) \subset h^{-1}(h(X))$
$\ii$[$\subset$]
$\iii$$a \in h^{-1}(h(X))$を取る。
$\iii$$h(a) = h(x)$なる$x \in X$が存在し、$h(a-x) = 0$だから$a-x \in \ker(h)$
$\iii$したがって$a = x+(a-x) \in X+ \ker(h)$
$\i$[示すこと: $h_*h^*(Y) = Y \wedge \im(h)$]
$\ii$[$\subset$]
$\iii$$h(h^{-1}(Y)) \subset Y$かつ$\subset \im(h)$は明らか。
$\ii$[$\supset$]
$\iii$$y \in Y \cap \im(h)$を取る。
$\iii$$y = h(a)$なる$a \in L$が存在し、$y \in Y$より$a \in h^{-1}(Y)$
$\iii$したがって$y = h(a) \in h(h^{-1}(Y))$
[示すこと: $\ker(K(h)) = \ker(h), \ \im(K(h)) = \im(h)$]
$\i$$\ker(K(h)) = h^*(0) = h^{-1}(0) = \ker(h)$
$\i$$\im(K(h)) = h_*(L) = h(L) = \im(h)$
$R$: 環
$L, M, N$: $R$-加群
$f: L \to M, \ g: M \to N$: $R$-準同型
このとき、$K(\id_L) = \Id_{K(L)}$であり、$K(g \circ f) = K(g) \circ K(f)$である。
[示すこと: $K(\id_L) = \Id_{K(L)}$]
$\i$$(\id_L)_*(X) = \id_L(X) = X$、$(\id_L)^*(X) = \id_L^{-1}(X) = X$より明らか。
[示すこと: $K(g \circ f) = K(g) \circ K(f)$]
$\i$$X \in K(L)$を任意に取る。
$\i$$(g \circ f)_*(X) = (g \circ f)(X) = g(f(X)) = g_*(f_*(X)) = (g_* \circ f_*)(X)$
$\i$$Z \in K(N)$を任意に取る。
$\i$$(g \circ f)^*(Z) = (g \circ f)^{-1}(Z) = f^{-1}(g^{-1}(Z)) = f^*(g^*(Z)) = (f^* \circ g^*)(Z)$
$\i$したがって$K(g \circ f) = ((g \circ f)_*, (g \circ f)^*) = (g_* \circ f_*, \ f^* \circ g^*) = K(g) \circ K(f)$
これらより$K$は$R$-加群の圏から有界モジュラー束の圏への関手であることが分かる。
$R$: 環
$L, M, N$: $R$-加群
$f: L \to M, \ g: M \to N$: $R$-準同型
このとき、以下は同値。
$\im(K(f)) = \im(f)$
$\ker(K(g)) = \ker(g)$
よって、$\im(f) = \ker(g) \iff \im(K(f)) = \ker(K(g))$
ゆえに、加群の列が $M$ で完全であることと、束の列が $K(M)$ で完全であることは同値である。
$R$: 環
$L, M, N$: $R$-加群
$f: L \to M, g: M \to N$: $R$-準同型
このとき、以下は同値。
[上 $\Rightarrow$ 下]
$\i$加群の短完全列が分裂するため、ある $R$-準同型 $s: M \to L$ が存在して $s \circ f = \id_L$ となる。
$\i$$K$ の性質(合成と恒等の保存)より、
$\ii$$K(s) \circ K(f) = K(s \circ f) = K(\id_L) = \Id_{K(L)}$
$\i$これは束の準同型 $K(s) : K(M) \to K(L)$ がレトラクションであることを意味するので、
$\i$束の短完全列も分裂する。
[上 $\Leftarrow$ 下]
$\i$束の短完全列が分裂するため、ある $X \in K(M)$ が存在して
$\ii$$X \wedge \im(K(f)) = 0_{K(M)} \quad \text{かつ} \quad X \vee \im(K(f)) = 1_{K(M)}$
$\i$$\im(K(f)) = \im(f)$ より、これは $X \cap \im(f) = 0$ かつ $X + \im(f) = M$
$\i$すなわち内部直和分解 $M = X \boxplus \im(f)$ を意味する。
$\i$$\im(f) = \ker(g)$ であるから、制限写像 $g|_X : X \to N$ を考えると、
$\ii$$\ker(g|_X) = X \cap \ker(g) = X \cap \im(f) = 0$
$\ii$$\im(g|_X) = g(X) = g(X + \ker(g)) = g(M) = N$
$\i$より $g|_X$ は加群の同型である。
$\i$$t := (g|_X)^{-1} : N \to X \hookrightarrow M$ とおくと、
$\i$$t$ は $R$-準同型であり $g \circ t = \id_N$(セクション)を満たす。
$\i$したがって、加群の短完全列は分裂する。
割とゴリ押しなのできれいな証明が見つかれば嬉しい。