s,tが自然数であるとき、偶数の一般項の数列は以下のように表せると推測しました。
a=2^s×(2t-1) ・・・(*1)
連続する偶数のsとtの値
表に、縦に偶数の値、横にsの値をとると、tの値は表のようになります。
tの値が順に規則的に現れています。
この規則性が、偶数を大きくしていってもずっと続くことを証明できれば、もれも重複もないことがわかりそうです。
よって、この式で、正の偶数をもれも重複もなく表わせることを数学的帰納法を用いて証明したいと思います。
(i)Base case:
偶数2から18まで、(*1)の式に適するsとtの値を代入すると、
s=1,t=1のときa=2^1×(2×1-1)=2
s=2,t=1のときa=2^2×(2×1-1)=4
s=1,t=2のときa=2^1×(2×2-1)=6
s=3,t=1のときa=2^3×(2×1-1)=8
s=1,t=3のときa=2^1×(2×3-1)=10
s=2,t=2のときa=2^2×(2×2-1)=12
s=1,t=4のときa=2^1×(2×4-1)=14
s=4,t=1のときa=2^4×(2×1-1)=16
s=1,t=5のときa=2^1×(2×5-1)=18
のように求められる。
(ii)Induction step:
連続する偶数をa,a'とすると、 a'=a+2である。
[1]s=1 つまりa=4t-2のとき、t=2k-1で (*1) が成り立つと仮定すると、
a'=4(2k-1)-2+2=8k-4
s=2のときa=8t-4なので、次の偶数a'はs=2 の値をとり(*1) が成り立つ。
[2]s=2つまり a=8t-4のとき、t=kで(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=8k-4+2=4×2k-2
s=1のときa=4t-2なので、次の偶数a'はs= 1の値をとり(*1) が成り立つ。
[3]s=1 つまり a=4t-2のとき、t=4k-2で(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=4(4k-2)-2+2=16k-8
s=3のときa=16t-8なので、次の偶数a'はs= 3の値をとり(*1) が成り立つ。
[4]s=3 つまり a=16t-8, のとき、t=kで(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=16k-8+2=16k-6=4(4k-1)-2
s=1のときa=4t-2なので、次の偶数a'はs=1 の値をとり(*1) が成り立つ。
[5]s=1 つまり a=4t-2, のとき、t=2k+1で(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=4(2k-1)-2+2=8k-4
s=2のときa=8t-4なので、次の偶数a'はs=2 の値をとり(*1) が成り立つ。
[6]s=2 つまり a=8t-4, のとき、t=kで(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=8k-4+2=4×2k-2
s=1のときa=4t-2なので、次の偶数a'はs=1 の値をとり(*1) が成り立つ。
[7]s=1 つまり a=4t-2, のとき、t=4kで(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=4×4k-2+2=16k=2^4×k
s≥4のときaは16の倍数になるので、次の偶数a'はs≥4で16の倍数をとり(*1) が成り立つ。
[8]s≥4のとき、t=16kで(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=16k+2=4(4k+1)-2
s=1のときa=4t-2なので、次の偶数a'はs=1 の値をとり(*1) が成り立つ。
[9]s=1 つまり a=4t-2,のとき、t=2k-1で(*1) が成り立つと仮定すると、
a'=4(2k-1)-2+2=8k-4
s=2のときa=8t-4なので、次の偶数a'はs=2 の値をとり(*1) が成り立つ。
したがって [1]が成り立つと仮定すると、[2] から [9] までで (*1)の式が成り立つ。
ゆえに、数学的帰納法により、連続する正の偶数において(*1)の式が成り立つ。
正の奇数においても、同様に奇数16個ずつでパターンがあり、正の奇数を表わせる一般項の式が成立することを、数学的帰納法によって証明できます。
これらの証明は、
こちらの書籍の附録ノート
に記述しています。