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JMO2024予選6を詳しく解説(for beginners)

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こんにちは.今回は,初心者向けにJMO2024予選6の解説をしたいと思います.幾何を解くうえで大事なテクニックが凝縮されている問題なので,解いてない人は一度自力で挑戦してみましょう.

JMO2024予選 6

$AB=AC=5$なる二等辺三角形$ABC$の辺$AB$上に$AD=3$をみたす点$D$が,辺$BC$上(端点を除く)に点$E$がある.点$E$を通り直線$AB$に点$B$で接する円を$\omega$とすると,$\omega$は三角形$ADE$の外接円に接した.$\omega$と直線$AE$の交点のうち$E$でない方を$F$とすると,$CF=10$が成り立った.このとき,辺$BC$の長さを求めよ.ただし,$XY$で線分$XY$の長さを表すものとする.







さて解説です.

図を書く

 まずは,ざっくりでいいので図を書いてみましょう.めちゃくちゃ正確な図は書かなくていいです(書けるに越したことはないですが,難しいことも多いです).
!FORMULA[21][610651489][0](図作るのむずかしい...) $fig.1$(図作るのむずかしい...)

考察

 図が書けたら,問題の考察に入ります.ぱっと見接するという条件がだいぶ奇妙です.そして見えることがあまりないです.私も試験本番は,初手が見えずにかなり焦っていました.さて,困ったしまったので,ここで原則に戻ってみます.

鉄則$1$.相似,共円を探せ

 ということで,相似や共円を探してみましょう.$\angle{ABC}=\angle{ACB}=\theta$とおいて,angle-chase(角度追跡)をしてみます.接するという条件を使わないといけなさそうです.問題文より,直線$AB$が点$B$$\omega$に接することがわかるので,接弦定理(もしくは,$\triangle ABE$$\triangle AFB$の相似)より$\angle{AFB}=\theta$となります.よって,円周角の定理の逆より,$4$$A,B,F,C$は共円(同一円周上)であるとわかります.これはとても大きな進捗です.$4$$A,B,F,C$が共円であるということは,$\triangle ABE$$\triangle CFE$は相似です.その相似比は,$AB:CF=1:2$となります.よって,$EB:EF=EA:EC=1:2$となります.だいぶ長さの関係がわかってきました.あとは,$EB$$EC$の関係がわかればよさそうです.しかし,このまま考えていてもなかなか見えません.何か使っていない条件はないでしょうか?そうです.$\omega$と三角形$ADE$の外接円が接する条件を使っていません.これを考えてみましょう.ここで,$2$つ目の鉄則.

鉄則$2$.$2$円が接するときは,接点における共通接線を考えよ.

 点$E$における接線$l$を引いてみましょう.$l$と直線$AB$の交点を$T$とおきます.すると,$TB,TE$はともに$\omega$への接線となっているので,$TB=TE(=x)$となります.さらに,$\triangle{ADE}$の外接円に方べきの定理を使うことができそうです.使ってみると,
$$TE^2=TD\cdot TA$$
となるので,
$$x^2=(2-x)(5-x)$$
が成り立ちます.よって,$x=\dfrac{10}{7}$となります.いい感じですね.
 ここで,$TB=TE$であったことを思い出しましょう.つまり,$\triangle{TBE}$は二等辺三角形です.なので,$\triangle{TBE}$$\triangle ABC$は相似です.ここまでくれば$EB$$EC$の関係がわかります.$BE:BC=BT:BA=\dfrac{10}{7}:5=2:7$より,$EB:EC=2:5$がわかりました.
 あともう一息です.ここまでで得た結論をまとめてみましょう.

  1. $4$$A,B,C,F$は共円.
  2. $EB:EF=EA:EC=1:2$
  3. $EB:EC=2:5$
     2と3より,$EB=4x$とおくと,$EF=8x,EC=10x,EA=5x$となります.さらに,$\triangle BFE$$\triangle ACE$は相似なので,$BF=AC\times\dfrac45=4$となります.これで,登場するすべての線分の長さを表すことができました.あとは,$x$を求めれば勝利です.最後に,共円と長さを結びつけるあの定理を使います.
トレミー(Ptolemy)の定理

円に内接する四角形$ABCD$において,$AB\cdot CD+AD\cdot BC=AC\cdot BD$が成立する.

 これより,以下の式が成り立ちます.
$$AC\cdot BF+AB\cdot CF=AF\cdot BC$$
 長さを代入すると,
$$5\cdot4+5\cdot10=13x\cdot14x$$
 よって,$x=\dfrac{\sqrt{65}}{13}$を得ます.求めるべきは$BC=14x$なので,答えは$\dfrac{14\sqrt{65}}{13}$です.

!FORMULA[82][610651520][0] $fig.2$

まとめ

 かなり詳しめに解説をしましたが,どうだったでしょうか.詰まったら共円を疑う.円が接しているときは接線を考える.などの考え方は非常に重要です.また,OMCやJMOのような求値問題では,長さを扱う公式であるトレミーの定理は必須知識と言っていいでしょう.知らなかった方はぜひ覚えてみてください.
 また,今後も初心者向けに,詳しい解説を出していこうと考えています.一定層は幾何を敬遠しがちという話を聞いたことがありますが,少なくともJMOレベルであれば,原則をしっかり理解できていれば解けることが多いです.頑張ってください.

投稿日:110
更新日:325

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投稿者

Furina
Furina
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OMCer(橙)です。気づいたこととか書きます。

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