1

クロネッカーのデルタの交代二項係数和による表示とその利用

169
1

クロネッカーのデルタを
δij={1(i=j)0(ij)
とする。このとき、整数n,kに対して、次の表示が存在する。

クロネッカーのデルタの交代二項係数による表示

δnk=j=0nk(nk+j)(k+jj)(1)j

但し、nk<0の場合は空和(=0)とする。
また、簡単のため、mn+1,m1なる整数mについて、
(nm)=0とする。
コメント欄の TKSS 氏の証明が非常に簡潔ですので、そちらの方を参照してください。私のオリジナルの証明はたたんでおきます。

証明
In,k=j=0nk(nk+j)(k+jj)(1)j
とする。
In,n=j=00(nn)(n0)=1
In,0=j=0n(nj)(jj)(1)j=j=0n(nj)(1)j=(11)n=0
である。
ここで、
In,kIn,k1=j=0nk(nk+j)(k+jj)(1)jj=0nk+1(nk1+j)(k1+jj)(1)j=j=0nk(nk+j)(k+jj)(1)j+i=1nk(nk+i)(k+ii+1)(1)j(j1i)=j=0nk(nk+j)(k+jj)(1)j+j=0nk(nk+j)(k+jj+1)(1)j(nk1)(k10)=j=0nk(nk+j)((k+jj)+(k+jj+1))(1)j(nk1)(k10)=j=0nk(nk+j)(k+j+1j+1)(1)j(nk1)(k0)=j=1nk(nk+j)(k+j+1j+1)(1)j=i=0nk+1(nk+i1)(k+ii)(1)i(j+1i)
また、
j=0nk+1(nk+j)(k+jj)(1)j=In,k+(nn+1)(n+1nk+1)(1)nk+1=In,k
であるので、2式を引いて、
(In,kIn,k1)+In,k=i=0nk+1(nk+i1)(k+ii)(1)i+j=0nk+1(nk+j)(k+jj)(1)j=j=0nk+1((nk+j1)+(nk+j))(k+jj)(1)j=j=0n+1k(n+1k+j)(k+jj)(1)j=In+1,k
以上から、
In+1,k=In,k1
これより、帰納的に
In,k=δnk
であることが分かる。

利用

次の命題を示す。

数列{an},{bn}、およびcを定数、nを任意の非負整数とすると、
bn=k=0n(nk)(1)kankckan=k=0n(nk)bkcnk

(の証明)
与えられた式より、
k=0n(nk)bkcnk=k=0n(nk)cnkj=0k(kj)(1)jakjcj=(n0)cn((00)a0c0)+(n1)cn1((10)a1c0(11)a0c1)+(n2)cn2((20)a2c0(21)a1c1+(22)a0c2)+=a0cn((n0)(00)(n1)(11)+(n2)(22)+(1)n(nn)(nn))+a1cn1((n1)(10)(n2)(21)++(1)n1(nn)(nn1))+a2cn2((n2)(20)(n3)(31)++(1)n2(nn)(nn2))+=k=0nakcnkj=0nk(nk+j)(k+jj)(1)j=k=0nakcnkδnk=an
(の証明)
c=dとする。このとき、
an=k=0n(nk)bkcnkan=k=0n(nk)bk(1)nkdnkan=k=0n(nnk)(1)kbnkdk(knk)an=k=0n(nk)(1)kbnkdk
また、
bn=k=0n(nk)(1)kankckbn=k=0n(nk)ankdkbn=k=0n(nnk)akdnk(knk)bn=k=0n(nk)akdnk
であるから、
an=k=0n(nk)bkcnkbn=k=0n(nk)(1)kankck
を示すには
an=k=0n(nk)(1)kbnkdkbn=k=0n(nk)akdnk
を示せばよい。これは(の証明)の{an},{bn}を入れ替え、cdとしたものに等しいから、成立する。
以上より、
bn=k=0n(nk)(1)kankckan=k=0n(nk)bkcnk
である。

次回の記事で使います。

投稿日:38
更新日:38
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

n=1 帰納法の失敗

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中