はじめに
はじめまして、高3のぱぺです。
これまでに幾つかの数学記事をNoteに掲載していました。TeXはこれまで触ったことがなく、NoteではTeXを使えないので、TeXに慣れるために今回初めてMathlogを使うことにしました。
本題
今回は、二次曲線の極方程式を直交座標に関する方程式に直す際の答案を考えます。
問題
問:次の極方程式で表された曲線を、直交座標に関する方程式で表せ。
(1)
(2)
(3)
これらを、同値性を重視してそれぞれ考えましょう。
同値性を重視した解答を作るにあたって
問題を解く前に、同値性を保った式変形に重要なものをまとめておきましょう。
座標表記 (便宜上)
各座標系における点の座標の表記を
極座標系 :
直交座標系 :
とする。
まず、極座標の性質と、極座標系と直交座標系の関係を見ておきます。
極座標系の性質・極座標系と直交座標系の関係
点と点 が一致するとき、
はを用いて次のように表される。
ここから を導ける
点の一致
- 点と点は一致する。
- 点と点は一致する。
同じ点が同じ方程式によって描く図形は同じであることから、次のことが言えます。
図形の一致
点と点 が一致するとする。
また、はともに変数関数とする。
[1] 方程式 と方程式は同じ図形を表す。
[2] 方程式 と方程式は同じ図形を表す。
また、以下のことを用いることで答案を作っていきます。
有効な変形・論理展開
- 同値な式変形
- [図形の一致]
- (点の)集合について
- 「 ならば 」
- 「 ならば 」
– ともにグラフの合成に用いる
問題を解く際の注意
また、極方程式においては注意が必要なこともあります。
注意
・極方程式においてはとなることもありうるため、
とすることは禁物です。
・,と,は、基本は同時に変換することをお勧めします。
両辺を倍すること ー問題1
次の極方程式で表された曲線を、直交座標に関する方程式で表せ。
問題集などにある解答
問題集:
両辺にをかけて
整理して
従って、求める方程式は
(なお補足で「であるが存在するから両辺倍できる」と記述のあるものもある)
この解答で気になるところは、補足にもあるとおり「となるが存在するかどうかを言っていない」ことですね。
たとえば、について考えましょう。
意味はないですが、仮にここで両辺倍することを考えます。
ここで、 となります。
でとすると、となり、これを満たすは存在しません。そのためグラフは原点を含みません。
しかしはグラフにを満たす原点を含むため、何らかの方法でのグラフを描けたとしても、このままではのグラフを描いたことになりません。
同じように、両辺に同じ式をかける操作には注意が必要となります。
ということで、以下ポイントです。
問題1の「両辺を倍する」場合
・具体的なの値を提示
※できない場合は両辺倍しない
・である場合とである場合で場合分け
のいずれかをすればよい。
解答1-1
まずは前者「具体的なの値を提示」で答案を作ります。
解答1-1
とすると
従って、となる実数は存在するから、
したがって、と、の両辺を倍した が表すグラフは同じである。
のグラフについて整理すると
よって、が表すグラフは円
また、とは同じグラフを表すから、
が表すグラフは円
補足
において
は原点グラフを含むため、
「」を「」と「」のグラフの合成と考えています。
解答1-2
次に後者「である場合とである場合で場合分け」で答案を作ります。
解答1-2
となる実数は存在するため、のグラフは原点を含む。
のとき、の両辺倍して
よって、で表される部分は、原点を除く円
より、が表すグラフは円
両辺を2乗すること -問題2,3
問題2
次の極方程式で表された曲線を、直交座標に関する方程式で表せ。
問題集などにある解答
問題集:
分母を払って整理して
であるから、
両辺を2乗して
従って、求める方程式は
ここで気になる部分はここでしょう。
そう、両辺を2乗すること。
考察
どうにかしての形にしたいので、必要十分になるようにについて考えてみます。
すると、下段のようになります。
これは で を,をにしたものであるため、描く図形はと一致します。
なぜならば、 は「点 が曲線 上を動いてできる図形」であると考えられるからです。
点は点 に一致することを考えれば、このつは同じ図形であると考えられるでしょう。(図形の一致[2])
これをもとにしてこのように書いてみます。
解答2
解答2
与えられた方程式を整理して
ここで、でを,をとして整理した
はと同じグラフである。
また、つのグラフ,をあわせた
のグラフはと同じである。
ここで、を整理して
したがって、が表すグラフは楕円
とは同じグラフであるから、
,すなわち が表すグラフは楕円
,を「」の形に直せば、つのグラフ を合わせたグラフは
(数I,IIあたりより)
を用いてと表されます。
これを使うことでより論理展開のわかりやすい答案になるでしょう。
問題3
次の極方程式で表された曲線を、直交座標に関する方程式で表せ。
問題集などにある解答
問題集:
分母を払って整理して
であるから
両辺を2乗して
従って、求める方程式は
これも(2)と同じようにすればよいでしょう。
ちなみに、この問題に関しては先述の[注意]にあったようにとして計算するのは禁物です。
なぜでしょうか。
との違い
すべてのについて であるから、
すなわち のとき
すなわち のとき
そう、ではである場合があるためとおいてはいけないのです。
まあ、そこは置いておきましょう。以下答案です。
解答3
解答3
与えられた方程式を整理して
ここで、でを,をとして整理した
はと同じグラフである。
また、つのグラフ,をあわせた
のグラフはと同じである。
ここで、を整理して
したがって、が表すグラフは双曲線
とは同じグラフであるから、
,すなわち が表すグラフは双曲線
あとがき
いかがでしたでしょうか。
(2)(3)の両辺二乗については学校の授業でちらっと言われていたような気がしなくもないのですけど。とりあえず、同値性云々は時々気になってしまうので、それを解決する答案を作れて今は満足しています。
またTeXを使うときはこちらに投稿していこうかと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
まあもう高3なので頻度はかなり低いと思いますが。
では、また次回。
※なおこれを書くのにほぼ丸一日ほどかかりました。
2025年5月25日(日) 22:00
最終編集:2025年5月27日(火) 17:00