やあ、はたまた記事を投稿する理科大二年の前頭葉です.
今回の記事はグラフのGalois理論についてですが,私も完全に理解しているわけではないので,まあまあ,いい加減な内容になっているかもしれないのでご了承ください(割と今回は気分的にフランクに書きますので).
詳しく知りたい方はTerrasの「Zeta functions for graphs」とかを読んでください.
まあ,グラフといえば, 多くの本で点の集合と辺の集合の対のことっていう定義が採用されてると思うんですけど,この定義だと個人的にグラフの被覆の定義がしづらいので, 再定義していきたいと思います.
グラフとは点の集合$V$,辺の集合$E$と
写像$inc$:$E\ni e\mapsto(o(e),t(o))\in V×V$$(o(e)$は辺$e$の始点,$t(e)$は終点)
写像$inv$:$E\ni e\mapsto inv(e)\in E$$ (o(e)=t(inv(e)),t(e)=o(inv(o)))$
の組$ (V,E,inc,inv)$である.
有向グラフを考えるときはinv抜きで考えます.
まあ,有向辺による無向グラフの定義なのでわかると思いますが...
次にグラフの射の定義をしていきます.
グラフ$X=(V_1,E_1)$,$Y=(V_2,E_2)$に対して,射$f:X→Y$とは,
写像$f_V:V_1→V_2$,$f_E:E_1→E_2$の組$f=(f_V,f_E)$であり,以下の条件を満たすものである.
・$o(f_E(e))=f_V(o(e)),t(f_E(e))=f_V(t(e)),inv(f_E(e))=f_E(inv(e)) $
また,射$f$が逆射$f^{-1}=(f_{V}^{-1},f_{E}^{-1})$をもつとき,同型射という.
次にグラフの被覆の定義について述べる.
$X=(V,E),X_0=(V_0,E_0)$を連結グラフとしする.
このとき, 射$f:X→X_0$が以下の条件を満たすとき,被覆写像であるという.
1.写像$f_V:V→V_0$,$f_E:E→E_0$は全射.
2.任意の$x\in V$に対して,$f_E$の$E_x$($E_x$={$e\in E:o(e)=x$})の
制限$f_E|E_x:E_x→E_{0,f(x)}$は全単射.
このとき,グラフ$X$を$X_0$の被覆グラフといい, $X/X_0$と表す.
また,任意の$x\in V$に対して,$|f^{-1}(x)|=d$ ($d$は正の整数)であるとき,$f$を$d$-sheet被覆写像という.
次にGalois被覆を定義していく.
$Y/X$を$d-sheet$被覆とし,その$d-sheet$被覆写像を$f$とする.
このとき,$Y/X$がGalois被覆であるとは,
|$G(Y/X)=${$\sigma\in AutY:f\circ\sigma=f$}|=$d$ となること.
$G(Y/X)$を$Y/X$のGalois群という.
次に中間被覆について定義する.
$Y/X$を被覆とし,その被覆写像を$f$とする.
$Y/X$の中間被覆$X^*$とは,グラフ$X^*$と写像$f_1$と$f_2$の組$(X^*,f_1,f_2)$であり,以下の条件を満たすものである.
・$Y/X^*$,$X^*/X$は被覆グラフであり,被覆写像$f_1$:$Y→X^*$,$f_2$:$X^*→X$は$f_{1}\circ f_{2}=f$を満たす.
次に被覆同型射を定義する.
$(X^*,f_1,f_2)$,$(X'^*,f'_1,f'_2)$を$Y/X$の中間被覆とする.
また,射$i$:$X^*→X'^*$を同型射とする.
このとき,$f_1=i\circ f'_1$を満たすとき$i$を被覆同型射といい,$(X^*,f_1,f_2)と(X'^*,f'_1,f'_2)$は被覆同型という.
さらに,$i\circ f_2=f'_2$を満たすとき,$(X^*,f_1,f_2)と(X'^*,f'_1,f'_2)$は等しいという.
次にGaloisの基本定理の主張を述べる.
$Y/X$をGalois被覆とし,$G=G(Y/X)$を$Y/X$のGalosi群とする.
(1)$H$を$G$の部分群する.このとき,$H=G(Y/X^*)$となるような
$Y/X$の中間被覆$X^*$が存在する.
以下,このような$X^*$を$X^*(H)$と表すことにする.
(2)$X^*$を$Y/X$の中間被覆とする.
このとき,$G$の部分群$H$=$H(X^*)$で$G(Y/X^*)$と等しいものが存在する.
(3)中間被覆グラフ$X^*とX'^*$が等しいことと,$H(X^*)$=$H(X'^*)$であることは同値.
(4)$H(X^*(H))=H,X^*(H(X^*))=X^*$である.
以下,この対応を$X^*\leftrightarrow H$と書く.
(5)①$X_1^*\leftrightarrow H_1$,$X_2^*\leftrightarrow H_2$$\Longrightarrow$$X_1^*$は$Y/X_2^*$の中間被覆である.
②$H_1 \subset H_2$
①と②は同値である.
まあ,以上で今回の記事は終了ですが,間違いがあれば教えてください.
また,Galoisの基本定理の証明はまた,別の機会に記事を書こうと思います.
ご拝読ありがとうございました.