こんにちは。浪人しています。数学的に厳密でない操作を多用するので、悪しからず。自分で見つけた、または面白いと思った級数、広義積分の導出をつらつら書いていきます。
第一回目としまして、$\displaystyle{ {\int_{0}^{\infty} \frac {\ln(t)} {1+(xt)^{2}} dt } = \frac {-\pi\ln(x))} {2x}}$ にします。
この等式の興味深い点は、やはり対数関数が絡む積分で、円周率$\pi$が登場するところですね。オイラーの等式しかり、隠された繋がりが顕わになる気持ちよさがあります。
では、いきましょう。
\begin{align}
&\displaystyle{I = \int_{0}^{\infty} \frac {\ln(t)} {1+(xt)^2}}と定義します。xt = uと置換すると、dt = \frac {1} {x} duですから、
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&\displaystyle{I = \int_{0}^{\infty}{\frac {\ln(u/x)} {1+u^{2}} \frac {1} {x} du}}~=~\frac {1} {x}\int_{0}^{\infty}{\frac {\ln(u)-\ln(x)} {1+u^{2}} du} = \frac {1} {x} \int_{0}^{\infty}\frac {\ln(u)} {1+u^{2}} du - \frac {\ln(x)} {x} \int_{0}^{\infty} \frac {du} {1+u^{2}} ~~となります。
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&ここで、これら二つの広義積分の値を求めていきます。
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&I_1 = \int_{0}^{\infty} \frac {\ln(u)} {1+u^{2}} du~, I_2 = \int_{0}^{\infty} \frac {du} {1+u^2}とします。 I = \frac 1 x I_1-\frac {\ln(x)} x I_2です。\cdots(*)
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&I_1 について、積分範囲を(0,1]と[1,\infty)の二つに分けます。前者をI_{1,1}後者をI_{1,2} とでもしましょう。
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&つまり、
I_{1,1} = \int_{0}^{1} \frac {\ln(u)} {1+u^{2}} du~,I_{1,2} = \int_{1}^{\infty} \frac {\ln(u)} {1+u^{2}} duです。
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&さて、I_{1,1}について、u=\frac 1 v と置換します。du = -\frac {1} {v^{2}} dv で、積分範囲はu:0 \rightarrow 1 でv: \infty \rightarrow 1 です。(uは0に右から近づけるので、vは正の無限大に発散。)
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&よって、I_{1,1}=\int_{\infty}^{1}\frac {\ln(1/v)} {1+(1/v)^{2}}\cdot \frac {-1} {v^{2}}dv = \int_{\infty}^{1}\frac {\ln(v)} {1+v^{2}}dv = -\int_{1}^{\infty}\frac {\ln(v)} {1+v^{2}}dv です。ところで、これはI_{1,2}の符号を逆転したものに等しいようです。
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&つまり、I_{1} = I_{1,1} + I_{1,2} = -I_{1,2} +I_{1,2} =0です。(※厳密には、I_{1,2}が有限値に収束することを示す必要がありますが、それは最後に触れます。)
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&また、I_2については、x=tan\theta とでも置換してやれば、簡単にI_2 = \frac \pi 2であることが分かります。
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&よって、(*)より、I = \frac {1} {x} I_1 - \frac {\ln(x)} {x} I_2 =\frac {1} {x} \cdot 0 - \frac {\ln(x)} {x} \cdot \frac \pi 2 = - \frac {-\pi\ln(x)} {2x} と示されました。
\end{align}
こんな感じでやっていきます。記す級数、積分のほとんどは特に使い道もありません。それでも、doodlingの最中に、見知った数たちが現れるのは嬉しいのです。
(おまけ)
\begin{align}
&途中の式に登場したI_{1,1} = \int_{0}^{1}\frac {\ln(u)} {1+u^{2}} duですが、この積分は一体どのような値になるのでしょうか。
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&それを知るために、等比級数公式\sum_{n=0}^{\infty}x^{n} = \frac {1} {1-x} ~~(|x|<1) を用います。
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&\int_{0}^{1}\frac {\ln(u)} {1+u^{2}} du = \int_{0}^{1} \ln(u)\sum_{n=0}^{\infty}(-u^{2})^{n} = \sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}\int_{0}^{1}\ln(u)u^{2n}du ~~(この交換も厳密ではありません)
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&=\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}( [ \frac {u^{2n+1}\ln(u)} {2n+1} ]^{1}_{0} - \int_{0}^{1} \frac {u^{2n+1}} {2n+1} \cdot \frac 1 u du )
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&=\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n+1}\frac {1} {(2n+1)^2} ~~(\because \lim_{\epsilon \rightarrow 0}u^{2n+1}\ln(u) =0,\int_{0}^{1}u^{2n}du=\frac {1} {2n+1})
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&=-\sum_{n=0}^{\infty} \frac {(-1)^{n}} {(2n+1)^2} =-(\frac {1} {1^2} - \frac 1 {3^2} + \frac 1 {5^{2}} - \frac 1 {7^2} + \cdots)
\newline
&=-G~~(Gはカタランの定数)
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&カタランの定数とは、\newline\newline
&> 数学において、カタランの定数 G(カタランのていすう、英語: Catalan's~constant)とは、\newline&ディリクレベータ函数 β を用いて以下のように定義される定数である。\newline
&𝐺=𝛽(2)=\sum_{n=0}^{\infty} \frac {(-1)^{n}} {(2n+1)^2}=\frac {1} {1^2} - \frac 1 {3^2} + \frac 1 {5^{2}} - \frac 1 {7^2} + \frac 1 {9^2} -\cdots,\newline&
その数値[1]はおよそ
G = 0.915965594177219015054603514932384110774…
とされる(オンライン整数列大辞典の数列 A006752)。\newline&
G が無理数・超越数なのかは未だに分かっていない[2]。\newline&G は「無理数や超越数であるかどうかが(そうであると強く推測されながらも)今だ明らかでない最も基礎的な定数」だと言われている[3]。\newline&
カタランの定数は、級数の数値計算のために素早く収束する級数を発見し[4]、1865年にその回顧録を出版したウジェーヌ・カタランに因んで名付けられた[5]。
\newline\newline
&というような数です。非常に単純な級数なのに、無理数かどうか分かっていないのは直観と反しますね。いつの日か証明がなされることを期待しています。
\end{align}