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Crazy Ant Problem

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Crazy Ant Problem とは

THE CRAZY ANT PROBLEM

Crazy Ant Problem とは座標平面の原点にいるアリがx軸方向に1進んで反時計回りに60度回転し、次に12進んで同じだけ回転し、同様に13進んで回転、14進んで回転……と無限に続けたときのゴールの座標を求める問題です。

CrazyAnt CrazyAnt

 複素数平面と、複素数版の対数関数のマクローリン展開(下記)を使うことでこの問題を解くことができます。しかも、回転角度が何度であっても計算できます。以下では回転角度を θ としてゴールの座標を求めます。複素数の対数関数は多価関数になりますが、ここでは主値のみを考えればよいので以下では主値を用います。

対数関数のマクローリン展開

log(1x)=n=1xnn

複素数平面上で考えた場合のアリのゴールの位置を P とすると、(PC)
    P=n=1ei(n1)θn=eiθn=1einθn=eiθlog(1eiθ)=eiθ(log|1eiθ|+iarg(1eiθ))=(cosθisinθ)(log2+log|sinθ2|+i(θπ2))=(πθ2sinθcosθ(log2+log|sinθ2|))+i((log2+log|sinθ2|)sinθ+πθ2cosθ)

したがって、x,y座標平面上で表すとアリのゴールは
        ((πθ2sinθcosθ(log2+log|sinθ2|)),((log2+log|sinθ2|)sinθ+πθ2cosθ))
となります。

たとえば、θ=π3 のときはアリのゴールは (3π6,π6) となります。

Crazy Ant Problem の答え

つまり、最初の Crazy Ant Problem の答えは (3π6,π6)ということです。

また、回転する角度が90度、つまり θ=π2 のときは、 (π4,ln22) に、回転する角度が180度、つまり θ=π のときは、 (ln2,0) にそれぞれ収束することがわかります。なんだか神秘的ですね!

CrazyAntAns CrazyAntAns

フーリエ級数との関係

ところで、フーリエ級数というものがあります。簡単に言うと、関数をサイン波とコサイン波の和として表すというものです。こんな感じです。(f(x)は周期2πの周期関数)

f(x)=a02+k=1(akcoskx+bksinkx)

ここであらためて、Crazy Ant Problem の収束先のx座標とy座標を表す式を級数の形に書き直してみましょう。

x座標
        (πθ2sinθ(log2+log|sinθ2|)cosθ)=1+k=1coskθk+1

y座標
        (πθ2cosθ+(log2+log|sinθ2|)sinθ)=0+k=1sinkθk+1

おや?なんだかフーリエ級数の式とそっくりですね!実際、左辺をフーリエ級数展開したものが右辺だと解釈することが可能です。
x座標の方は{a0,a1,a2,}={2,12,13,14,},{b1,b2,b3}={0,0,0,}としてやればいいですし、y座標の方は{a0,a1,a2,}={0,0,0,0,},{b1,b2,b3,}={12,13,14,}としてやればいいですね。

フーリエ級数の係数を求める式で積分を作る

フーリエ級数の係数はこんな式で計算することができます。

an=1π02πf(t)cosntdt,(n=0,1,2,3,)bn=1π02πf(t)sinntdt,(n=1,2,3,)

先ほどの級数にこの式を適用することで、こんな式が得られます。

        1π02π(πθ2sinθ(log2+log|sinθ2|)cosθ)cos(nθ)dθ=1n+1(n=1,2,3,)

        1π02π(πθ2cosθ+(log2+log|sinθ2|)sinθ)sin(nθ)dθ=1n+1(n=1,2,3,)

こんな複雑な積分の計算結果が、(マジメに計算することなく)求めることができてしまいました!面白いですね!

投稿日:20201115
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