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自作問題あなぐら7(空間内の三角形と極限)

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$$\newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{Lvec}[1]{\overrightarrow{\mathrm{#1}}} $$

問題

 $n$$k$は自然数とする.座標空間において,$xy$平面上に原点を中心とする半径1の円$C$がある.点$(0, −2, 0)$を通り,空間ベクトル$\vec{\ell} = (1, 1, 1)$と平行である直線を$L$とする.$L$上の点のうち$z$座標が$\dfrac{k}{n}$であるものを$\mathrm{P}_k$とする.$\mathrm{P}_k$を通り$z$軸に平行な直線上の点のうち,$z$座標が$\dfrac{1}{n}$$0$であるものをそれぞれ$\mathrm{H}_1$$\mathrm{H}_2$とする.
 $C$上の点のうち,$\mathrm{P}_k$との距離が最小であるものを$\mathrm{Q}_k$とし,$\triangle{\mathrm{H}_1 \mathrm{H}_2 \mathrm{Q}_k}$の面積を$D_k$とするとき,以下の問いに答えよ.

  1. $\mathrm{P}_k$の座標$n$$k$を用いて表せ.
  2. 極限値
    $$ \lim_{n \to \infty} \sum_{k = 1}^{2n} D_k $$
    を求めよ.

余話

 空間内の図形の計量と極限の問題です.僕が受験生時代に撃沈した,某阪大学のとある問題の解法を,記憶に残すために作りました.そういう背景があるので,この問題もその解法がポイントになっています.

解答

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(1) パラメータ$t \in \mathbb{R}$を用いて,$L : (x,\ y,\ z) = (0,\ -2,\ 0) + t \vec{\ell} = (t,\ t-2,\ t)$と書ける.よって
$$ \mathrm{P}_k \left(\dfrac{k}{n},\ \dfrac{k}{n} - 2,\ \dfrac{k}{n}\right). $$
(2) 前問の結果から$\mathrm{H}_1 \left(\dfrac{k}{n},\ \dfrac{k}{n} - 2,\ \dfrac{1}{n}\right)$および$\mathrm{H}_2 \left(\dfrac{k}{n},\ \dfrac{k}{n} - 2,\ 0\right)$を得る.点$\mathrm{P}_k$を固定し,$C$上で点$\mathrm{R}$を動かすことを考える.このとき
$$ \mathrm{P}_k \mathrm{R} = \sqrt{(\mathrm{RH}_2)^2 + (\mathrm{H_2 P}_k)^2} $$
で,$\mathrm{H_2 P}_k (= \frac{k}{n})$は常に一定である.よって$\mathrm{P}_k \mathrm{R}$が最小となるのは$\mathrm{RH}_2$が最小になるとき.したがって,点$\mathrm{Q}_k$は,$\mathrm{RH}_2$が最小になるような点$\mathrm{R}$である.以上のことから,原点を$\mathrm{O}$として
$$ \mathrm{Q}_k \mathrm{H}_2 = \mathrm{OH}_2 - (\text{$C$の半径}) = \sqrt{\left(\frac{k}{n}\right)^2 + \left(\frac{k}{n} - 2\right)^2} - 1. $$
これより
\begin{align} D_k = \frac{1}{2} \times \mathrm{Q}_k \mathrm{H}_2 \times \mathrm{H_1 H_2} = \frac{1}{2 n} \left\{\sqrt{2 \left(\frac{k}{n}\right)^2 - 4 \frac{k}{n} + 4} - 1\right\} \end{align}
ゆえ
\begin{align} \sum_{k=1}^{2n} D_k &= \frac{1}{\sqrt{2} n} \sum_{k=1}^{2n} \sqrt{\left(\frac{k}{n}\right)^2 - 2 \frac{k}{n} + 2} - 1 \\ &\to \frac{1}{\sqrt{2}} \int_0^2 \sqrt{x^2 - 2 x + 2}\, dx - 1 \qquad (n \to \infty) \\ &= \frac{1}{\sqrt{2}} \int_{-1}^1 \sqrt{t^2 + 1}\, dt - 1 \qquad (t = x - 1 \text{とした}) \\ &= \sqrt{2} \int_0^1 \sqrt{t^2 + 1}\, dt - 1 \\ &= \sqrt{2} \left[\frac{t \sqrt{t^2 + 1} + \log{(t + \sqrt{t^2 + 1})}}{2}\right]_0^1 - 1 \\ &= \frac{1}{\sqrt{2}} \log{(1 + \sqrt{2})}. \end{align}
以上より
$$ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{2n} D_k = \frac{1}{\sqrt{2}} \log{(1 + \sqrt{2})}. $$

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更新日:59

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