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現代数学解説
文献あり

チェック余鎖複体、細分間の鎖ホモトピーについて3次で計算

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概要

記号

Xを位相空間、FX上の層とする。
U={Uα}αA,V={Vβ}βBXの開被覆でVUの細分とする。
i,j:BAは写像で各βB についてVβUi(β)を満たすものとする。
開被覆Uによるチェック余鎖複体のp次余鎖群をCp(U,F)で表す。
Hp(U,F)でこの余鎖複体のp次コホモロジー群をあらわす。これはチェックコホモロジーではない点注意。

fは適当なp次の余鎖とする。つまりfCp(U,F)である。

p次の群は次のようになる:
Cp(U,F)=α=(α0,α1,αp)Ap+1F(Uα)

からfα=(α0,α1,αp)次成分をfαfα0α1αp とかける。

しかしこの記法は書いていると文字が小さくてつらいので今回の計算の範囲ではあとで別の書き方にする。

主張

写像iによりi:Cp(U,F)Cp(V,F) が定まる。これによりコホモロジー群Hp(U,F)Hp(V,F)の間の写像が定まるが、このコホモロジー間の写像は実はiによらない。つまりjから同様にして定まるコホモロジー群の写像と一致する。

証明の概略

写像hp:Cp(U,F)Cp1(V,F)を次で定める。これによりiからjへのホモトピックとわかる。つまり, dp1hp1+hpdp=j(f)i(f) を満たす。
(hpf)Cp1(V,F)
(hpf)β0βp1=i=0p(1)ifi(β0)i(βi)j(βi)j(βp)
とおく。

p = 3 で計算

本記事のメインコンテンツ。まず可換図式を用意しておきましょう。                      
C2(U,F)d2C3(U,F)d3h2C4(U,F)h3C2(V,F)d2C3(V,F)d3C4(V,F)

記号その2

細かい字を書くのが大変つらいためfβ0βpf[β0βp]という具合に書きます。また,i(β0)i(β1)i(βk)を省略してi(β0β1βk)と書くことにします。

h2d2f の計算

h2f[β0β1β2]=f[i(β0)j(β0β1β2)]f[i(β0β1)j(β1β2)]+f[i(β0β1β2)j(β2)]

d2h2fC3(V,F)に注意すると
(d2(h2f))[β0β1β2β3]=(h2f)[β1β2β3](h2f)[β0β2β3]+(h2f)[β0β1β3](h2f)[β0β1β2]

各項を計算していく:
(h2f)[β1β2β3]=f[i(β1)j(β1β2β3)]f[i(β1β2)j(β2β3)]+f[i(β1β2β3)j(β3)](h2f)[β0β2β3]=f[i(β0)j(β0β2β3)]+f[i(β0β2)j(β2β3)]f[i(β0β2β3)j(β3)](h2f)[β0β1β3]=f[i(β0)j(β0β1β3)]f[i(β0β1)j(β1β3)]+f[i(β0β1β3)j(β3)](h2f)[β0β1β2]=f[i(β0)j(β0β1β2)]+f[i(β0β1)j(β1β2)]f[i(β0β1β2)j(β2)]

h3d3f の計算

d3fC4(U,F)に注意して:
(h3(d3f))[β0β1β2β3]=(d3f)[i(β0)j(β0β1β2β3)](d3f)[i(β0β1)j(β1β2β3)]+(d3f)[i(β0β1β2)j(β2β3)](d3f)[i(β0β1β2β3)j(β3)]

各項を計算していく:
(d3f)[i(β0)j(β0β1β2β3)] =f[j(β0β1β2β3)]f[i(β0)j(β1β2β3)]+f[i(β0)j(β0β2β3)]f[i(β0)j(β0β1β3)]+f[i(β0)j(β0β1β2)](d3f)[i(β0β1)j(β1β2β3)]=f[i(β1)j(β1β2β3)]+f[i(β0)j(β1β2β3)]f[i(β0β1)j(β2β3)]+f[i(β0β1)j(β1β3)]f[i(β0β1)j(β1β2)](d3f)[i(β0β1β2)j(β2β3)]=f[i(β1β2)j(β2β3)]f[i(β0β2)j(β2β3)]+f[i(β0β1)j(β2β3)]f[i(β0β1β2)j(β3)]+f[i(β0β1β2)j(β2)](d3f)[i(β0β1β2β3)j(β3)]=f[i(β1β2β3)j(β3)]+f[i(β0β2β3)j(β3)]f[i(β0β1β3)j(β3)]+f[i(β0β1β2)j(β3)]f[i(β0β1β2β3)]

以上。あとはがんばって消しあうことを確認していく。

最後に。

書くことで身につくことってあると思う。

追記

  • hpfはたぶん単体的複体でいうプリズム鎖に相当するのだろう。

参考文献

[1]
加藤十吉, 位相幾何学, 数学シリーズ, 裳華房, 1988, 120
[2]
小林正典, 代数幾何入門講義, SGCライブラリ64, サイエンス社, 2008, 146-147
投稿日:202491
更新日:202492
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