美術館定理を示す機会があったので色々調べたところネット記事には行間を十分埋めているものが確認したところなかったので高校生でも読めるようにきちんとした証明を書いてみました。
ここは分かっている人は読み飛ばしていい。
自然数
が成り立つことを示すために以下の方法がある。
このような証明方法を数学的帰納法という。
自然数
が成り立つことを示すために以下の方法がある。
命題
まず断っておくこととして, この記事での多角形は凸多角形と凹多角形の両方を指します。高校までは多角形と書いたら凸多角形しか指さないですが本記事ではそうすることにします。それと美術館定理の主張以降は度数法ではなく弧度法を用います。
具体例を出して説明しないとわからないと思うので, 例を出してみます。
この美術館は1つのカメラですべてを見渡せます。
カメラ1だけでは青色で囲んだ領域までしか見渡せない。
では, この定理を色々なことを認めながら証明していきます。
まず最初に
という定理を認めます。これは凸多角形の場合に限定すると自明ですね。凹多角形が面倒。
三角形分割の例
さらに, 多角形の各頂点に赤, 青, 緑のいづれかを塗ってみるにします。ただし, 隣り合う頂点は異なる色でそしてどの色も一回は使うことにします。このような塗り方で多角形の各頂点に色を塗ることを三彩色するということにします。
三彩色の例
三彩色ではない彩色の例(赤が隣合っている)
どんな多角形も三彩色できます。なぜなら,
三彩色は可能であることの図(
では, 美術館定理の証明のために多角形にもう少し厳しい三彩色ができることを認めてみます。
定理6の特別な三彩色の例
では美術館定理を証明してみましょう。
となりそんな三彩色の方法は存在ないので矛盾(背理法を用いている)。ここで三彩色と言っても定理3の三彩色を
美術館定理解決の図(この場合はどの色にカメラを設置してよい)
定理6の特別な三彩色の例として紹介した例では赤にカメラを設置すればよい
まず三角形分割の方から示そう。
両端を含まない線分を開線分という。多角形
例を見てみましょう。
凸四角形とその耳
凹四角形とその耳
この凹四角形に対し以下の周を緑で塗った三角形は耳ではありません。
凹四角形とその耳でない三角形
あってもそこに目を瞑れば)互いに重なり合わない耳を2つ以上持つ。
例を見てみます。
どの2つの耳も辺は共有することはあっても互いに重なり合っていない。
互いに重なり合ってしまっている耳たち
これを利用すると
を帰納法で得ることができる。
その頂点の両隣と異なる色を塗る。この塗り方は, 定理10(定理6)に書いてある
以上から, 定理10(定理6)が成り立つ。
耳定理は参考にした本の記述が曖昧でちょっと修正しているのでもしかすると間違っているかもしれない。意外とこういう定理でさえ行間を埋めるのって大変だし, ネットくらいだと行間を全て埋め切った証明を中々見つけられないものですね。